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最初の1円が生まれた日

今日はちょこっとすこし昔のはなしを。

忘れもしない2016年の6月、わたしはそれまで勤めていたベンチャー企業をを退職した。
「2016年になにがなんでも世界一周に出るぞ」
と決めたのはそれよりも5年ほどまえのことで、準備もなにも整っていないまま、ひとまず自分との約束をまもるため、会社をやめてみた。

「とりあえず何かこまったら、こまった時に考えればいいや」
と呑気にかまえて出発のチケットやらバックパックを色々と準備していたら、案外割とはやくその「こまった時」は、やってきた。

退職して2週間ほど経過したわたしのもとに「住民税のおしらせ」と書かれたペライチの紙がとどき、旅の資金の3分の1ほどがごっそりとなくなったのだ。

ひとりっこで甘やかされてぬくぬく育ったせいもあってか、とにかくマイペースに育ったわたし。計画性がないままとにかく「やりたいと思ったら即行動!」を座右の銘につきすすんできた結果がこれだ。

笑い話に聞こえるかもしれないけれど、当時のわたしは心底あせった。
これでは世界一周どころか、3カ国目あたりで速攻強制帰国コースになる。

さすがのわたしも「これは結構まずい状況だな」と思い、当初予定していた「のんびり気ままな世界一周」から、「旅先で仕事をするスタイル」に切り替えた。

出発の3日まえに市役所に出向き、個人事業主として開業届を出す、という無計画全開のままフリーランスになったのだ。

ちなみに当時、日本に「旅をしながら仕事をしている女性」は本当にすくなく、さらにオンラインMTGも浸透していなかったものだから、割と地獄をみることになったのだけれど、それはまたどこかの話で。

とりあえず当時のわたしの肩書きは「ウェブライター」で、面白体験記事を中心にwebに書いていたのだけれど、最後ケンカっぽく辞めたせいもあり、前職から引き続きの仕事も特になく、クライアントとのつながりもほぼゼロの状態だった。

ただ、社内でX(Twitter)が流行っていたこともあり、まいにち2年ほどコツコツ発信していたおかげもあり、フォロワーは1500人ほどいた。
「フォロワーは財産である」という社内に根付いた教えのもと、まいにち3回、朝昼晩ときっちり投稿していたのだ。

でも発信しているからといって仕事が自然と舞い込んでくるわけではない。
1500人のフォロワーがいても、「お仕事お願いできますか?」という連絡は皆無だった。

そこで私は、「自分で自ら仕事を取りに行く」ことにした。
よく読んでいたwebメディアの問い合わせフォームを探し出し「こんな記事を書きたいのですが、どうでしょうか?」と、自分で片っ端から企画を送ることにした。

当時は募集していないメディアや、「経験2年以上」と書かれたものもたくさんあったけれど、「おもしろい企画なら、誰にでもチャンスはあるはず」と信じて、とにかく送った。

もちろん、ただお願いするだけではだめ。「何かお仕事ありませんか?」ではなく、「こういう企画を考えているのですが、いかがでしょうか?」と提案する。「なんとなくタイトルだけ」ではなく、企画の背景や、この企画を採用したときのメリット、拡散方法などA4サイズのpdfにびっしり書いた。

これがとても大事だったと思う。

担当者の名前がわかれば、絶対に入れた。
もちろんコピペではなくそのメディアの記事をちゃんと読んで、色も雰囲気も合わせ、ラブレターを送るように、ていねいに。

これは、当時も今も変わらない私のルール。

そして数日後。
2件だけ「この内容でお願いできますか?」連絡がきた。


ひとつは報酬ひと記事3000円。毎月定期で20本ほどおねがいしてくれるけれど、記事に執筆者の名前はのらず、とにかく量産のようなお仕事。

もうひとつは報酬ひと記事1000円。毎月定期で5本しかお願いされないけれど、かわりに自分の名前が載る。

どちらも受けてしまうとキャパオーバーになってしまいそうだったから、どちらか一方だけを選ばなければいけなかったとき、わたしは最後まで悩んで、ひと記事1000円の、なまえが出る仕事をえらんだ。

確かに目先の旅資金を得るなら、まちがいなく前者を選ぶべきなのだけど、わたしの旅はこれからもずっと続いていくし、必要なのはステップアップだ。
名前が出る。それはイコール「実績」になるということで、それは、次の仕事につながる可能性が高くなるということ。

私はその1000円で書いた名前入りの記事を、自分のポートフォリオとして使いながら、また別のメディアへと企画をどんどん送り続けた。

すると本当に少しずつだけど、企画が通りやすくなり、記事の単価もあがっていったのだ。

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