歩行編 3/9|みちのく潮風トレイル|人に出会い、それでも一人で歩きたい
📅 2026年7月13日(月)
☔ 雨
🚶 3日目
📍ヒロノット〜久慈グランドホテル
5時20分起床。
6時00分出発。
ヒロノットには、夜中も夜勤のスタッフの方がいてくださった。
チェックアウトして外に出ようとすると、入り口に大きな水たまりができている。
昨晩の大雨で、ヒロノットに入るときも足首より上まである水たまりに足を突っ込んで入ってきた。
でも、せっかく雨が止んでいる朝から、また足を濡らすのはつらい。
「遠回りしてでも、濡れずに出られるルートはないでしょうか?」
と聞いてみたけれど、入り口は一つしかなく、水たまりは避けられないらしい。
すると、
「もしよかったら車出すから、出口まで乗って行くかい?」
と言ってくださった。
心の中では、
「神ーー!」
と叫んでいた。
「ありがとうございます!お願いします!」
と、自家用車に乗せていただき、無事に水たまりを回避。
「ありがとうございました。行ってきまーす!」

と挨拶をして、今日の一日が始まった。
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しばらく歩くと、再び雨。
「3日連続雨かい!」
と思いつつも、正直、降っていても降っていなくてもどちらでもいい。
自分が歩けさえすれば、それでいいのだ。
今日は渡渉するルートがある。
ただ、ずっと雨が続いているので、
「たぶん渡れないだろうな」
と諦め、迂回ルートを選択した。
みちのく潮風トレイルは基本的に海沿いを歩くが、体感では「まち歩き7割、山道3割」という感じ。
今日も海沿いの舗装された道を歩いていく。

海沿いには、どこまでも可動式堤防が続いている。
東日本大震災を経験した地域ならではの景色だ。
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しばらく歩いて、おーくぼというスーパーマーケットへ。

ここもスタンプが押せるので立ち寄り、行動食を購入する。
店内に入った瞬間、人が乗れるくらい大きなラジコンが走っていた。
なんだか平和で、とてもいい。
聞いてみると、子どもたちのために用意したものらしい。
ここで少し話を聞くと、みちのく潮風トレイルを歩く人は春ごろが多く、夏に歩く人はほとんどいないらしい。
そして、日本人より外国人の方が多いとのこと。
韓国や中国など、アジアから来る人が多いそうだ。
僕のこれまでの経験でも、国内のロングトレイルでは外国人ハイカーをよく見かける。
僕の経験上、どの国内ロングトレイルも外国人が多い。きっとそれは、日本人が長期で休みを取りにくい働き方をしているからなのだと思う。
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おーくぼから5分ほど歩いたところに学校があった。
校門前に先生が立っていたので、声をかけてみる。
その前に、怪しい格好をしていたゲイターとフードを下ろした。
僕は普段、
キャップ
サングラス
フード付きの服を被る
ゲイターや手ぬぐいで口元を覆う
日傘をさす
という格好で歩いている。
かなり怪しい。
基本的に素肌を出さない。
日焼け止めも塗っている。
ちなみに、山でもロングトレイルでも美容液や化粧水、クリームまで持っていく。
ウルトラライト思想とは、ちょっと矛盾している。
そんな話はさておき、先生に声をかけると、
「昨日もトレイル歩いてる人が通ったよー」
と教えてくれた。
「ぜひ会えたらいいな」
と思いながら、先へ進む。
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洋野町の公認キャラクター「だいちゃん」。

ヤノベケンジさんの作品にちょっと似てるな……なんて思いながら歩く。
「この道路、歩道がなくて怖いな」
と思ったり、

「久慈市に入ったな」
と思ったり。

そんなことを考えながら歩いていると、後ろから車が近づいてきた。
「お兄ちゃん、どこまで行くの?乗ってく?」
と声をかけられた。
助手席を見ると、なんと1日目の夕方につつじの森キャンプ場で出会ったトレイルハイカーが乗っている。
「ありがとうございます。ぜひお願いします!」
ありがたく乗せていただくことにした。
運転してくださっているおじちゃんは定年退職されていて、時々みちのく潮風トレイルを歩いている人に声をかけ、この地域を案内しているそう。
「よかったら、ゴリラ岩まで行こうか」
と。
予定にはなかったこの展開。
めっちゃ好き。
人との出会いに感謝だ。
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そして、このゴリラに見える「ゴリラ岩」。
なんと、このおじちゃんが名付け親だった。
この地域で生まれ育ち、子どもの頃からこの岩を見るたびに「ゴリラ岩」と周りに話していたそう。
すごい出会いだ。
元のトレイルルートへ戻る途中、おじちゃんが知り合いに会ったらしく、車の窓越しに話をしている。
……何を話しているのか、全然わからない。
東北の方言、恐るべし。
これまで話してきた地元の方たちは、僕に合わせて「よそ行き」の話し方をしてくれていたのだと気づいた。
その後、トレイルルートまで送っていただき、さらに栄養ドリンクまでいただいた。

これで今日一日、頑張れます。
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ここからは、車に同乗していたトレイルハイカーと一緒に歩く。
青森から来た方で、普段は果樹園の手伝いをしているらしい。
そして、めちゃくちゃ若く見えるのに、
「もうリタイヤして自由気ままに生活している」
とのこと。
「ほんまに?」
と思ったけれど、冗談でもなさそう。
「そんなん絶対お金持ちやん……」
と、心の中で思いながら歩いた。
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横沼展望所へ。

