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「思考の依存」——150年前の『学問のすゝめ』が、今読むと怖いくらい刺さる


「自分が何をしたいかわからない」


25年近く大学受験の世界にいて、
何人の生徒たちからこの言葉を聞いてきただろう。


知識はある。
偏差値も上がった。
模試の点数だって悪くない。


でも、なぜ勉強するのかが、本人にもわからない。


正解を見つける練習は、ずっとやってきた。


ただ「自分はどう思うか」を問われる経験は、ほとんどない。


そういう子が18歳になって、大学を選ぼうとする時に迷子になる。


「とりあえず偏差値の高いところに行きたい」


そういう生徒が、たくさんいた。


それ自体は悪くない。


でも、なぜそこに行きたいのかを聞くと、言葉に詰まる。


ある日、ふと手に取った福沢諭吉先生の『学問のすゝめ』


1872年、明治5年に書かれた本。150年以上前の言葉。


なのに、読みながら何度もドキッとした。


「論語読みの論語知らず」


本の中に、こんな言葉が出てくる。

「論語読みの論語知らずになることなかれ」

論語を読んでいるのに、その教えを生きていない
——そういう状態への警告だ。


わかりやすい例えも書かれていた。


家を建てるには、のこぎりや金槌が必要。
でも、道具の名前を知っているだけでは、家は建てられない。
どれだけ知識を持っていても、使えなければ何の意味もない、と。


当たり前のことに聞こえる。


でも、よく考えると怖い。


大学受験のために知識を身につけること自体は悪くない。
手段として正しい。


問題は、それだけで終わる時。
「なぜ学ぶのか」
「自分はどうしたいのか」
——そこを自分の頭で考える練習をしないまま、18歳を迎えてしまうこと。



知識を「持つ」ことと「使う」ことは別物


福沢先生はこう続ける。


どれだけ物知りでも使えなければ意味がない。


それよりも、たった一つの実学を徹底的に極め、
「この分野だけは人に負けない」
という腕を持った人間の方が、よほど世の中に立つ、と。


知識の量より、使える力。


自分の頭で考えて、自分の言葉で伝えられること。


福沢先生が「実学」と呼んだのは、そういうことだと思う。



「思考の依存」という病


ここで僕がドキッとした言葉がある。


「思考の依存」


誰かの答えをそのまま受け取って、自分では考えない状態のこと。


親に言われたから。先生がそう言ったから。みんながそうしているから。


それ自体が悪いわけじゃない。でも、それしかできない状態が続くと、
いつの間にか「自分が何をしたいか」がわからなくなっていく。


大学受験の世界で迷子になっていった生徒たちは、ここにいた気がする。


そして今、AIがある。


自分で調べなくていい。まとめなくていい。文章も書いてくれる。
便利だし、僕も使っている。


でも、
「自分で考えなくていい」と思い始めたら、思考の依存はもっと深くなる。


150年前の福沢先生が警告したことが、AIの登場でさらに加速している。
そんな気がして、怖くなった。



一身独立して、一国独立す


福沢先生が「学問のすゝめ」を書いたのは、西洋から新しい知識が怒涛のように入ってきた時代だ。


そんな中で彼が言ったのは、「西洋をただ真似ろ」ではなかった。


「自分の頭で考えられる人間になれ」だった。


福沢先生はこの考えを、一言でこう表した。

「独立自尊」

自分の頭で考え、自分の力で立つこと。


誰かの意見をそのまま受け取るのではなく、
自分で判断して動ける人間になること。


精神的な自立、とも言えると思う。

一身独立して、一国独立す。

一人ひとりがその状態になれば、社会が本当の意味で自立していく。


『7つの習慣』にも同じ構造がある。


依存→自立→相互依存


誰かに頼り切る状態から、まず自分が立つ。


その上で、初めて本当の意味で人と繋がれる。


150年前の言葉と、現代のベストセラーが、同じことを言っている。


最後に


「自分が何をしたいかわからない」
は、大学受験の世界だけの話じゃないと、最近よく思う。


大人も、同じように迷っている人たちがいる。


自分の頭で問いを立てて、自分なりの答えを探す。


知識を持つことより、使えること。
道具の名前を知っているより、家を建てられること。


それが、今この時代に一番大事なことなんじゃないかと、
150年前の本を読みながら感じた。


📔書籍紹介


もし「読んでみたいけど、原文や現代語訳はちょっとハードルが高い」
と思ったら、この2冊から入るのもいいと思います。


マンガで読める版は、難しい言葉なしにサクッと読める。もう1冊は、現代の若者が学ぶという設定で小説チックに書かれているので、ストーリーとして楽しみながら読める。


どちらも、本棚に眠らせるより「使える一冊」になると思います。


📖 まんがでわかる 福沢諭吉『学問のすすめ』


📖 拝啓、諭吉様。もし現代の若者が『学問のすすめ』を学んだら


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