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福建逍遥最終回〜中国を旅して感じたこと

いろいろな体験が盛り沢山だった中国・福建の旅。無事に廈門高崎空港に戻り、あとは台北行きの廈門航空のフライトを待つだけになった。

それにしても、現地のドタバタの中で、今の中国(廈門・土樓)のリアルを少し感じたので、それらを簡単にまとめてみようと思う。

1. とにかく何もかもがQR決済

中国では現金がいらない、というのはほぼ本当だ。ホテル・レストラン・デパートから街角の小吃まで、支付宝(Alipay)や微信(Wechatpay)が使えない場所はない。客家土樓の村に泊まったときも、現金オンリーの店などなかった。唯一現金のみだったのは、おじいさんが運転する土樓行きのバイタクくらいだったと思う。

唯一心配だったのは、ホテルのデポジット。中国ではホテル宿泊の際に一定額のデポジットを預かるところがまだあり、以前は現金が足りないと面倒だった記憶がある。(デポジットはマカオのホテルでもあった)幸いにも今回泊まったホテルや民宿はどこもデポジットが不要だったが、デポジットが必要かどうかの実情はまだまだ気になるところだ。

中国旅行の必須品

今のところ、中国国外でのクレカ紐付けができると分かっているのは、支付宝のみ。なので、筆者は今のところ支払いは支付宝一本でしのいでいる。

この点は、中途半端に現金優先主義が根強い台湾よりも、ある意味進んでいると言える。(闇マーケットとかでもない限り、脱税は難しそうな気がする)

2. 日本人も安心して旅ができる、と言いたいところだが

昨今、日中関係はあまり良いとは言えず、中国旅行は敬遠される傾向がつよい。かく言う筆者も、「客家の土樓に絶対行くのだ!」という決意があったので、旅行に踏み切ったが、不安がなかったわけではない。

それでは、現地では実際どうだったかと言うと、日本人が旅行してもおおむね問題ないと感じた。ただし、おおむね、である。筆者は中国語がある程度話せるので、買い物や食堂、ホテル、バス乗車くらいの会話は困らない。また一人旅なので、日本語を発する機会がない。そのため、日本人に気づかれることはほとんどなかった。街行く中国人の中には反日の人がいてもおかしくないが、そんな人と出会って会話する機会はほとんどないだろう。

賑やかな中山路のストリート

今回一番よく話をしたのは、客家土樓の民宿のご主人夫婦だ。これまでの経験では、観光客相手の商売をやっている人は、どちらかと言うと開明的で、(日本人を含めて)外国人を表立って嫌う人の確率は少ないと思う。民宿の人は、宿泊者の国籍は当然知っているので、日本人に対する感想をある程度聞くことができる。

彼らの考えはだいたい以下の通り

① 日本や日本文化は大好きだ
(特にお茶屋さんの日本に対する親近感は概して高いように感じる)

② でも、高市さんは嫌いだ(良くないことをやっていると考えている)

③ 日本と中国は本来は友達(や兄弟)のようなものだ

主語を大きくするのはよくないが、一般の感覚は、だいたいこのくらいなのではないかと思う。

もちろん、極端な思想の持ち主に遭遇したら、危ない目に遭う可能性はあるかもしれない。だが、一般的には、「人や文化」と「政治家・政府」を切り分けて、日本を捉えているように感じる。

このあたりの分析は、専門家の正しいものをもっと学ぶべきだとは思うが、現地の体感は、案外平均値(ただし沿岸部のみ、内陸部の感覚はまったく分からない)に近いのではないかと思っている。

3. 交通費の安さは台湾以上

日本旅行の最大の弱点は、交通費の高さ。日本に一時帰国して少し遠くまで旅行に行こうとすると、それだけで台湾往復くらいの出費になってしまう。

それに比べて、中国旅行の交通費はまだまだ格安だ。街のバスは安ければ1元(約23円)から。地鉄も3元(約70円)からだし、高鉄もよほど長距離でなければ、手が届く値段だ。タクシーも格安で10元(230円)スタート。ほかの街では怖くてできない、タクシーで空港へ、というのも厦門の高崎空港くらいの距離なら、悩まず利用できる。

