エアーで稽古
お師匠さんに頼み込み
ちょっとだけわがままをさせてもらう
いつもはむっちゃんと一緒だけど
今回は社中の他の方々とお稽古をする
タツ先生やミナ先生
二十年のベテランの姉弟子さんや兄弟子さん、ナミ先生の若いお弟子さんたちに交わらせて頂いた
一番最初にお客さんで濃茶をいただく
お稽古で濃茶のお点前を一からちゃんと見るのは初めてであるはずだが
確かに昨年もお客さんをさせてもらったのに記憶は飛んでいる
そうか…昨年はお師匠さんの隣りに座り手取り足取りお客さんを教えて頂いたのだった
あの頃は右も左も分からない赤ちゃんだったとお師匠さんには言われるようになる
今は少しだけ成長したのか私も幼稚園児くらいになったらしい
昨年の今頃には初めて外のお茶会に参加するためにお客さんの練習をさせて頂いたはずなのに
ただその場に居るだけで
今回も似たようなものだけど
タツ先生の指導の元で濃茶を点てる姉弟子さん、正客をされる兄弟子さんの中にひとりで入って行く
まだ何も覚えていない
少し知っているだけ
ただ黙って見つめている
「忘れましたは覚えたことを忘れること、かなちゃんのは覚えていないから…それは違うのよ」
と相変わらずお師匠さんには言われてしまう
あわてん坊で次から次へとすぐにやろうとする
ちゃんと座ってからお道具を置くことが出来ないで
横着者でものぐさな自分がよく見えてくる
抹茶茶碗の扱い方も雑である
帛紗の畳み方もおざなりだ
ひとりでみっちりとエアーでのお稽古をしてもらう
むっちゃんは昔お茶を習っていたから身体が覚えている
私は右も左も分からない
始めたばかりの新参者
やっぱりこの差は大きいから
今日はむっちゃんがいない分
ベテランの姉弟子さんがエアー稽古にお付き合いをしてくださる
前へ進んだら、進んだ分だけ課題も大きくなり、心を置きざりにすることも出て来るとお稽古の後にお師匠さんからこっそり教えられた
私にはまだまだ前のこと
二十年?
それまで生きているだろうか
メリハリをつけて
でんと構えるお師匠さんは工夫を凝らしてお稽古をしてくださる
私は子供のように付いてゆく
まだまだ
まだまだ秘密兵器のお猿さん
お師匠さんに躾けて貰う
それを言葉に出すと
タツ先生から「ご指導して頂くだよ」
と優しく言われた
「背中を丸めている」
「肩上げない」
「難しい顔をしない」
私の課題は山ほどある
そんな前を見ないで
少し前だけを見る
今も時々お師匠さんには言われるが
「(あまりにも不器用者で)この人、辞めると思ったよ」
自分では一切そんなことは思わなかった
ただただ必死に喰らいつく
別に一人前になろうとも思わないけど
どこかで母に褒めて欲しかった
母のひとつひとつ丁寧に物事をしている姿が浮かんでくる
あの姿はお茶を習っていたおかげだろうと今では私にも少し分かる気がする
辞めないまま
亀のように
また年を越す
これも神さまから導かれた道なのか
このお師匠さんの元に預けてもらえたことを感謝する
水は使わない
なかなか出来ないエアー稽古で練習をする
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