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【YouTube動画批評】バキバキ童貞の人生について、本気で見る。:幼少期編


導入

さて、note民の方々は、この単語に聞き覚えがあるだろうか。

「バキバキ童貞」

「Abema news」で「近年、異性間性交渉未経験者が増加しているという問題」について、とある男性が街頭インタビューの対象に抜擢された。

あの有名なミーム画像でも分かるように、「異性間性交渉未経験者」という文言をわざわざ編集で付けられ、自らも「バキバキ童貞」と名乗ってしまう様子が、見事に全国に報道された。

この「バキバキ童貞」という言葉は、報道された2019年から6年が経過した今でも、変換ができない。なので、「バキバキ」と打ち込んでから、「童貞」と打ち込むことで、今この記事を執筆している。

そういう経緯があって、ネットミームとして全国に広まってしまった彼だが、YouTubeを始めた。

チャンネル名は、「バキ童チャンネル【ぐんぴぃ】」

彼自身が「こんな動画、誰が見るんだよ。」というものをテーマとして制作した物が大集結している。

そんなテーマで制作された動画たちを大真面目に視聴し、批評していく。そういうことをやっていく。

今回批評する動画は、『【本気】バキバキ童貞、全人生振り返り【集大成】』だ。


本動画は、ありがたいことにチャプターごとに動画を分けてくれている。
面白すぎるので、ぜひ見ていただきたい。動画のURLを上に貼っておく。

1.幼少期

ネットミームと聞くと、画像一枚だけが面白い存在だと思っている人たちも多いのかもしれないが、彼は違う。生まれから面白い。

そもそも、生まれからエピソードトークがあるというのが凄い。

エピソードトークというものは、過去の出来事や今日の出来事などを面白おかしく話すものではあるが、これを物心が芽生えた瞬間から話せと言われても、到底できない。

それはもちろん、トーク力が備わっていないことが原因だ。だけではない、読み書きのお勉強もしていないのだからエピソードとして記録されることがないはずなのだ。

だが、彼にはそれができている。だから凄い。

大まかな彼の幼少期エピソードはというと、こうだ。

  • 3月31日生まれであること。

  • それを母親が可哀そうに思い抑え込もうとしたこと。

  • その真っ最中、となりのトトロが放送されていて、母親が「サツキちゃんやメイちゃんみたいな可愛い子が生まれないかしら。」と思っていたところに、ぐんぴぃが爆誕し、「トトロが生まれてきた。」という話。

  • 基本的にザコとして5年間を過ごしたこと。

  • 父親が星一徹のような暴力オヤジであったこと。

気づいた人は気づいたかもしれない。先ほど、彼の記憶力と、それをトークとして完成させる能力について称賛した。それを聞いていればこのエピソードだ。

幼少期からエピソードが濃すぎる。そして、面白すぎる。

爆笑でスタートをした僕たち視聴者であるが、油断してはいけない。こういう話が1時間ぶっ通しで耳に流れ込んでくる。本動画を初めて視聴したときは、僕も笑い続けていた。

では、これらの各エピソードについて見ていこう。

生まれ

実は些細なことのようで、何かの暗示になっていたのではないかと考えている。

その「何か」とは、「一年で結構遅く生まれてしまった男」と、「結構遅く童貞を卒業した男」との対比だ。「あれ、童貞じゃないの?」と思った人もいるかもしれない。ぐんぴぃには現在(2026年5月24日)彼女がいる。そして、自身で卒業したことに言及する動画を投稿している。

もちろん、これは結果論でしかない。だが、このエピソードは何かの伏線回収にも思える。

『誕生日が遅かった。そして、それに抗おうとしたが、やはり遅く生まれてしまった。しかも、トトロみたいなやつが生まれてしまった。』ということと、『「バキバキ童貞」と名を付けられてしまい、卒業が周りよりもずっと遅い。そして、それに抗おうとするも、やはり遅い卒業となってしまった。しかも、脱糞をしてしまう。』

文字に起こしてみると、奇跡的にも対比なっている。このエピソード一つとっても、彼には何かがある。そう思わせてくれる。

圧倒的なワードセンス

そして、基本的にザコとして5年間を過ごしたこと。

まず、そういった意図で相手に伝えたいとき、普通ならこう話す。
「赤ちゃんの頃から陰キャだったわ。」「今思えば、あのときからだったなぁ。」だ。こう言えば、幼少期からすでに陰キャとしてのオーラを纏っていたということ自体は相手に伝わる。

だが、彼はそんなことはしなかった。

彼は、「春とヒコーキ」というお笑いコンビを結成している。ポジションはボケ。本動画では、彼のボケ能力が証明されている。彼のボケ能力として、圧倒的なワードセンスが挙げられる。

その証明として彼は、街頭インタビューにて自らを「バキバキ童貞」と名乗り、日本国内のネットの住民たちを圧倒した。

そういう能力が、本動画の序盤でも発揮されているというわけだ。

「基本的に、ザコとして5年間を過ごします。」

「基本」「~的に、」のような難しいワードを並べた後、「ザコとして」という聞き馴染みのある言葉を配置する。こんなワードを聞いてしまうと、10秒くらいは笑いが止まらなくなってしまう。

そして、この発言は後に、土岡の秀逸なツッコミへとバトンタッチをする。

「ザコの英才教育!?」

このツッコミからも分かるように、「面白い言葉を選ぶ」という能力を持ち合わせているのは、ぐんぴぃだけではない。相方でツッコミ担当である土岡哲郎もまた、この能力を持っている。

