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【第328回】 Marketing Cloud Next : カスタムイベントトリガーフロー

Marketing Cloud Next Growth & Advanced Editions の Summer '25 の新機能リリースでは、Salesforce Personalization の「エンゲージメントシグナル」を活用して、カスタムイベントトリガーフローを作成できるようになりました。これにより、設定した条件が満たされたタイミングでフローをトリガーすることが可能になります。

従来から存在する標準のイベントトリガーフローには、メール開封やリンククリックといった種類がありますが、新たに利用できるカスタムイベントトリガーフローでは、以下のようなユースケースが考えられます。

  • Web サイト上のテキストリンクのクリックをしたら、ToDo を作成する

  • PDF のダウンロードボタンをクリックしたら、会社紹介メールを送る

  • 購入を完了したら、購入完了メールを送る

  • 予約を完了したら、予約完了メールを送る

Salesforce が提供しているシグナルの設定例


シグナル定義設定時の考慮事項

  • Summer '26 新機能リリースにより、シグナルで使用する DMO の選択では、エンゲージメント DMO のみが選択可能でしたが、プロファイル DMO も選択できるようになりました

  • Salesforce Personalization 本体における、シグナルでは、選択したエンゲージメント DMO(プライマリ DMO)の項目に加えて、それとリレーションを持つすべての DMO(セカンダリ DMO)の項目も条件に使用できる仕様になっています。

  • ただし、これを Marketing Cloud Growth & Advanced Editions のイベントトリガーフローで利用するには「このエンゲージメントシグナルをフローで使用できるようにする」にチェックを入れる必要があり、この場合は、プライマリエンゲージメント DMO の項目のみが利用可能となります

  • 上記は改善されて、Summer '26 新機能リリースで、関連する DMO をさらに 1 つ追加できるようになりました。プライマリ DMO:セカンダリ DMO = 多:1 または 1:1 の関係の場合のみ、関連する DMO が設定ができます。(1:多の場合は不可)

  • 追加した関連 DMO の項目は、シグナル定義やフィルター条件で最大 10 項目まで利用可能です。

  • これにより、例えば、Website Engagement DMO(プライマリ DMO)と Individual DMO(セカンダリ DMO)を選択し、資料請求 PDF のダウンロード時にフローを起動し、顧客の役職(Title)を参照して、特定の役職の人にだけメールをトリガーするといった高度な制御が可能になりました。


設定手順

1. 「エンゲージメントシグナル」タブを選択し、新規をクリックします。


2. エンゲージメントシグナルをフローで使用できるようにするために、必ずこのチェックボックスにチェックを入れます。対象となるエンゲージメントカテゴリの DMO を選択し、「次へ」をクリックします。

注意:前述の通り、このチェックボックスにチェックを入れると関連 DMO の項目が使用できなくなりますが、Marketing Cloud Next で使用する場合はチェックが必須となります


3. 次のページでは、今回は Web Engagement DMO を選択していますので、以下のような入力例になります。

  • User Identifier(ユーザー識別子):Individual

  • Timestamp Identifie(タイムスタンプ識別子):Engagement Date Time

  • Item Identifier(項目識別子):空欄

  • Event Identifier(一意のエンゲージメント識別子):Website Engagement ID

- Item Identifier とは、シグナルがエンゲージメントをより適切に分離するために使用する識別子です。例えば、特定のエンゲージメントを判別する際に使用する特定の「製品 SKU」などが該当します。

- Event Identifier により、同一のエンゲージメントをグループ化し、重複レコードを除外できます。


参考:「このエンゲージメントシグナルをフローで使用できるようにする」がチェックされていない場合のシグナル定義では、次の画面でイベントの カウント方法 を設定する必要があります。

オプションの説明

  1.  イベントを個別にカウントする(デフォルト)
    同じユーザーが何度も同じ行動をしても、それぞれが別々のイベントとして記録されます。
    例: 同じ人がメールを何回クリックしても、その都度クリックがカウントされ、合計クリック数として反映されます。

  2.  繰り返しイベントをまとめてカウントする(追加項目を使用)
    特定の条件(例:ユーザー ID やメールの一括配信 ID など)でイベントをまとめることで、1 つのまとまったイベントとしてカウントできます。最大で 3 つまで項目を追加できます。
    例: 1 人のユーザーが同じメールの中で複数回クリックしても、それらを1 回のクリックイベントとしてカウントすることができます。(ユーザー ID + メール ID + イベント種別などでまとめるなど)


