金持ちからお金をとり、私たち庶民にお金をもっと回すべき…という人との対話
下記の文章は2016年にfacebookに友達向けに書いた記事の再掲です。(思い出にでてきた) 改めて読むと面白かったので公開します。
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タクシーの運転手さんで、たまにやたら饒舌な方がいる。制限時間15分ほどの会話を一期一会と楽しむときもあれば、さながらあまり心地よくないBGMを大音量で聞かされる気分になるときもある。
一方、目的地に移動するためとはいえ、他人と狭いスペースを共有する時間なんてきょうびとても珍しい。
先日、ある運転手さんがどこどこのマンションは最上階の家賃が100万だか150万だかするらしいという話をふってきた。
年間1000万以上を家賃で払うなんて考えられない。いったいどんな人が住んでいるのかと興味津々の様子。
僕はといえば、「へー、はー、そうなんですね。」と相槌を打つ。本音は新幹線に長時間乗った後だったので、できれば静かにしていたい、そんな気分だった。
別に誰がどんな家に住んでいるかなんて全く興味がないし、その金額を知ってどうなるのか。金額を当てたら百万円!といったクイズ番組なら僕も少しは真剣に考えるが。
僕が興味のなさそうな態度だからこそ、運転手さんも半ば必死のプレゼンをした。
「1年で1200万ってことは、10年で1億2000万、20年住んだら2億4000万ですよ?」
そりゃそうだ。と思いながら、あ、家賃は100万で確定なんだな、きっと150万だと計算が難しいからかなー、なんて少し意地悪な気持ちになった。とにかく、他人の家賃にも、運転手さんの計算力にもひたすら興味が湧かないのだ。
しかし、そんな僕の想いもむなしく、運転手さんは僕にいかにその家賃が高いかを伝えてくる。
「サラリーマンの生涯年収ですよ!どう思います?」
いや、どうも思わない。
そもそも、サラリーマンの生涯年収が2億だとかも、その平均年収から計算したことになんの意味があるんだ?と常々思っているからだ。
そりゃ、「東の安住、西の上泉」と言われる西の横綱、毎日放送の上泉雄一アナぐらいだと生涯年収も200億を超えるぐらいになるだろうし、僕みたいな田舎の塾でサラリーマンをスタートして職業人生を全うしたら1.3億ぐらいの生涯年収になるだろう。
1億人以上人口のいる国で「平均」を出して、そこと比較することは、色んな意味で謎すぎる。
「まぁ、お金があるところにはあるんでしょうからねー」
と、覇気のない声で返事をする僕。
「そうなんですよ!そこが問題!私なんかね、この歳(50歳ぐらい)で一人暮らしでしょ?ワンルームで充分なんですわ」
何が問題なんだろう。
「家賃なんて安いもんですよ」
はぁ。
「家なんかにお金かけてどうするんだという話なんです! どうせ、どっかの企業の会長だかが、税金逃れのために借りてるんでしょう!」
税金逃れのために借りてもお金払ってたら結局お金なくなって一緒じゃね?とは思ったけど、それは言わず。
「そんなところで、無駄な家賃に変わるぐらいならグッと金持ちからお金とって、私たち庶民に分けるべきですわ。政治がおかしいんです!」
無駄かどうかはその人が判断することではないし、金額だけで無駄というのはその人の生活での話であって、なのに、それを再配分するという論理は、凄まじすぎる。しかも急に「私」が「私たち」となり主語が広がったなぁと。さらにそれを政治のせいにまでし始めた。
「なるほどー」と僕は相槌を打って、少し質問してみた。
「でも、そんな家に住んでみたくないです?」
「いや、私は宝くじが当たっても、そんな家には住まないですな!分不相応ですから。人間ね、必要のない過度なことにお金を使ってもろくなことがないんですよ。虚栄心ですな」
そうですねー。と僕が返事をすると彼はこういった。
「でも、フェラーリは買うなぁ。4000万か5000万で。だって車好きですもん」
それは分不相応じゃないんかい!、とツッコミそうになったが、まぁ、あと3分ぐらいだから我慢。
「なんにせよね、どこかの大企業の会長の税金逃れのための家賃なんてね、そもそも華美なものに使うぐらいなら私たちに回すべきですな。だいたい、私なんかね、平日は家に寝に帰るだけですから、家なんて広くなくていいんですよ。そしてね、休みの日だってね、朝コーヒー飲みに行ってパチンコか麻雀しに行くわけですから家にいないんでね。やっぱり良い家なんていらない !人生、寝る家があれば充分なんですよね。だからね、政治家がしっかりしてね、ちゃんと私たちにお金を回さないと!」
「んじゃ毎月10万円回ってきたらどうします? 」
「いやー、コーヒー飲んで、美味しいもの食べてパチンコや麻雀をもっとたくさんやれますなー、ガハハ。では、到着しました1500円です」
「はい。どうぞ、ありがとうございましたー。」
個人的には、彼の話をこれだけ聞いたことの対価として3000円ぐらい欲しいと思った。とはいえ、金持ちから所得の再配分をして回ってきたお金は、パチンコと麻雀に使われる、それが「私たち庶民の」正義なのだと勉強になったので、請求はやめておいた。
きっと、妄想で批判されていたどこかの大企業の会長は、きっと「黙っている人」だし、ものすごく社会貢献をしている人なんだろうなとこの記事を読んで思いました。
#坪田の随筆
