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誕生日

大寒の日
冬の一番寒い日に私は生まれた

夕方の17時過ぎ

今はもういない母から聞かされる

私が生まれる時
六歳年上の従姉は母の実家の座敷で友達と駆けずり回りながら
「男だ女だ」と生まれる私を待っていた

私は難産で首に臍の緒を首に巻いていた
血が回らない私を「黒人か思った」と後々祖父から揶揄からかわれる

母は心の中で子供を産むのはもういいとその時思ったらしかった


仮死状態
臍の緒を首に巻いて生まれるのは胎児の自殺と言われるらしい

私はこの世に生まれ出たくなかったのか

魂は彼方の世界でこの世に降りて来る前に果たすべき約束事をする

受け止められないことはないはずなのに辛く苦しいことが待っているのを分かっているかのように

こんな人生、イヤなのに
あまりにも大きなものを受け止めようとして

とても大変な思いをするのを知っているのか彼方の世界の先人達からは助け舟を出してくる

二十歳の頃

もういいよ、ここでこの人生を終わりにして…戻っておいで

それでも私はイヤイヤと首を横に振る
ここで終われない

こんなんじゃ還っても
またすぐに次の人生が待っている
もっと大きな荷物を背負うものだと感じていた

人間はこの世に修行に降りて来る

だから私は中途半端には還れない

あの時があったから
もっと辛い思いをしても生きていて良かったと思えるものにも出会えている

母はよく言っていた
「あんたの人生って苦労ばっかり、病を背負ったら、やさしく連れそう人が現れてもいいはずなのに」
とんでもないことばかりが起こって来る

それでもこれは自分で選んで来たことらしい
大丈夫、大丈夫
全ては上手くゆくと

悪いことも良いこともない
ただ淡々と生きている

そうやって今までなんとか生きてきた

大変なこともある
辛く苦しいこともある
泣きたいこともいっぱいあった

自分の道は自分で決めてきた
本当は生きていたくはなかったと
いつ死んでもいいと思っていた

誰しもが同じような荷物を背負って生きていることも頭では分かっているはずだった

理不尽な人生と感じていた
でもそれは自分で選んで来たことだ

そしてしたことは全て自分に還るという
されたことを怨むなと言われて来ても納得はいかないけれど

今は少しだけ自分はしなくて良かったと思えるようになっていた

ありがとう、ありがとうと心を込めずに言ってきたら
それもだんだんと自分の気持ちが変わっている

心を込めてになっていた


辛くてもかなしくてもくるしくても
しあわせを感じていた

当たり前を当たり前ではないと感謝する私になって来た

酸いも甘いも乗り越えて

恐らくね…私は母の子供として生まれたかったんだ

ずっと寄り添ってくれていた母のやさしさを今でも感じている

これからもっとしあわせになるからね
本当はもう十分にしあわせだけど


北陸のしんしんと降り積もる雪の日に私は生まれた


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