「ザコ」という単語と、「英才教育」などという単語が仲良く並ぶはずがないのだ。これを彼らはやってのけた。

これは、「バキバキ」「童貞」という、一見並ぶことがない単語を繋げるのと似ている。

これらのことからも、「春とヒコーキ」はどちらか片方だけではなく、コンビとして「面白い言葉を選ぶ能力」を持っていることが分かる。

人に寄り添えるトトロ

最後に、彼の父親が星一徹のような暴力オヤジだったこと。

執筆している僕自身も、これには似たような経験がある。

父は、「言葉で言って分からないなら、殴って分からせるしかない。」(痛みで分からせるしかない。)という考えを持っていた。実に昭和チックな考え方だと思う。それもそのはずで、父の生まれは昭和だからだ。そういう考え方をしているのも頷ける。

現在、僕は「躾」として行われていたということに対して、納得をしてしまうことがある。

というのも、周りの同級生や、その他諸々の人間を見てしまうと、「ああいう衝動性や無責任さは、厳しく叱られてこなかったこととも関係しているのではないか」と考えてしまう瞬間がある。

そして、気づけば「じゃあ結局、殴るのは正しかったのではないか。」と思考が侵食し始める。

こういった思考が、将来「子供を殴ることによって教育する父親としての僕」を想起させてしまう。

だからこそ、僕は本動画の該当部分に関して、少し真剣な目線で見てしまった。

また、彼は今までの動画で一貫してこのような発言をしている。

「いつか、絶対に許さない。」 (現在は吹っ切れている。)

彼も憎んでいるし、許さないという気持ちがあるのだ。だが、本動画でおもしろおかしく笑いながら説明してはいる。

同じ「教育」として暴力を使用されたことがある者としては、なぜそんなことができるのか理解ができなかった。相当なプレッシャーと辛さがあったはずなのだ。心の底からの負の感情を向けていたはずだ。殴り終わって去って行く父親の背中に向けていたはずだ。

そういった虐待や躾などの目的を問わず暴力を経験し、こういった思考に陥ってしまった人間が、彼に人生相談を投げかけたことがあった。

童貞への人生相談だ。

その質問に対する彼の回答を読んで、僕は理解した。

「こうやって自分と暴力を見ているんだ。」

彼は、自分の中にある「暴力」という物を、生まれつきの性格として見ることをしなかった。自分を「いずれDVをしてしまうような男」として見ることはしなかった。

「似たような境遇にあるせいか、多少は分かるつもりです。

まず、“血を引いている”という表現はオカルトです。親との言動・性格の一致は先天的なものではありません。生まれたときから備わっているものと考えると呪いになってしまいます。父親の悪い振る舞いを見て育ってきたために「なぐる」「あばれる」などの選択肢が“脳内に存在する”というのが実際のところではないでしょうか。

親に暴力を振るわれたことがない友人が「子どもに手を上げるなんて考えたこともない」と言っててかなり驚いたことがあります。星一徹流の昭和タコ殴り教育を受けてきた僕は「なぐる」という選択肢は持ってしまっています。もちろん殴るわけじゃない、絶対に殴らない。でもめちゃくちゃキレた時に「なぐる」が脳裏によぎってしまうんです。「なぐる」コマンドが表示されるんです。DVを受けて育った人が子どもにDVしがちなのはこういう一因もあります。

こういう人は怒るたびに、悪いコマンドを選ばない努力が必要になります。元々「なぐる」コマンドがない人にはない工程です。これが続くと、自分はふつうの人より暴力性が高い人間なんだと考えてしまいます。でもそんなことないです。「なぐる」コマンドを避ける優しさも冷静さも持ち合わせている。

暴力性や破壊願望は後天的なものです。だから絶対に律することができると信じています。現時点であなたには仰るとおり破壊願望を持ち合わせているかも知れませんが、大砲で人間を吹き飛ばしたいとか、包丁で細切れにしたいなどとは考えていないでしょう。暴力性は元々あなたの素質ではありません。「なぐる」「あばれる」「イライラしてみせる」をわざマシンで覚えちゃっただけです。ぽかんと忘れて代わりに「みずてっぽう」とか覚えたいところです。なかなか難しいですが。僕はめちゃくちゃ怒ったら早めに寝るようにしてます。起きたら大概忘れてるので。「ねむる」を覚えました。

あとゴッド・ファーザーとかドンケツとか、むちゃくちゃ好き放題暴れてる作品をみてスカッとしています。」

引用:NTRの快楽に変換して乗り越えよう《春とヒコーキ「VIP ROOM HARUHIKO 〜秘め問い〜」第二十回》| ワラパー


僕はこの記事を読んで、本当に感動した。自分の中でそういった思考をしてしまうことは、育ちの環境から身についた「コマンド」でしかないのだ。

初めに選択したキャラや技で、ある程度のストーリー進行までは多少の制限がかかってしまうRPGゲームのようなものなのだ。

この人生相談に対する回答からは、人に寄り添える優しい心が見受けられる。

彼の「面白い言葉を選ぶ能力」は、「お笑い」というおかしいことを言ってウケを取る世界だけでは留まらない。他人に寄り添うという優しさにも活かされる。

人を笑わせ、自分の傷を整理し、他人の悩みにまで手を差し伸べる。そんなぐんぴぃの本質は、「面白い言葉を選ぶ能力」ではない。

もっと広い範囲での言葉選びだ。

人が抱える曖昧な感情や思考を、言葉に変換する能力、これこそが彼の本質的な能力なのだ。

少なくとも、僕は彼の言語化能力に救われ、彼の言語化能力で笑っている。

ネットミームとして広まり、ネットで消費されている彼を、太っていて、キモくて、ときに奇声を上げるという「怪獣」として見てしまう人たちも世の中に入るかもしれない。

母親が願った「サツキちゃんやメイちゃんのような可愛い子」は生まれなかったのかもしれない。だが、人を笑わせ、人に寄り添う“トトロ”は、確かに生まれていた。

まさしく、トトロではないだろうか。


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