【番外編】第9回 医師になる直前まで続いた親の不安。卒業試験・国家試験・研修医決定までの一年間

【番外編】9.卒業試験・国家試験・研修医決定まで


医学部卒業前、親として過ごした最後の一年
今回は、息子が医学部を卒業する直前から、研修医として働き始めるまでの話を書こうと思います。
息子が医学部に入学して以来、我が家では毎年この時期になると同じイベントがありました。
それは、
「今年は無事に進級できるのか?」
という親の不安です。
年末に帰省してきた息子に、
「学校生活はどうだ?」 「勉強は順調か?」 「試験は大丈夫なのか?」
と冗談混じりに聞くのですが、返ってくる言葉はいつも似たようなものでした。
「多分、大丈夫……」
なぜ毎年そんなに自信がなさそうなのか。
こちらとしては、 「本当に大丈夫なんだろうな?」 ともっと踏み込んで聞きたいのですが、医学部の勉強がどれほど大変かは十分に分かっています。
結局、強く聞くこともできず、毎年その言葉を信じて結果を待つしかありませんでした。


医学部は入学してからもお金がかかる
以前の記事で、大学入学時に学資保険の満期金が約100万円あったと書きました。
ところが、そのお金は入学準備を進めるうちに、あっという間になくなってしまいました。
そして驚いたことに、
医学部は入学したら終わりではありません。
進級するたびに、

  • 来年から〇〇が必要

  • この実習で〇万円必要

  • ○○試験を受ける必要がある

など、さまざまな出費が発生します。
一回一回は仕方のない金額なのですが、気付けば数万円から数十万円単位でお金が飛んでいきます。
「入学できればひと安心」
などと思っていた私は、完全に認識が甘かったようです。


6年生の冬、本当の最後の関門
そんな息子も、気付けば医学部6年生。
いよいよ最後の冬を迎えました。
しかし、親としてはここからが本番です。
医師国家試験を受験するためには、まず大学の卒業試験に合格しなければなりません。
卒業試験は、医師として必要な知識や能力を身につけているかを確認するための最後の関門です。
本人が必死に勉強していることは分かっていました。
だからこそ家族は余計な連絡を控え、邪魔をしないようにしながら、ただ結果を待つことしかできませんでした。


研修医先を決める活動にも驚いた
少し時間は戻ります。
6年生の春頃から、息子は研修医として勤務する病院を探し始めました。
私たち一般人の感覚で言えば就職活動のようなものです。
合同説明会のようなイベントが開催され、病院ごとの説明を聞いたり、実際に病院を訪問したりして進路を決めていきます。
私は最初、この話を聞いて驚きました。
病院見学では交通費が支給されることもあり、食事をごちそうになることも珍しくないようです。
息子から焼肉をごちそうになった話を聞いた時には、
「今の医学生ってそんな待遇なのか?」
と正直驚きました。
昔、企業が優秀な学生を囲い込むために豪華な接待をしていたという話を聞いたことがありますが、少しそれを思い出しました。
もちろん実際は病院によって違うのでしょうが、医師不足と言われる今の状況を考えると、それだけ人材確保が重要なのかもしれません。


卒業前に就職先が決まることへの不安
とはいえ、親としては複雑な気持ちもありました。
研修先の病院は決まっている。
しかし、

  • 卒業試験はまだ終わっていない

  • 医師国家試験もこれから

という状態です。
極端な話、
「もし卒業試験でつまずいたら?」 「もし国家試験に落ちたら?」
という不安もあります。
もちろん本人には聞きづらいので、私は一人でネットを調べながら勝手に心配していました。
親というのは本当に厄介な生き物です。


合格後の態度は予想通り
その後、無事に卒業試験を突破し、医師国家試験も合格しました。
そこで私は聞いてみました。
「国家試験、難しかったか?」
すると返ってきた答えは、
「いや、それほど難しくなかった……」
でした。
試験前はあれだけ不安そうな顔をしていたのに、終わった瞬間これです。
普段の私なら、
「何を天狗になってるんだ」
と一言くらい言っていたかもしれません。
しかしこの時ばかりはそんな気にもなれませんでした。
ただ、
「よく頑張ったな」
そう伝えるだけでした。


なぜその病院を選んだのか
その後、研修医として勤務する病院名を聞いたのですが、私には少し意外でした。
有名大学病院や大規模病院ではなく、地方の中規模病院だったからです。
正直、

  • なぜもっと大きな病院にしなかったのか

  • なぜ実家の近くではないのか

という疑問が浮かびました。
もちろん本人に細かく聞いたわけではありません。
ここからはあくまで父親としての推測です。
まず一つは、
親元を離れた生活を続けたかったのではないか
ということです。
一人暮らしは気楽です。
親にあれこれ言われることもありません。
それでいて、帰ろうと思えば車ですぐ帰れる距離です。
若者にとってはちょうど良い距離感なのでしょう。


中規模病院を選んだ理由を勝手に考える
もう一つの理由は教育環境です。
研修医の人数が少ない病院であれば、より丁寧に指導を受けられる可能性があります。
また、これは完全に私の推測ですが、給与面も関係していたのかもしれません。
調べてみると、大学病院などは意外と給与水準が高くない場合があります。
一方で病院によっては年間でかなりの差があるようです。
もちろん勤務内容や当直、時間外勤務なども関係するので単純な比較はできませんが、若いうちから経済的な自立を考えるのであれば重要な要素だったのかもしれません。


親として思うこと
裕福な家庭で育ったわけではない息子です。
我が家は決してお金に余裕がある家庭ではありませんでした。
だからこそ、将来の生活や経済面について人一倍現実的に考えている部分があるのかもしれません。
医学部受験から始まり、医学部での6年間、卒業試験、国家試験、そして研修医先の決定。
気付けば長い道のりでした。
親としてできることは本当に限られています。
結局のところ、最後は本人を信じて見守るしかありません。
今回の記事では、私が知っている範囲で「医師になる直前までの道のり」を書いてみました。
もし現役の医学生の方や医師の方が読まれていて、
「実際はこうだよ」
という点があれば、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。

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