東北の広大な海と岩を見下ろせる、とても素敵な場所だ。
すると、
「え?こんなに綺麗な景色なのに、サングラス外さないの?」
と言われた。
たしかに、言いたいことはわかる。
でも僕は、眩しさや紫外線対策と、サングラスなしの景色を天秤にかけた結果、外さないことにしている。
しかも、サングラス越しでも十分きれいだ。
むしろ眩しい場所では、サングラスをしている方が景色がくっきり見えることもある。
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厳島神社を通過。

ここで、一緒に歩いていた方が少し休憩するとのことで、再び一人で歩く。
道路沿いを歩いていると、左に曲がるところを見落として、そのまま直進してしまった。
ロングトレイルでは、よくある。
道間違い。
そもそも、正しい道なんて存在するのだろうか。
歩きに来ているんだから、歩いていればどこを歩いたっていい。
……なんて負け惜しみを考えながら、普通にUターンして正式ルートへ戻る。
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もぐらんぴあ水族館へ。

スタンプが押せるので立ち寄ったのだが、なんとこの日は休館日。
掃除をしている方がいたので声をかけてみると、
「スタンプ押していいよー」
と、中に入れてくださった。
ここは、さかなクンが応援団長を務める水族館らしく、トークショーなども開催しているそう。

優しさに感謝し、
「また来ますねー」
と水族館を後にする。
すると、水族館の前に、
「お疲れっすー」
と、さっきまで一緒に歩いていた方が待っていた。
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そこから、少しプライベートな話をした。
普段どんな生活をしているのか。
家族のこと。
仕事のこと。
趣味のこと。
そして、なぜ歩いているのか。
歩いていると、どんな会話も楽しい。
別に何かを隠す必要もないし、自然と自分のことを話している。
登山だと、ここまで長い時間を誰かと歩きながら話すことはあまりない。
ロングトレイルならではだと思う。
ロングトレイルは外国人が多く、英語でコミュニケーションをする場面もある。
僕は英語が得意ではない。
それでも、長い時間を一緒に歩けば、どうにか会話ができる。
時間をかければ、国や人種、文化が違っても、人は深く分かり合える。
これは、ロングトレイルを歩くようになって実感したことの一つだ。
このことは、また別の記事で書いてみたい。
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……と本音で思っているのだけれど。
それでも僕は一人で歩きたい。
ここまで読んだ人は、
「えっ?」
と思うかもしれない。
勘違いしてほしくないのは、出会った人たちは本当にいい人だったということ。
話していて楽しいし、こうした出会いは大切にしたい。
ただ、僕は「一人で歩く」ということを目的として東北まで来ている。
目的地なんてものも、便宜的に設定しているだけなのだ。
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トレイルでのコミュニケーションは一期一会。
浅く、広く。
自分の居場所も立場も持たず、すべてを手放して、自分からも少し遠ざかる。
モノなんて、あってもなくてもいい。
ご飯を食べても、食べなくてもいい。
綺麗でも、汚くてもいい。
もう、なんでもいい。
そういうことを実践する場所が、僕にとってのロングトレイルなのだと思う。
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……なんてことを考えながら、久慈市の中心市街地へ。
目の前に、ホールらしき面白い形の建物を見つけた。
「僕、あそこ行きます」

と伝え、一緒に歩いていた方とはここでお別れ。
久慈市文化会館「アンバーホール」だった。
僕は公共施設、特に文化施設が好きなので、旅行先ではできるだけ立ち寄るようにしている。
展望台やホールを見て回り、カフェでコーヒーをいただいた。

ここで働いている方は、地域おこし協力隊として久慈市に来て、そのままお店を開いて定住されたそう。
笑顔が素敵なイケメンだった。
おすすめのご飯屋さんも教えていただいた。
「きよ田」というお店。
今回は別の場所へ行ったけれど、次に久慈へ来たら立ち寄ってみたい。
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今日の宿は久慈グランドホテル。
チェックインして荷物を置いたあと、「道の駅くじ やませ土風館」へ向かった。

レストラン山海里でいただいたのは、三陸ずっぱり丼。
食後に豆腐田楽。

まだ16時30分だったので、夜食用にさわらも購入。
行動食用に乾燥させた鱈も買った。


美味しいものを食べられる。
それだけで幸せだ。
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宿に戻ってから、これからの計画を見直す。
そして決めた。
残り3回予定していたテント泊を、全部宿泊に変更する。
テントも寝袋も、今の宿から宅急便で自宅へ送ることにした。

ここからはもう、
快適なただの旅行として楽しもう。
そう思うと、なんだか気が楽になった。
そして、快適なホテルのベッドへ。
今日は36.5km。
悪くはない距離かな。
そして、今日もたくさんの人に出会った。
人に出会う。
話をする。
助けてもらう。
それでも最後には、一人のベッドで眠る。
その距離感が、今の自分にはちょうどいいのかもしれない。
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この日の記録
🚶 歩行距離:36.5km
⏱️ 活動時間:9時間50分
⛰️ 累積標高:1,080m↑/1,071m↓
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📹 この日の動画はこちら
今回歩いた景色や、その日の空気感は、Instagramに動画でも残しています。
写真や文章だけでは伝えきれない海の音や景色、歩いている雰囲気も感じてもらえたら嬉しいです。
▶︎ この日の動画を見る(Instagram)
