【第536回】 Marketing Cloud Next : ID 解決フィルターの設定
Data Cloud の 2026 年 7 月の新機能リリースでは、ID 解決にフィルター機能が追加されました。
これにより、ID 解決に利用するデータを事前に絞り込み、特定のデータのみを対象として ID 解決を実行できるようになりました。
例えば、
B2B データと B2C データのそれぞれで ID 解決をする
テストデータのみでマッチルールを検証する
品質の低いデータを除外する
といった運用が可能になりました。
データスペースフィルターとの違い
これまでも同様の要件を実現するために、「データスペースフィルター」を利用することは可能でした。
しかし、データスペースフィルターと ID 解決フィルターでは、適用されるタイミングや影響範囲が大きく異なります。
データスペースフィルター
データスペースにデータを取り込む段階で適用される
条件ロジックとしては AND または OR のどちらか一つが利用できる
セグメントでは利用できなくなる
計算済みインサイトでは利用できなくなる
データグラフでは利用できなくなる
ID 解決でも利用できなくなる
ID 解決フィルター
特定の ID 解決実行時のみ適用される
AND または OR を組み合わせた条件ロジックが利用できる
一般的にセグメントでは利用できる
一般的に計算済みインサイトでは利用できる
一般的にデータグラフでは利用できる
引き続き、他の ID 解決では利用できる
Tips:Marketing Cloud Next の観点では、そのデータをデータスペース内に保持したまま、特定の ID 解決の対象から除外したいのか、それとも Data Cloud 自体に取り込む必要のないデータなのかを見極めることが重要です。
設定方法
1. 特定の ID 解決を開く

2. Filter を追加

3. 条件を設定
例えば、以下のように、
Industry = Banking
AND
Title = Manager
OR
Industry = Insurance
AND
Title in Director,ManagerAND 条件だけでなく、別グループを追加した OR 条件も利用可能です。

以下のオプションを追加できます。
Trim Spaces
文字列の前後にある空白を無視して比較します。Case Sensitive
大文字・小文字を区別して比較するかどうかを指定します。
制限事項
グループ設定
現在は最大 3 グループまで設定できます。
自動的に OR 条件となります。
グループ内の条件設定
各グループには最大 3 条件まで設定できます。
自動的に AND 条件となります。
注意事項
レコード単位の除外には向かない
Salesforce はこの機能を「パーティション(大きなデータ区分)」のための機能として説明しています。
適切な例
Account Type = B2B
Industry = Banking
Data Source = CRM不適切な例
Email = test@example.com
CustomerID = 12345個別レコードの除外ではなく、大きなデータ区分を対象に利用することが推奨されています。
フィルター変更時は Full Refresh が実行
既存の ID 解決ルールにフィルターを追加または変更した場合、Identity Graph が再計算されます。
そのため、Full Refresh で全件の再処理されます。
大規模環境では処理時間や Data Cloud クレジット消費に影響する可能性があるため、注意してください。
いかがでしたでしょうか。
ID 解決フィルターの追加により、
B2B と B2C のデータを分離する
テストデータを利用してマッチルールを検証する
Unified Profile の作成対象から不要なデータを除外する
といった運用が可能になりました。
特に、本番データ全体に対してマッチルールを適用する前に、サンプルデータのみで検証できる点は大きなメリットです。また、品質の低いデータや意図しないデータの混在を防ぐことで、より正確な Unified Profile の作成にもつながります。
さらに、この機能はデータスペースフィルターとは役割が異なります。データスペースフィルターが「データスペースに取り込むデータそのものを制御する機能」であるのに対し、ID 解決フィルターは「データスペース内のデータを保持したまま、Unified Profile の作成対象となるデータだけを制御する機能」です。
そのため、フィルターで除外したデータであっても、セグメント、計算済みインサイト、データグラフなどの用途では引き続き利用できます。一方で、ID 解決の対象からは除外されるため、より柔軟かつ安全なデータ活用が可能になります。
Data Cloud の ID 解決をより正確かつ効率的に運用するために、ぜひ活用してみてください。
今回は以上です。
