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催花雨に 袖濡らしける 夜明けて 晴れし空ほど 君恋しけり【シロクマ文芸部】【晴れた日に】


雨の夜

ある夜、同棲中のパートナーと喧嘩をした。
外は久しぶりの雨が降っていた。

真っ暗な外からはザーザーと雨音が聞こえ、
窓がびしょびしょに濡れていたけれど、
窓の方が可愛いんじゃないか?と思うくらいには
私の顔の方が酷かった。

ケンカの種

先日、私は職場で倒れ救急搬送された。
手術のためそのまま入院し、ようやく帰宅した。

彼は、私が元気いっぱいで帰ってくると思っていたのかこう言った。
「自分のご飯はなんとかするから気にしないで!」

うぉぉーい、まじか、そうじゃないって!
あなたが私の分の家事もするんだよ?!
私まだ動けないんだってば!
この様子が目に入らぬか、こんちくしょー!!

ボロボロの体から怒りがフツフツと湧いてきた。
しかし、それだけが原因じゃなかったのだ。

私は彼が大好きで、大好きすぎるから、
彼と結婚したいと思ってるし、彼の子供が欲しい。

けれど私は婦人科系の病気にかかってしまったので、
不妊になる可能性が高かった。
彼はどう思うだろうか?
私との将来を考えているだろうか?
と、ずっと不安だった。

それなのに、彼から全く将来の話が出てこない。
私の意向はすでに何回も伝えているのに。

私は頭を抱えた。
元々口数の少ない彼でも、
さすがに私が救急搬送されたら何かしら言葉にするだろうと思っていた。
なんなら、ほぼプロポーズのような言葉を彼から言われるのではないか?と、
私は救急車の中で意識を朦朧とさせながらも、
心の中ではガッツポーズしながらピーポーと運ばれていた。
しかし残念ながら、それは甘かったようだ。

あなたって本当に私のこと好きなの?
私との将来考えてる??
そんな怒りが爆発した雨の夜だった。


晴れた日に

その週末はよく晴れた。

彼は用事で実家に帰らなねばならず、
私はひとり、家で過ごしていた。

彼とはずっと気まずいままだった。
いや、それは私だけかもしれない。
私が怒りを爆発させたあと、彼は私を必死に気遣ってくれた。
その姿はなんとも健気だった。

元々口数が少なく、
あまり感情的にならない冷静な人だ。
言葉よりも行動で示すタイプで、
ついでに言うと私はそんな彼を尊敬しているし、
とても好きだ。

そんな彼が必死になって私を気遣ってくれた。
気持ちに寄り添った声かけも、
本当は苦手なくせに頑張っていた。

彼の健気な姿を見ていたら、
自分から私を気遣えと言ったくせに、
なんだか申し訳なく思ってしまい、
気まずくなってしまったのだった。



私は彼のいない家でひとり、ベッドに横たわり
窓から見える青空をぼんやりと眺めていた。

せっかく晴れたのに、今あなたは隣にいない。
この週末を2人でのんびり過ごせれば、
いつも通りの私たちに戻れた気がするのになぁ。

催花雨に 袖濡らしける 夜明けて
晴れし空ほど 君恋しけり

蒼井マキ




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