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Cilla Black「Anyone Who Had a Heart」

今日もネットラジオのオールディーズ局を聴いていて、耳を引かれた曲があった。メロディ自体はよく知っている。バート・バカラックの曲だ。自分は特にバカラックに焦点を絞った音楽の聴き方をしたことはないけど、それでもちょっと聴いただけですぐに特徴がつかめるほど強い個性がある。月並みな言い方になるけど、とても上品で、洗練されていて、ティーン向けのポップスとは一線を画する大人の粋を感じるのである。

曲はとてもよく聴いたことがあるけど、歌声が違った。サビで張り上げる声が、イギリスの歌手、シラ・ブラックに似ているんだよな……と曲目を調べてみたら、本当にそうだった。

これのオリジナルを歌ったのは、アメリカのシンガー、ディオンヌ・ワーウィックである。バカラックの曲を多数ヒットさせ、現在も活躍中の大歌手。

シラ・ブラックがこれを歌っていたことを自分は知らなかった。リヴァプール出身で、同郷のビートルズがデビュー前に切磋琢磨したキャヴァーン・クラブでアルバイトをしながら歌手として活動を始める。ビートルズとは同級生のような存在で、ブライアン・エプスタインがマネージャーを担当、デビュー曲はレノン=マッカートニー作の「Love Of The Loved」。自分は同じくレノン=マッカートニー(ポール作曲と思われる)の「It's For You」(1964年)が大好きである。ジョンとポール本人たちが登場する映像、高校生の頃に何かのレンタルビデオからダビングしてよく見たなあ。

同じくポール作曲の「Step Inside Love」も68年にヒットさせていて、ビートルズの「Anthology 3」にはポールがアコースティックギター1本で歌うバージョンが収録されている。ポールの伴奏でシラ・ブラックが歌う、同じアレンジのオリジナルデモも残っていて、「Live And Let Die」ばりのドラマチックな正式版よりもデモの方が自分はずっと好きなのだけど、これも公式に出てストリーミングで聴けるようになっていた。これは今初めて知ったのだった。ポールのハミングもちょっと聴ける。

シラ・ブラック版の「Anyone Who Had A Heart」は素晴らしい出来で、一発で耳をつかまれた。調べてみると、米国でディオンヌ・ワーウィックのバージョンがヒットし始めたときにジョージ・マーティンら英国側の制作陣がこの曲に注目し、マーティンのプロデュースでシラ・ブラックの第2弾シングルとしてアビー・ロード・スタジオでレコーディング、英国ではこちらが1位に上り詰める大ヒットになった。おかげでオリジナルのワーウィック版は英国ではヒットしなかったという。米国ではトップ10まで上がった大ヒット曲をワーウィックからかっぱらったような形になったが、それだけの実力があったということである。発売されたのは1964年1月、ちょうどビートルズが「抱きしめたい」で全米制覇を成し遂げた時期で、EMI制作陣もブイブイ言わせていた頃だろう。さすがである。

シラ・ブラックは2015年に72歳で亡くなっていて、キャヴァーン・クラブの入り口があった付近には銅像が置かれているという。死ぬ前に一度は行ってみたいな、というか行かねばならぬ、リヴァプール。

Rodhullandemu - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55067659による

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