4. 続いて、特定のエンゲージメントをより適切に識別するために、フィルターを定義します。

例えば、特定の Web ページの閲覧の履歴がある場合にのみトリガーさせることができます。今回は「Product Pricing Page」というページを閲覧した場合にトリガーする形にしてあります。

フィルターで利用可能な演算子

  • イベント条件に利用できる演算子は、テキスト型・日付型いずれの場合も 「次の値に等しい(等しくない・・・日付型では使えません)・値あり・値なし」 のみです。

  • 数値型(通貨も含む)の場合は、「次の値に等しい(等しくない)・値あり・値なし」に加えて、「より少ない、以下、以上、より多い」も利用可能です。

フィルターのテキスト型の条件指定

  • 英語の大文字・小文字は完全一致で区別されます。

  • 「商品価格表」のような日本語でもトリガーされます。

  • 「Product Pricing Page」のように単語の間にスペースを含む場合はトリガーされません。「Product_Pricing_Page」のように 1 ワード形式で指定してください。「Product-Pricing-Page」は 1 ワード扱いになりません。

条件は、AND 条件や OR 条件の設定ができるものの、AND 条件と OR 条件を複合したような複雑な条件は設定できないので、AND 条件の場合はすべて AND になり、OR 条件の場合はすべて OR 条件となります。


5. 最後にシグナルの名前を決めて、保存すれば完了です。

編集不可・削除方法

  • シグナルは一度作成すると定義やフィルターなどを編集できません。作り直しのため削除する場合は、まず関連するフローを無効化し、その後フロー自体を削除する必要があります。


6. イベントトリガーフローのイベントライブラリーにも表示されることを確認しました。


7. 実際に ToDo を作成するためのフローを作成して、実行します。


8. ランディングページの商品価格表のリンクをクリックすると、 2 〜 15 分程度した後に、既存のリードが商品価格表をクリックしたことを示す ToDo が作成されました。成功です。

トリガーのタイムラグについて

  • 通常はイベント発生からトリガーまで 2 〜 15 分程度の遅延 が発生します。該当のエンゲージメント DMO に格納されることが前提となります。

  • 稀に 2 ~ 15 分程度では送信されずに、詰まったような状態になり、数時間後に突然トリガーされる場合もあります。

使われる送信メールアドレスについて

  • イベントトリガーフローは 個人 ID を基準に送信されます。そのため、送信されるメールアドレスは統合個人 ID で使用されるものと異なる場合があります

  • 例:ランディングページ上のリンクをクリックした場合、そのページで取得されたアノニマスプロファイルに関連付けられたメールアドレス宛に送信されます

こちらの送信メールアドレスに関しては、Spring '26 新機能リリースによりコンタクトポイントの取得元 を指定できるようになりました。

  • ① プライマリ DMO に含まれている場合、イベントデータ内から取得

  • Data Graph から取得

※ ② の場合は Unified Individual に紐づくすべてのメールアドレスに対して送信されます。これは仕様通りです。

フローは、選択した方法に基づいて自動的にコンタクトポイントを取得します。これにより、新規に作成された個人レコードや、データ処理中の状態であっても、メッセージングアクションが確実に実行されます。

詳細なイベントトリガーの設定が可能に(Summer '26~)

Summer '26 新機能リリースでは、プライマリ DMO の項目を使用し、トリガー条件をより詳細に設定できるようになりました。トリガー条件を設定するには、開始要素の「Additional Criteria」セクションで「Add Condition」を選択します。

さらに、再エントリー条件を定義することで、同一ユーザーがフローに再度参加できるかどうかを柔軟に制御できるようになりました。
以下のような制御が可能です。

  • Always:イベント発生のたびに再エントリーを許可

  • After completion:フロー完了後のみ再エントリーを許可

  • Never:一度のみ実行(再エントリー不可)


いかがでしたでしょうか。

これはあくまで私個人の考えですが、「エンゲージメントシグナル」という少し聞き慣れない名前のため、新しい特別な機能のように感じるかもしれません。ただし、実際には、Data Cloud トリガーフローに「Send Email Message」要素などの主要なマーケティング関連の要素が存在しないため、その不足した部分を別のフローで補完している仕組みに過ぎない と捉えると、かなり理解しやすくなります。

基本的には、DMO にデータが入ったタイミングで、設定した条件に一致するレコードをトリガーしている、という考え方です。

最初は少しハードルが高く感じるかもしれませんが、実際に触っていくことで、「どういう場面で使うべきか」「どう設計すると扱いやすいか」といった感覚が、徐々に掴めてくると思います。

まずは小さく試しながら、少しずつ慣れていくのがおすすめです。

今回は以上です。


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