人間にも“プロンプトエンジニアリング”は効く──トップ営業72時間観察レポート
最初にまとめ
技術畑出身の社長(私)が苦手な営業に挑戦。
トップ営業マン(Oさん)に3日間密着し、その思考と行動を観察・言語化。
「自己プロンプト」として自分にインストールし、即実践した結果、N=1ながら初回商談で成約。
結論:優れた人の行動を観察し“プロンプト化”すれば、誰でも自分の能力をアップデートできる。
こんにちは芹川です。
社長になってから、これまでCTOとして技術のことばかり見ていた自分に、新たなミッションが加わりました。それは「営業」です。正直に言うと、めちゃくちゃ苦手意識がありました。やり方もよく分からないし、過去に試してもうまくいった試しがない。このままじゃまずいな、と思っていたんです。

そんな中、先日、東京出張で大きな転機がありました。
弊社のトッププロデューサーであり、凄腕営業マンでもあるOさんに、3日間ほぼつきっきりで同行させてもらう機会を得たのです。彼の隣でクライアントとのやり取りを目の当たりにし、「なぜ彼はこんなにも信頼され、成果を出せるのか?」その秘密を探ることにしました。
Day 1 & 2:観察と発見 —— なぜOさんは“売らず”に売れるのか?
最初の2日間は、Oさんの営業スタイルを徹底的に観察し、そのエッセンスを自分なりに言語化することに集中しました。隣で見ていると、彼がクライアントに好かれる理由、そして自然と契約に繋がる理由が、面白いほど見えてきたんです。
驚くほどの自己開示力: 彼は初対面に近い相手にも、最近のちょっとした失敗談などをオープンに話します。すると、場の空気が一気に和み、相手も本音を話しやすくなる。
“売らない”営業: Oさんは、自分たちが売りたいものを直接的に売り込みません。「最近、こんな実験をしてるんですよ」と、あくまで雑談ベース。すると、クライアントの方から「それ、詳しく聞かせてもらえますか?」と興味を持って質問してくる。この「相手から引き出す」構図が鍵でした。
Win-Winへの強いこだわり: 受託開発という立場上、どうしても受け身になりがちですが、Oさんは常にクライアントと対等な関係を築こうとします。「お互いがハッピーじゃないと意味がない」という価値観を明確に示し、納得感のある価格と価値提供にこだわっていました。
本音でぶつかる姿勢: 予算が厳しいといったネガティブな情報も正直に伝える。だからこそ、クライアントも安心して本音を話せる。「この人にはぶっちゃけても大丈夫だ」という信頼関係が、スムーズな仕事運びにつながっていました。(これは彼の天性の明るさもあるかもしれないけど、意識している部分も大きいと感じました)
長期的な信頼関係の重視: 一つ一つの案件を大切にし、過去の実績を通じて「またOさんにお願いしたい」と思ってもらえる関係を築いている。まさに「信頼残高」の積み重ねです。
観察しながらメモを取り、彼の行動原理を分析していくうちに、ふと気づきました。
「これって、まるでAIに対するプロンプトエンジニアリングじゃないか?」
優れたアウトプットを引き出すために、AIに明確な指示や文脈を与えるプロンプト。それと同じように、Oさんの思考や行動パターンを「プロンプト」として構造化し、自分自身にインストールすれば、自分も同じような成果を出せるのではないか?という仮説が生まれたのです。

Day 3:実践 —— “プロ営業プロンプト”を自分にインストール!
そして迎えた3日目。前日までに言語化した「プロ営業プロンプト」を自分に言い聞かせ、ついに自分主導の商談に臨みました。
具体的には、以下のような「自己プロンプト」を意識しました。
【商談開始プロンプト Ver.1.0】
トリガー:クライアントとの挨拶直後
アクション:
1. まず自分の最近の小さな失敗談(事前に用意)を軽く共有し、場を和ませる。
2. 売りたいサービスの話はせず、「最近こんなチャレンジをしていて…」という切り口で雑談を開始する。専門用語は使わない。
3. 相手からの質問を待つ。質問が出たら、熱意を持って、しかし分かりやすく説明する。
4. 常にWin-Winを意識し、対等な目線で話すことを忘れない。
制約:絶対にこちらから商品を売り込まないこと。
これを頭の中で何度も反復し、いざ実践。
すると…驚くことに、わずか30分の商談で、クライアントから好意的な反応と共に「ぜひ見積もりを」という言葉を引き出し、次回の具体的なアポイントまで確定させることができたのです!
初回商談成約率:1 / 1(100%)
もちろん、N=1(サンプル数1)の結果なので、これだけで全てを語ることはできません。でも、これまで営業で成果を出せなかった自分にとっては、とてつもなく大きな手応えでした。
商談後、すぐに振り返りを行い、うまくいった点、改善点を洗い出して「自己プロンプト」をVer.1.1にアップデートしました。この検証ループを回し続けることが重要だと確信しています。

なぜ再現できたのか?鍵は「自己プロンプトエンジニアリング」
今回の体験を通じて、優れたスキルは決して一部の天才だけのものではなく、観察・言語化・実践のサイクルによって、ある程度は再現・インストール可能だということを実感しました。
観察→言語化→実践の高速サイクル: 優れた人の行動をただ見るだけでなく、「なぜそうするのか?」を深く考え、自分の言葉で定義し(=プロンプト化)、それを短期間(今回は72時間以内)で実践に移すことで、学びが定着しやすくなります。
明確な指示(プロンプト)の力: 人間もAIと同じで、曖昧な目標よりも具体的な行動指示があった方が、迷わず動けます。「自己プロンプト」は、自分の行動を意図的にデザインするための設計図なのです。
成功率より検証サイクルの速度: 最初から完璧を目指すのではなく、「まずやってみる→改善する」というループを高速で回すことが、スキルの習得を加速させます。
これは、何も特別なことではありません。「上手い人の真似をする」という昔ながらの知恵を、AI時代の「プロンプト」という切り口で捉え直しただけ、とも言えます。でも、この捉え方が、私自身の行動を劇的に変えるきっかけになりました。
あなたは、自分で限界を決めていませんか?
この記事を読んで、「面白そうだけど、自分には関係ない」「芹川さんだからできたんでしょ?」と思った人もいるかもしれません。
でも、私は問いかけたいです。「自分で自分の限界を決めていませんか?」 と。
誰にだって、憧れる人や「すごいな」と思う同僚、尊敬する上司がいるはずです。その人のどこがすごいのか、なぜ成果を出せるのか、少しだけ解像度を上げて観察し、そのエッセンスを盗んでみませんか?
今日からできる「自己プロンプト」の第一歩
憧れの人を24時間観察: その人の言動や思考を意識的に観察してみましょう。(SNSや動画、過去の発言などでもOK)
真似したい行動を3行プロンプト化: 「もし自分がその人だったら、この場面でどう考え、どう行動するか?」を短い指示文にしてみましょう。
朝イチで音読して、即試す: そのプロンプトを自分に言い聞かせ、小さな場面でいいので実践してみましょう。
Call for Action
もし、この「自己プロンプトエンジニアリング」という実験を、あなた自身で試してみたら、ぜひ結果や感想を一言教えてほしいです。
Xでハッシュタグ #自己プロンプト をつけて呟いてもらうのでも構いません。
皆さんからのフィードバックは、私自身の次の検証ループの糧になりますし、もしかしたら、会社全体の新しい力になるかもしれません。
一緒に、自分たちの限界を書き換えていきましょう。
「限界は書き換えられる。」
no plan inc. CEO 芹川 葵
