幻想曲
幻想曲 ロ短調
Op.28 Scriabin: Fantasie in B minor, Op.28
スクリャービン
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切なく
胸の奥を掴む
和音。
厳かな夜とは
裏腹の
ドラマチックな
音の息吹。
天使の羽衣が
ひらり。
刹那
這う音は
水面をすり抜け、
水滴たちを
高みへ
連れてゆく。
集められた粒は
荒波と
渦巻く風へ。
黒い波は荒れ、
月には
神秘のヴェールが
かかる。
これほどまでの
幻想の領域。
圧倒。
波は連なって、
月を揺らす。
熱狂で
泡立つ波は
月を呑む。
月は姿を隠し、
幕は降りる。
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この曲も、多くのピアニストによって演奏されています。
今回は、印象の異なるお二人の演奏をご紹介します。
スヴィヤトスラフ・リヒテルさんと、谷昂登さんです。
谷さんの演奏は、一音一音の粒立ちがとても細やかで、まるで水滴が光を受けて輝くよう。不思議と力強さも失われず、繊細さと推進力が共存しています。鍵盤に触れる指先も、ごく小さな一点で鍵盤を捉えているような感覚というのでしょうか。音が濁ることなく、一音一音が澄んで響くのがとても印象的でした。
一方、リヒテルは、長年聴き親しんできたこともありますが、音楽全体を大きく包み込むような安心感があります。
どんなに熱狂的な場面でも揺るがず、作品そのものを委ねたくなる演奏、とでもいいましょうか。
同じ《幻想曲》でも、まるで違う景色が見えてきます。
ご興味がありましたら、ぜひ聴き比べてみてください。
