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慌て者の母

お師匠さんにお茶を習っていると
「かなちゃんはせっかちだよね」と言われた

そうなのだ、私はずっとせっかちに生きてきた

本当はこの世に生まれたくなかったのか、胎児の自殺と言われる臍の緒を首に巻いて来たのである


だから息子が産まれて来る時もお腹の中でぐるぐると動き回っている子に対して…苦しいから臍の緒だけは首に巻かないでと話しかけていた

そのうちに「この子、逆子だわ」とエコーを当てた助産師さんに指摘をされる

えっ…逆子は産まれる時は大変らしい

また私はお腹の子に毎日、毎日伝えていた
「足から出て来るのはあなたも私も苦労するから、頭から出ておいで」

それからしばらくするとお腹の子はグルンとひっくり返り、頭を下にしてくれた

よくお腹の子に話しかけたらいいのよと助産院で聞いていた

目には見えなくても「ほら、蝶々が飛んでいるよ、花が綺麗だね」とお腹の子に話しかけた

お風呂に入って電気を消して、チャプチャプするお腹の子の感覚を味わうように、とかなり面白いことをしていた

全て助産院で聞いた話である

普通の無機質の病院では産みたくないと思った私はかなりお腹の子が育ってから水中出産で有名な助産院に転院したのである

そこはあたたかくてやさしい場所だった

生まれてからも沢山ケアをしてもらった

友達がやはり病院では産みたくないと言うのを聞いて、少し遠いけど通ってみると誘ったら、彼女もその助産院が気に入って、そこで出産した

後から知るがお師匠さんも同じ助産院でニ女さんを産んでいる


あっさりと産まれて来る長男は母乳が上手く飲めない舌癒着だと言われて、繋がりのある耳鼻咽喉科受診を勧められて、生後二か月で全身麻酔の手術をした

ガチガチだった身体はふにゃふにゃの赤ん坊になっていた
息を吸うことの大切さを教えられる

お腹の子にもゆっくりと出ておいでと話しかけたがとんでもないスピードでやってきた

初産なのに水中出産の浴槽にお湯が溜まる前に飛び出した

しかもその記録はなかなか破られることはなかったらしい

あとあとそういう生まれ方をする子は自立心が強くて、何でも自分で決める子で、親の方がついて行くのが大変だと聞かされる

今考えても、全くその通り…長男にはずっと振り回されてきた

今は結婚して、私の元から巣立ったから
かなり楽になる

それでも母がいなくなって私自身もふらふらなのに、長男は私に当たり散らしてきた

おそらく私にもっとしっかりしてと喝を入れようとしたのかもしれない

母と一緒に死ねるわけじゃなし、でも私は長生きはしたくない
それでも母よりは長生きしないと母はかなしむと母を見送る前には思えるようになっていた

やっぱりせっかちなのか
慌て者なのか

慌てて出てくる息子を産んだ母だから


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