五感がひらく朝の森林浴─松本市アルプス公園レポート
松本市の中心地からほど近い「アルプス公園」。展望台から街と山並みを一望できるこの場所で、11月の朝、森林浴のワークショップを行いました。

今回歩いたのは、森の香り・光・音をひとつずつ拾いながら、"いつもの公園をまったく違う場所に感じる"ためのコース。特別な装備も知識もいらず、ただ「五感をひらくこと」だけを大事にして森に入りました。
コースの流れ
スタート地点は南入口。そこから 香りの森 → 桜の森 → 森の入口広場 → 山と自然の博物館 へと抜ける、全長2時間ほどのゆるやかなルートです。

途中で行ったのは、たとえばこんなワーク。
「香りを聞く」
モミやカツラの甘い匂いを確かめながら深呼吸

「私の木を見つける」
桜の木を1本選び、形・手触り・佇まいを観察

「森ぼっこ」
広場に寝ころび、何もしない時間を味わう

「木と対話する」
コナラの木のそばで静かに座り、その木の時間を想像してみる

どれも単純な動作なのに、やってみると── 見えるもの、聞こえるもの、心の中の声まで変わってくる。そんな変化がこのコースのいちばんの醍醐味です。
どんな体験が生まれたか
参加者は3名。年代も、住んでいる場所も違うけれど、森の中でだんだん輪郭がやわらかくなっていきます。
はじめは少し緊張気味だった皆さんも、香りに触れ、木を選び、寝転がり…… 最後は展望台で「ヤッホー!」と声を出して笑い合っていました。
印象的だった声をいくつか紹介します。
「見て、聞いて、触れて、香って……五感が全部よろこんでる感じでした」
「自分の桜の木を探すワークで、木と"距離が近くなる"感覚があった」
「普段は使っていない感覚が目覚めて、森が話しかけてくるみたいだった」
「木のそばで座っていたら、"このままでいいんだ"と思えた」
アンケートでは、満足度★5が100%。「また参加したい」との回答も100%でした。
特に好評だったのは、寝ころんで森を感じる 「森ぼっこ」。日常のスイッチがすっと切れて、体も心も軽くなっていく時間です。
公園の"日常性"が、生まれる体験を深くする
アルプス公園は、散歩や子ども連れで訪れる市民にとって、ごく身近な場所。だからこそ、特別な山奥よりも、日常の隙間に入り込む自然の豊かさが際立ちます。
「行きと帰りで森の香りが変わった」
「鳥の声の種類が時間で変わるなんて知らなかった」
そんな気づきが自然と生まれたのも、公園という"生活の延長"にある場所だったからかもしれません。
森林浴が教えてくれたこと
今回のワークショップを通じて、あらためて実感したことがあります。
それは、森林浴は、自分が自然に溶け込み、探求したくなる感覚を呼び覚ますということ。
森の中で五感を開いていくと、境界線がだんだん曖昧になっていきます。自分と木、自分と風、自分と光──。それらが分かれているようで、実はつながっている。そんな不思議な一体感が生まれてくる。
すると自然と、「この木はどんな歴史があるんだろう」「この香りはどこから来ているんだろう」と、森を探求したくなる。知りたい、触れたい、もっと感じたい──そんな好奇心が、静かに、でも確かに湧き上がってくるのです。
これは、知識を詰め込むのではなく、体験を通じて森と対話することでしか得られない感覚だと思います。
「いつもの場所が、特別な場所になる」
そして、「自分自身も、森の一部になっていく」
そんな体験を、これからも大切に育てていきたいと思います。
野のデザインについて
野のデザインは、松本を拠点に、自然と人をつなぐ体験をデザインしています。森林浴ワークショップのほか、季節ごとのイベントを企画中です。
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当日の様子 photo by しょうこ















