風まかせ文芸部 | 思い出未満
iさんの企画に参加させて頂きます。
いつもありがとうございます😊
観光列車で一時停車した駅に降りてみる。
意図せず、初めて来てしまった?
…来ることができた?
どちらでもないか。
たいして反芻することなく、咀嚼することなく終わった記憶も、思い出というのだろうか。
感情のかけらだけが、
薄く埋もれているような記憶も、思い出というのだろうか。
ひび割れから滲むような…一筋の苦味。
ごめんね、
私はたぶん、あなたを傷付けた。
傷付ける作法を知るには若すぎた。
なにかをはぐくむ暇なく、
わずかに交差しただけの、日々に流され思い出すことすらない、互いの人生のごくごく一部。
誰に語るでもない苦味の記憶は、
ここでもまた、
まっすぐに延びる道路の向こうに、存在し続ける連峰を、目に焼き付けるだけで終わる。
まっすぐな道路も山々も…美しいと感じとるには、やはりまだ若すぎた。
すぐさま後にする、風景を眺めただけの通りすがりの駅…冷んやりとした空気はよそよそしくて、苦味がシンクロする。
また来ることがある?
ううん、このまま…上書きせずに閉じ込めて、ふとしたはずみに苦さを味わうのが似合ってる。
