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【第552回】 Marketing Cloud Next : メール監査用 メールアーカイブ機能

Marketing Cloud Next Growth & Advanced Editions では、メールの配信、開封、クリックなどの結果を Email Engagement DMO で確認できます。

一方で、規制、法律、監査、コンプライアンスへの対応を目的として、実際に送信したメールのコピーを Salesforce に保存しておきたい場合があります。そのような場合に利用できるのが、Summer '26 の新機能リリース で登場した Unified Messaging の「Email Archiving」機能です。

重要:Archive アプリは、別ライセンス(Archive ライセンス/アーカイブストレージ)の契約が前提となる機能です。その価格は契約内容やアーカイブストレージの容量などによって異なる可能性があるため、まずは Salesforce のアカウントエグゼクティブへ直接お問い合わせください。

Email Archiving を有効化すると、Marketing Cloud Next から送信されたメールのコピーが、Salesforce 標準のメールメッセージ(EmailMessage)オブジェクト に保存されます。

さらに、「Archiveアプリ を使用すると、保存された EmailMessage レコードを Salesforce 組織の外に移動し、保持期間の管理、検索、表示、エクスポートなどを行えます。

今回の記事では、Email Archiving の有効化から Archive アプリの設定、アーカイブポリシーの作成、Marketing Cloud Next から送信したメールの確認までを順番に検証します。


Email Archiving とは

Email Archiving 機能とは、Unified Messaging から送信したメールのコピーを保存するための機能です。

主に、次のような目的で使用します。

  • 規制や法律への対応

  • 内部監査

  • コンプライアンス対応

  • 顧客へ送信した内容の確認

  • 過去に送信したメールの保管

Email Archiving を有効化すると、送信メールのコピーは標準の「メールメッセージ(EmailMessage)」オブジェクトに保存されるようになります。

ここで重要なのは、Email Engagement DMO と EmailMessage オブジェクトでは目的が異なるという点です。

  • Email Engagement DMO は、メールの配信結果や受信者の反応を分析するためのデータです。

  • 一方、EmailMessage オブジェクトには送信メールのコピーが保存されるため、「実際にどのようなメールを送信したのか」を記録として残す目的で使用できます。


Email Archiving と Archive アプリの違い

「Email Archiving」と「Archive アプリ」は、どちらにも「Archive」という言葉が含まれていますが、同じ機能ではありません。

Email Archiving

  • Email Archiving は、Marketing Cloud Next から送信したメールのコピーを Salesforce 標準の EmailMessage オブジェクトへ保存するための設定です。

  • 送信メールを EmailMessage に保存するだけであれば、まずは Email Archiving を有効化することで実現できます。

  • Email Archiving は直接タブ経由でレコードを見ることができず、開発者コンソールの Query Editor などで見る形になります。

Archive アプリ

  • Archive アプリは、EmailMessage を含む Salesforce の履歴レコードを組織の外へ移動するための機能で、2024 年に買収した「OwnBackup」の機能を使っている Salesforce のファミリー製品です。

  • アーカイブポリシーを作成することで、対象オブジェクト、抽出条件、実行スケジュール、保持期間などを指定できます。

  • Salesforce 組織内に EmailMessage レコードを保存し続けると、レコード数の増加に伴ってデータストレージを消費します。Archive アプリを利用することで、古くなった EmailMessage レコードを組織外へ移し、Salesforce のデータストレージ消費を抑えながら保管できます。

  • Archive アプリでは該当のメールを検索期間で抽出して画面で見ることが可能です。

つまり、今回の仕組みは次の 2 段階で構成されています。

  1. Email Archiving で送信メールを EmailMessage オブジェクトに保存

  2. Archive アプリで古くなった EmailMessage レコードを組織外へ移動

Archive アプリは、EmailMessage への保存そのものを有効化する機能ではありません。EmailMessage に保存されたレコードの長期保管やストレージ管理を行うための機能です。


今回確認する流れ

今回の記事では、次の流れで設定と検証を行います。

  1. Archive アプリの管理者権限を設定

  2. Archive アプリの認証ユーザーを設定

  3. Archive Settings を構成

  4. EmailMessage を対象とするアーカイブポリシーを作成

  5. Unified Messaging の Email Archiving を一度オフにして再度オン

  6. 新しいメールを送信

  7. EmailMessage と Archive アプリの両方で確認


1. Archive アプリの管理者権限を設定

まず、アプリケーションランチャーから「Archive」アプリを開くと、以下のようなポップアップが立ち上がります。

本番運用では、「Archive Admin」権限セットを次の 2 ユーザーへ割り当てる必要があります。

  • Integration ユーザー:スケジュール実行やバックグラウンドのアーカイブ処理を担当

  • 現在のユーザー:Archive アプリの初期設定を行っている現在の管理者

但し、今回のようなテストで試したい場合は、現在のユーザーのみで問題ありません。左の「Check & Assign Permissions」をクリックして、「Archive Admin」権限セットを現在のユーザーに付与します。


2. 組織と Archive サービスの認証

権限を付与したら、「Get Started」をクリックするとログイン画面になります。ここでログインすると以下の画面が表示されますので、アクセス権を許可します。

許可すると以下のような画面に遷移し、組織認証が完了します。現在のユーザーが Archive の Authenticated User として登録され、Archive リージョンも割り当てられました。

この「Own」とは、Salesforce のデータバックアップ/アーカイブ製品を提供していた企業・製品ブランドです。以前は「OwnBackup」と呼ばれており、Salesforce が 2024 年に買収しました。現在は「Own from Salesforce」として Salesforce 製品に統合されています。

