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AIは、電気を食べる。

秋田の「2兆円AIデータセンター構想」から考える、日本の次の産業地図

昨日の日本経済新聞1面に掲載されていた、秋田での大規模AIデータセンター構想。

最大500MW規模、建設費約2兆円。

2030年代早期の稼働を目指し、海外投資家との連携も視野に入れているという。

もちろん、まだ計画段階の話である。

それでも私は、このニュースを単なる「巨大データセンター建設」の話として読むことができなかった。

エネルギー事業に携わっていると、このニュースの向こう側に、これから日本で起こるかもしれない大きな産業構造の変化が見えてくるからだ。

AIを動かしているものは何か

生成AIの話になると、多くの場合、

半導体、GPU、大規模言語モデル、データ、ソフトウェア。

こうした言葉が並ぶ。

しかし、どれほど優れたAIであっても、電気がなければ1秒たりとも動かない。

そしてAIが高度になればなるほど、計算量は増え、それを動かす電力需要も大きくなる。

だから私は、

AI産業とは、巨大な電力消費産業でもある

と考えている。

そう考えると、今回のニュースで重要なのは「2兆円」という数字だけではない。

むしろ、

「なぜ秋田なのか」

という問いの方が重要なのではないか。

産業は「電力のある場所」へ向かうのか

秋田は洋上風力をはじめ、再生可能エネルギーの大きな可能性を持つ地域である。

これまでは、地方でつくられた電力を都市部へ運ぶという発想が一般的だった。

しかし、大量の電力を消費するAIデータセンターが地方に立地するようになれば、この構造が変わる。

電気を都市へ運ぶのではなく、
電気のある場所へ産業を持ってくる。

そんな時代になる可能性がある。

振り返れば、産業の立地条件は時代とともに変わってきた。

港が必要な時代があった。

鉄道が必要な時代があった。

高速道路のインターチェンジ周辺に物流拠点や工場が集まった時代もあった。

そしてAI時代には、

大量かつ安定した電力を確保できる地域

が、新しい産業立地の条件になるのかもしれない。

そうなれば、「地方創生」という言葉の意味も変わってくる。

人口を呼び込むだけではない。

観光客を増やすだけでもない。

地域に存在するエネルギー資源を起点として、

発電し、
蓄え、
計算し、
産業をつくり、
雇用を生み出す。

そんな地方創生が現実になる可能性がある。

ただし、再エネだけではAIは動かせない

ここで忘れてはいけないことがある。

太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、自然条件によって発電量が変わる。

一方、データセンターは24時間365日稼働する。

つまり、

「再エネが豊富であること」と
「AIデータセンターに安定した電力を供給できること」は同義ではない。

その間を埋めるものが必要になる。

蓄電池。

送配電網。

需給調整。

バックアップ電源。

エネルギーマネジメント。

そして電力調達そのもの。

私は現在、蓄電池やエネルギー関連事業に関わっているが、この世界に入って強く感じることがある。

「発電できること」と「使える電力を届けられること」は違う。

必要な時間に、必要な量を、必要な品質で届ける。

そこまでできて初めて、電力は産業インフラになる。

だから私は、

AI革命とは、同時に電力・蓄電インフラ革命でもある

と思っている。

AIの時代だからこそ、リアルの価値が上がる

少し違う話に見えるが、昨日私は経営者の集まりでクロージングについて話をしていた。

AIが進歩し、営業活動の多くが自動化されていく。

見込み客の抽出。

情報収集。

文章作成。

顧客分析。

これらは、今後ますますAIの力を借りることができる。

しかし最後に、

「この人から買おう」

「この治療を受けよう」

「この会社と仕事をしよう」

と決断するときには、人と人との対話や信頼が残る。

そしてAIデータセンターの記事を読んで、私は不思議な共通点を感じた。

AIが進化すればするほど、

営業では**「人」**が重要になり、

AIインフラでは**「電力」**が重要になる。

どちらも、デジタルだけでは完結しない。

「見えないもの」を支える「見える基盤」

私たちはAIという、目に見えない知能に目を奪われる。

しかし、その知能を生み出している場所には巨大な建物があり、サーバーがあり、送電線があり、電力設備があり、人がいる。

究極的には、とても物理的な世界だ。

だからこそ、

「日本はAIをどう活用するか」

という問いだけでは足りないのだと思う。

これから必要なのは、

AIを動かす基盤を、日本のどこにつくるのか。

その電力をどう確保するのか。

誰が投資するのか。

地域にどのような産業や雇用を残すのか。

という問いではないだろうか。

秋田で検討されている今回のプロジェクト。

まだこれからの計画ではある。

それでも私は、単なる大型投資の記事としてではなく、

日本の次の産業地図が描き直される可能性を示したニュース

として見ている。

AIは、電気を食べる。

そして、その電気をどこで、どうつくり、どう蓄え、どう届けるのか。

もしかするとそこに、日本の次の成長産業を考える重要なヒントが隠れているのかもしれない。

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