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広告費を溶かし続けていませんか?ECで「商品力の壁」にぶつかったときの打開策

ECの支援をしていると、「施策を打っても売上が動かない」ショップに何度も出会います。

バナーを変えた。商品ページを書き直した。SNSも始めた。でも、売れない。

そういうとき、まず確認してほしいことがあります。次のチェックリストを見てください。

📋 あなたのショップ、こんな状態になっていませんか?

  • 広告をかけると人は来るが、売れない

  • カートに入れるが、購入まで至らない

  • 一度買ったお客さんがリピートしてくれない

  • 値引きセールのときだけ売れる

  • 商品ページの滞在時間が短く、すぐ離脱される

  • 「どんな商品ですか?」という問い合わせが多い

  • SNSのフォロワーは増えるが、購買に繋がらない

  • 競合と閲覧数は同じくらいなのに、売上だけ負けている

少し自己紹介をさせてください。私はEC支援の仕事をする前、バイヤーやMDとして10年以上、アパレルや雑貨の商品企画・仕入れの現場にいました。「何が売れるか」「なぜ売れないか」を、作る側・仕入れる側の目線で考え続けてきた経験があります。

その経験があるからこそ気づくことがあります。売れないショップの多くは、商品そのものに問題があるのではなく、商品の「見せ方・届け方・価格設計」に問題があるということです。バイヤー目線で言えば、同じ商品でも「文脈の乗せ方」ひとつで売れ行きがまったく変わる場面を、何度も見てきました。その視点を、EC支援の現場でも活かしています。

1つでも当てはまるなら、問題は「集客」ではなく「商品力・価格競争力」にある可能性が高いです。

これは責めているわけではありません。むしろ、ここに気づいていないショップオーナーさんが多いのが現実で、だからこそ「改善しているのに成果が出ない」という苦しい状況が続いてしまう。

この記事では、よくあるパターンと処方箋を紹介しながら、「どんな問いかけをすると、強みが見えてくるか」というヒントも一緒に書いていきます。売れなくて悩んでいるオーナーさんにも、支援する立場の方にも、何か届けばと思っています。

そもそも「商品力・価格競争力の課題」とは何か

まず前提を整理しておきます。

「商品力がない」というのは、商品が悪いということではありません。「その商品を買う理由が、お客さんに伝わっていない・あるいはまだ言語化されていない」状態のことです。

同様に「価格競争力がない」も、単に「安くしなければいけない」という意味ではなく、「価格に見合った価値が、まだちゃんと届いていない」状態を指しています。

つまり多くの場合、問題は「商品」ではなく「伝え方と届け方の設計」にあります。

パターン①:「どこでも買える商品」を「どこにでもあるショップ」で売っている

仕入れ商品を複数並べていて、商品ページはメーカーのスペック情報そのまま。写真も白背景のみ。価格は大手モールと同水準か、少し高い。

こういうショップは、正直なところ「なぜここで買うのか」という理由がありません。検索して来たお客さんは、ページを見て、価格を確認して、より安いか信頼できる大手に流れていく。これが売れない構造です。

処方箋:「なぜあなたのショップで買うのか」を1行で言えるようにする

こういうショップのオーナーさんと話すとき、私はまず商品の「外側」ではなく「内側」を聞くようにしています。

「このジャンルの商品を扱い始めたのは、なぜだったんですか?」 「この商品、ご自分でも使っていますか?使ってみてどうでしたか?」 「仕入れのとき、どんな基準で選んでいますか?」

たいていの場合、この3問を聞くだけで、本人が「当たり前すぎて書いていなかった」強みが出てきます。

以前、レディースアパレルを扱うショップのオーナーさんと話したとき、最初は「うちは特に他と変わらないので…」とおっしゃっていました。でも少し掘り下げると、「自分自身が長年アパレル販売員をやっていて、実際に着てみて『これは本当に体型を選ばずきれいに見える』と確信した服だけを仕入れている」というこだわりがあった。さらに聞くと、「購入後のコーデ相談にもLINEで対応している」とも。

それらをトップページとAboutページに載せただけで、「体型に悩んでいたけど、ここなら安心して買えると思った」というレビューが届くようになりました。価格も商品も変えていません。変えたのは「なぜここで買うのか」の言語化だけです。

「ここで買う理由」は、ほとんどの場合、オーナーさんの中にすでにあります。ただ「当たり前すぎて書いていなかった」だけで。

▶ まず今日やること: トップページを開いて、「なぜここで買うのか」が3秒で伝わるかどうか確認してみる。

パターン②:値付けが「原価+ちょっと」になっている

「他のショップより高いと買ってもらえないから」という理由で、利益をギリギリまで削って価格を設定している。

結果として、広告費をかけられない、撮影や制作に投資できない、サポート体制も整えられない、という負のスパイラルに入っています。さらに言うと、低価格で戦っているつもりが、大手モールの前ではまだ高い、という状況も多い。

