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目的を持たずに今の時間を

昨日は、とても印象に残る一日だった。

なにか特別なことがあったわけではない。むしろ、その逆でとくになにもなかった日。

いつも通り朝散歩にいって、朝ごはんを食べた。その後の過ごし方のこと。

なんとはなしに、穏やかな空気が流れていたのか、私の心が穏やかだったのか、のんびりと過ごしていた。

あえて、これをしようとかせずに、目的を持たずに気の向くままにいた。そんな時間。

新聞をぱらぱらとめくる母と向き合って読書したり、ネットを見たり、空を眺めて鳥が飛ぶさまを見たり、カードを引いたり。今こうしたい、そう思うことをしていただけ。

そんなある意味優雅な時間だった。目的は持たず、今に身をまかせることがどれだけ貴重な時間だろうと感じとりながらの午前中だった。


お昼を食べてしばらくしたら、あっという間に長い昼寝をして、身体を自然に休めた。それも無駄ではない、休息の時間。


私は恵まれている。そうとしか思えない。

なんでもない時間を過ごす喜びをしめくくってくれたのは、夕ごはん後の夜散歩だった。

夜の灯りがともす海沿いを歩いていて、そして川っぺりの公園の道を歩いていたら、会社帰り風の男性が、バッハを歌いながら歩いていたのを、少し遠目に感じた。思わず止まって聴き入っていて、なんともうれしげに歌うその歌声に、祝福を受けているようだった。

今朝になってもその印象が深く残っていて、私の心を豊かにしてくれる。

見ず知らずの方のその恩恵にあずかって、今日の私は生きているのかもしれない。


空川ナオ


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