見出し画像

裏切り者であることは恩人であること

恩を受けた人が恩人が抱える闇を知ったときに考えるお話。


映画や舞台などでは、それを面白くするためにストーリーにいろいろな設定が組み込まれています。その設定には人間が判断するたくさんの行為が含まれていて、その中に「恩を与える」と「裏切る」の2極の軸があります。

この裏切り、私たちの日常生活にも大小形を変えながらあるんですね。

一般的に「恩=良いこと、裏切り=悪いこと」だし、多くの人はこの価値観に従って行動している。恩を与え、裏切ることなく生きる。常にそうできれば幸せなのかもしれないけど、現実はまったくそんなことにはならない。

だってそんなことができるなら、自分が一番最初に演じた役周りを変えることなんてできない。ただ同じことを繰り返しながら生きていくだけになるから。

例えば一番わかりやすいのが、人に教えを請うことだね。教えを請うて自分ひとりでできるようになったら次に考えることは、教えを請うた人から離れること。この時点で恩と裏切りが既に存在している。教えた人からしたら恩を与えた、しかし教えた人が離れることで裏切られる。教えを請うた人からしたら、恩を受けた、しかし自分が離れることで裏切ることになる。


人って変わっていくものです。環境も考え方も自分自身も。

そして、それらが変わっていくときはその傍らに必ず、恩と裏切りが存在している。恩を受けた人を裏切る、そしてまた人に恩を受ける。これを繰り返して人は変わっていく。

そして極論を言えば、変わらざる者は人にあらず、とも言える。私たちは時間軸の上で生きているんだから何らかの変化があるわけで、変化と言うからには前と変わるから変化であって、変わる際には必ず恩と裏切りがあるんです。


ジャッキーチェン主演の映画「少林寺木人拳」。この映画の脚本は名作で、師匠と弟子の葛藤がとてもうまく表現されています。今でこそあるあるなストーリーですが、1970年代の表現力でこのストーリーを形にしているのは、今見返しても何か得られる映画のひとつ。ぜひチャンスを見つけて一度見てみると興味深い。


また、ついこないだAmazonPrimeにも出てきた映画「国宝」。この原作に出てくる権五郎辻本喜久雄の関係もまた、恩と裏切りにまみれています。映画では表現されてない小説の中の恩と裏切り。これを体験してみるのも興味深い。


つまるところ、恩と裏切りって1セットなんですよ。

日常にある恩と裏切りにいちいち細かく影響されていたら何もできない。だから人は、ある程度はそれらをスルーする力を身に付けていく。生まれて時間がたって大人になっていく過程でね、その力を体得していく。これは誰に教えられるものではなく、自分で獲得していく力。

ある一定の線を超えると、恩と裏切りは極端にそれに関する人達を引き裂いていく。しかし大抵の場合は、それにも耐性ができていく。恩と裏切りを経験すればするほど、人間としての器が徐々に大きくなっていく。


タイトルを「裏切り者であることは恩人であること」とした理由がありまして。なぜ、恩人であることは裏切者であること としなかったのか。

それは、恩を受けている間は恩を受けている自覚がないからなのです。受けていたはずの恩から背く意志が芽生え、裏切ることを自分が予期したときにはじめて恩を受けていたことを知る。だから、裏切り者が最初なのです。

裏切って初めて恩を知る。だからそれを体験したら、裏切られることを知りながら恩を与えることができるようになる。そうやって人は成長していくんだなぁと思います。


「離れること=裏切りなんて言ってるけど、それは違うんじゃない?」って言う人もいるかもね。でもよく考えてみてください、恩も裏切りも、主語は誰でしょうかね。

まぎれもなく主語は自分自身。自分が主人公で、恩も裏切りも自分がどう感じるか?なんですよ。だからこそ、自分自身でそれ(恩と裏切り)をどう捉えられるか?が大切なんですな。

恩人の闇を知ることは、恩人も裏切ってきた人であることを知ること。そして自身もいずれ裏切ることになることを知ること。

それらを知った上で、自分はどう行動していくのか。

裏切りと恩は対極の2軸。これらを扱ったエンタメで私たちが感動できたりするのも、日常生活にこの2軸がしっかりと存在している証拠。そして人間が人間らしく在るためには、おそらく必要な2軸であること。

この2つから目を背けることなく、付き合っていく必要があるんでしょう。


あ、ちなみにエンタメの世界では、裏切り者が恩人だったり、恩人が裏切り者だったり。どちらが先にくるかはわかりません。先に紹介した、少林寺木人拳や国宝だとどうなのか。見てみると面白いですよ😊。


#恩を与える #恩恵 #裏切る #心理学 #生きるコツ #エンタメとしての裏切り


いいなと思ったら応援しよう!