処方箋:「安く売る戦略」ではなく「高く売れる理由をつくる戦略」に切り替える

処方箋を考える前に、まずオーナーさんの話を聞くところから始めます。価格設定の話をしていると、実は「リピーターがいる」「お客さんから嬉しいメッセージをもらった」という話が出てくることがあります。

「今のお客さんで、リピートしてくれている人はいますか?その人たちはなんで戻ってきてくれていると思いますか?」 「購入後にお客さんからもらったコメントや感想で、印象に残っているものはありますか?」

リピーターの存在や、お客さんの生の声の中に、「価格より上の理由」が隠れていることがほとんどです。それを拾い上げるだけで、打ち手が変わります。

具体的な方向性としては:

セット販売・コーディネートまとめ買い設計にする——単品の価格比較から外れることができます。アパレルなら「このコーデまるごとセットで〇〇円」にすると、他との比較がしにくくなる上に客単価も上がります。

ギフト対応をつける——ファッションアイテムでも、ギフト対応をつけると購買動機が変わります。「自分用に安く」ではなく「大切な人に贈りたい」層を取れる。

定期購入・リピート設計にする——消耗品や定番アイテムなら、単発の価格競争から抜け出せます。最初の購入ハードルを下げて、継続で利益を出す設計。

値段を上げるのではなく、「値段以上の体験」を設計するのがポイントです。

▶ まず今日やること: 過去のレビューやお客さんからのメッセージを読み返して、「価格以外の理由で選んでもらえていた言葉」を探してみる。

パターン③:商品は良いのに「良さが伝わっていない」

オーナーさん自身はその商品に深い愛着と知識がある。でも商品ページを見ると、素材スペックと簡単な説明文しかない。

「良さはわかってもらえるはずだ」という思いが強すぎて、お客さんの「知らない前提」での説明ができていない状態です。

これは、商品を愛しているオーナーさんほど陥りやすいパターンです。バイヤー経験のある私から見ると、「この素材のすごさ、着てみれば絶対わかるのに」という商品が、ページの説明不足だけで売れていないケースを何度も見てきました。

処方箋:「知らない人に話しかける」文章に書き換える

まず支援する立場としてやるべきことは、オーナーさんに口頭でその商品を説明してもらうことです。

「この商品、初めて聞いた人に説明するとしたら、どう話しますか?」

この一問が効きます。文章では出てこない言葉が、話し言葉では自然と出てくることが多い。「このシルエット、実は着るとウエストがきれいに見えるんですよ」「洗濯機で洗えるのに、クリーニング仕上げみたいな質感が出るんです」——そういう語りが、そのままコピーになることがあります。

商品ページの構成として私がよく提案しているのは以下の流れです:

  1. 「こんな人に向けた商品です」(ターゲット明示)

  2. 「よくある失敗・悩み」(共感)

  3. 「この商品がなぜそれを解決するか」(説明)

  4. 「実際に使った人の声・体験」(証拠)

  5. 「どう使うか・いつ使うか」(使用シーン)

  6. 「購入後の安心」(サポート・返品保証など)

特に大事なのは2番と5番。「悩み」から入ることで読み手が「自分ごと」として読み始め、「使用シーン」を描くことで頭の中で「着た後の自分」がイメージできるようになります。

そしてその素材の多くは、オーナーさんの話の中にすでにあります。引き出す側が「聞く力」を持っているかどうかが、ここで差になります。

▶ まず今日やること: 自分の商品を「まったく知らない友人に口頭で説明する」つもりで、1分間話してみる。その言葉をそのままメモしてみてください。

パターン④:「万人向け」を狙って「誰にも刺さらない」になっている

「幅広い人に売りたい」という気持ちから、商品の説明もターゲットもふわっと広めに設定している。

「ご自宅用にも、ギフトにも」「男女問わず使えます」「年齢を問わず」…。

こういう文章が並ぶショップは、どの層にも「自分のためのショップ」と思ってもらえません。MDとして商品企画をしていたとき、「誰にでも売れる商品」を目指した企画がことごとく中途半端な結果になる場面を見てきました。刺さる人を絞ることの怖さはわかりますが、絞らないことのリスクの方が実は大きい。

処方箋:ターゲットを「解像度高く」絞り込む

ここで試してほしい問いかけがあります。

「今まで買ってくれたお客さんの中で、一番嬉しかった反応をくれた人って、どんな人でしたか?」 「もし友人に『こういう人にぴったりだよ』って薦めるとしたら、どんな人を思い浮かべますか?」

この質問をすると、オーナーさんの頭の中にある「理想のお客さん像」が出てきます。そしてたいていの場合、それはすでにかなり具体的です。「40代で、子育てが一段落してまた自分のおしゃれを楽しみたい女性」「体型カバーを気にしながらもきれいめに見せたい30代」——そういう像が出てきたら、それがターゲットです。