さて、次の操作です。

  1. この認証完了画面のタブを閉じる

  2. Salesforce の Archive アプリへ戻る

  3. 画面を更新する

Archive アプリのホーム画面が表示されるはずです。


3. アーカイブポリシーの作成

アーカイブポリシータブを開いて、新規をクリックします。

Archive Salesforce Data を選択して、次へをクリックします。

ポリシー名を決め(例:MCN EmailMessage Archive)、次へ進めます。

次の画面では、今回はデフォルトのままで設定します。

  • Root Object to Archive:EmailMessage

  • Record Limit:10

  • 条件:なし

  • Archive Related Files and Attachments:オフ

  • Data Protected for Days:90

各項目の意味は以下です。

  • Root Object:このポリシーがアーカイブ対象とする起点オブジェクトです。

  • Record Limit:ポリシーを 1 回実行したときに処理する最大レコード数です。保存可能な総件数ではありません。

  • 条件:件名や作成日などによる絞り込みを行わず、全 EmailMessage を候補にします。ただし、Data Protected for Days = 90 のため、作成・更新から 90 日以内のレコードは実際にはアーカイブされません。

  • Archive Related Files and Attachments:EmailMessageに関連するSalesforce Files や Attachment も一緒にアーカイブするかどうかの設定です。メール本文を保存するかどうかの設定ではありません。

  • Data Protected for Days:作成・更新されてから何日間、そのレコードをアーカイブ対象外として保護するかを指定する項目です。初期値の 90 では、新しく作成された EmailMessage を 90 日間アーカイブできません。

プレビューの設定はお好みで良いと思います。

次の画面は、EmailMessage に関連する別オブジェクトも一緒にアーカイブするかを指定する画面ですが、今回は最小構成なので、次の設定にします。

  • Related Object Selection Method:Custom selection

  • 関連オブジェクト:追加で何も選択しない

  • Complete hierarchy:選択しない

Custom selection は、必要な関連オブジェクトだけを個別に選ぶ方式です。一方、Complete hierarchy を選ぶと、EmailMessage から参照できる関連レコード階層全体が対象になり、今回の目的には範囲が広すぎます。

次の画面では、ポリシーの実行スケジュールと、アーカイブ後の保存期間を指定し、設定後、保存して閉じます。

Retention Policy の Archived Date / 3 年は、実際にアーカイブ領域へ移動した日から 3 年間保存する設定です。今回はデフォルト値を使用しますが、本番環境では法令や社内規程に合わせて決定します。

アーカイブポリシーが有効化されました。


4. Email Archiving を有効化

続いて、設定 > Unified Messaging の「Email Archiving」に移動して、Email Messaging オブジェクトに必須のカスタム項目がないことにチェックマークを入れ、前提条件となる Archive アプリが設定できていることにもチェックをします。その後、機能を有効化します。

次はオプションの機能ですが、ユーザーが送信のタイミングで、特定のメール送信だけアーカイブすることを無効にできるようにする機能もあります。

こちらを有効化した場合は、送信定義をする画面でメールをアーカイブするかを個別に選択できるようになります。有効にしていない場合は、以下のセクション自体が表示されず、デフォルトでアーカイブされるようになります。

アーカイブ対象のメールであるかは、開発者コンソールの Query Editor で以下のクエリを叩き、メール定義(ListEmail)を確認することで分かります。

  • 確認する項目:IsEmailArchiveRequired = True が保存です。

SELECT Id, Subject, Status, IsEmailArchiveRequired, CreatedDate FROM ListEmail ORDER BY CreatedDate DESC LIMIT 10

考慮事項

  • 1 日に最大 10 万通のメールをアーカイブできます。

  • 131 KB を超えるメールファイルは切り詰められます。

  • メール添付ファイルはサポートされていません。HTML 本文は保存されますが、添付ファイル ID は Email Message オブジェクトに含まれません。


5. メール送信して EmailMessage を確認する

現時点で、有効化したとて、私の本番環境、SDO(デモ環境)共にアーカイブがたまることはありませんでした。

SELECT Id, Subject, FromAddress, ToAddress, MessageDate, CreatedDate, Status, Incoming FROM EmailMessage

検証時点の設定は以下のとおりです。

  • Enhanced Email:有効

  • Email Archiving:有効

  • オプションの Archive Emails:有効

  • ListEmail の IsEmailArchiveRequired:true

  • 必須カスタム項目:なし

  • Archive アプリ:設定・認証済み

  • EmailMessage 用 Archive ポリシー:作成・有効化済み

  • 新規レコードを即時移動する Archive ポリシー:なし(90 日保護)

  • メール送信:成功・受信済み

  • EmailMessage オブジェクト:SOQL で参照可能

ヘルプで公開されている手順は一通り確認・実施しており、設定漏れはほぼないと考えています。しかし、実際には EmailMessage が生成されず、アーカイブも実行されない という残念な結果になりました。

現時点で考えられる可能性としては、次の 3 点が残っています。

  • Archive アプリが有償サービスなので、SDO(デモ環境)では利用できず、ライセンスまたはバックエンドの有効化が必要である

  • Archive アプリが前提となっており、Email Archiving 機能自体も同様に追加のバックエンドの有効化が必要である

  • 単に、私が設定条件を見落としている

とは言え、今実際に動作までは確認できませんでしたが、Email Archiving という機能が提供されていることや、その設定方法・検証結果についてはご紹介できたと思います。

新たな情報が入りましたら、本記事も随時更新していきます。

今回は以上です。


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