「絞ると売れなくなるのでは」と心配するオーナーさんは多いですが、実際には逆で、絞ることで刺さる深さが増し、CVRが上がるケースの方が多い。

ターゲットを絞るのは「その人以外に売らない」ことではなく、「その人に一番刺さるように全力で設計する」ことです。結果として、近い属性の人にも自然と届いていきます。

▶ まず今日やること: 過去の購入者の中から「最も嬉しかったお客さん」を1人だけ思い浮かべて、その人のプロフィールを紙に書き出してみる。

パターン⑤:季節・トレンドとのズレが慢性化している

去年売れていたアイテムをそのまま今年も同じ打ち出し方で売っている。または、トレンドのピークを過ぎたシルエットやカラーを主力においている。

「この商品、去年はよく売れていたんですが最近は…」という話をよく聞きます。

市場の変化に気づいていないか、気づいていても対応できていないケースです。バイヤー・MD経験のある私から見ると、トレンドの移り変わりに気づけるかどうかは、日々どれだけ「外」を見ているかにかかっています。ただ正直に言うと、毎日同じ商品と向き合っているオーナーさんが、外からの変化に気づくのは構造的に難しい。だからこそ、外の視点を持った支援者と一緒に考える価値があります。

処方箋:「売れている文脈」を読んで、自分の商品をその文脈に乗せる

今の時代、アイテムそのものが急に価値を失うことは少ないです。ただ、「なぜそれが欲しいのか」という動機の文脈が変わることはある。

以前は「きれいめカジュアル」として売れていたアイテムが、今は「オフィスでも使えるリラックスコーデ」という文脈で語らないと刺さらなくなっていたりします。商品は同じでも、見せ方のフレームを変えるだけで動き出すことがあります。

「最近、似たようなアイテムがSNSで話題になっているの見たことありますか?どういうコーデや文脈で使われていましたか?」 「お客さんのレビューを読み返してみたとき、最近の人と昔の人で、買った理由に違いはありますか?」

オーナーさんは変化に気づきにくい立場にいるからこそ、外から一緒に見てあげることが支援の価値になります。

▶ まず今日やること: 自分の商品に近いカテゴリのハッシュタグをInstagramで検索して、最近の投稿がどんな「コーデの文脈」で使われているかを眺めてみる。

パターン⑥:「競合」を正確に把握できていない

「うちの競合は〇〇です」と言うので聞いてみると、実際のお客さんが比較検討しているショップとはまったく違った、というケースがあります。

自分が思う競合と、お客さんが実際に比べている選択肢がズレているのです。これが起きると、対策の方向がすべてズレてしまいます。

処方箋:お客さんの目線で、一緒に検索してみる

支援の現場でよくやるのが、オーナーさんと並んで座って、実際に一緒に検索することです。

「もし自分がこの商品を知らないお客さんだったとして、どんな言葉で検索しますか?」

この問いは、意外と難しい。自分の商品を熟知しているオーナーさんほど、「知らない人の言葉」を忘れていることがあります。「商品名で検索する人ばかりじゃないんですね」と驚かれることも多い。

実際に検索結果を一緒に眺めながら、上位に出てくるショップと自分のショップを並べて比較します。価格だけでなく、ページの構成、写真の雰囲気、モデルの使い方、レビューの量と内容——それを見ているだけで、「あ、ここが違うんだ」という気づきがオーナーさん自身から出てきます。

また、購入後のレビューに「他に〇〇と悩みました」という記述が出てくることがあります。こういった言葉から、お客さんが実際に比較していた選択肢が見えてきます。

競合を正確に把握すれば、「どこで差別化すべきか」も自然と見えてきます。

▶ まず今日やること: 自分の商品をお客さんが使いそうな言葉で検索して、上位3ショップの商品ページを自分のページと並べて見比べてみる。

まとめ:「問いの力」が、売上を変える

ここまで6つのパターンを紹介してきましたが、処方箋の多くに共通することがあります。

それは、答えはオーナーさんの中にある、ということです。

商品への愛着、こだわりの仕入れ基準、忘れられないお客さんの声、始めた理由——そういったものは、すでにオーナーさんの中に積み上がっています。ただ、「当たり前すぎて言語化していなかった」だけで。

バイヤー・MDとして10年以上商品と向き合ってきた経験から言えるのは、「売れる商品」と「売れない商品」の差は、品質よりも「伝わっているかどうか」にあることの方がずっと多い、ということです。支援する側の仕事は、正しい問いを投げてその「伝わる設計」を一緒につくることだと思っています。正しい問いを投げると、オーナーさんが自分で「あ、それが強みだったのか」と気づいていく瞬間があります。その瞬間が、支援していて一番好きな場面でもあります。

「売れない」は、商品への否定ではなく、「設計を見直すサイン」です。そしてその設計を見直すための材料は、たいていもうそこにある。

あなたのショップの「当たり前」の中に、まだ言葉になっていない強みが眠っているかもしれません。それを引き出すために、まず自分自身にこう聞いてみてください。

「自分がこの商品を誰かに薦めるとしたら、最初に何を話すだろう?」

その答えが、きっと出発点になります。

この記事が、「売れない理由がわからなかった」誰かの整理に少しでもなれば嬉しいです。

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