巨大でモダンな厦門高鉄駅

台湾からやって来て課題だと感じたのは、スマホのバス情報アプリがイマイチ未整備で、百度地図で位置情報や時刻表を検索しようとしても、うまくいかないことが多い。田舎のバスだと、当たりをつけて待っていても、なかなかバスが来ないこともある。

小ぶりなローカルバス

都心部のバスは頻繁に走っているし、地鉄やタクシー(Didi)と組み合わせればあまり困らないと思うが、田舎だと、中国語ができないと、いざという時対応に困るかもしれない。

必ずしも新しいバスばかりではない

とは言え、交通費が安いのは、経済的な旅をする外国人旅行客にとっては、まだまだ有難い。

4. 破壊と開発の片隅で歴史をほんのり守る動きも

中国から届く映像は、本物かどうかはっきるしにいものの、強烈なものが多い。次々と高層マンションが建てられ、古い地区は一気に壊されることもあるようだ。古いものなど何もかも壊しまくっている印象すらある中国だが、実は歴史建築の保存にも一定の力を注いでいる。

こちらの「厦大大旅社」は戦前、厦門でもよく知られた旅館だった。それが戦争その他の出来事の中で生き続け、2021年にはついに史跡に指定。現在では、さまざまなアートイベント等に使われているようだ。

筆者の訪問時は、地元の芸術家の作品展が開催されていた。なかなか気合の入った作品展で見応えがあった。それ以外のコーナーでは、かつてのホテルから保存・修復までの歴史に関しての展示も見られる。

かつてのホテルが史跡に

エントランスを入って正面の階段を見る。大規模ではないが、これがホテルにあったらなかなかすてきな気分のステイになるのではないか。

正面階段がカッコいい

こちらは、第二次世界大戦時に日本軍が厦門を占領した時の写真。この写真の扱いだが、特に日本に対して強く批判する感じは「それほど」なく、歴史の一コマとして展示されていた。

日本軍が中山路を行進する

こちらは、同じく歴史建築の「思明電影院」。100年の歴史を持つハイカラな劇場だ。すごいのは、今でも一般の映画館として最新作などを上映していることだ。台湾では、戦前の劇場がのこっているケースは少なく、廈門のような大都市のど真ん中でこのような建物が残されているのには、正直驚いた。

一方で、安易に古いものをごっそり壊し、巨大な高層マンション群を建設したかと思えば、大都市の旧市街に残る歴史建築を守る。自分自身、このような施策のグラデーションを解読するには、中国を感じる体験がまだまだ足りないが、日本や台湾と同様一色では描ききれない複雑さを内包しているように思う(政治以外)。

この映画館は本当にカッコいい

廈門市民だけでなく、廈門を訪れる観光客も必ず訪れるという中山路。バロック様式の外観を持つ建物がずらりと並んでいる。夜になると、このようにきれいなライトアップが楽しめる。このあたりの感覚のバランスも外部の者にとっては興味深い。

台湾の老街とはまた違う明るさ

5. テレビを流し視聴する

最後にテレビの話をしたい。廈門に戻ってきた時に泊まったホテルでは、一休みしている時にテレビを見た。

日本では中国国内のメディア報道が揶揄されることが多いが、実際にどんな内容が放送されているのだろうか。

例えばニュース番組だと、トップの内容は習近平総書記のその日の功績を称える内容。その次に日本関連のニュースで、高市首相を批判する報道が目立った。

特に年配者にとってはテレビが最大の情報入手先であることがまだ多い。たとえ沿岸部の大都市でも、高市氏に(ある意味)不利と言える報道が連日行われているので、いわゆる「高市嫌い」が広まっている印象は受けた。

だがよく考えて欲しい。日本人も中国人も、別に一日中反日や反中のことばかり考えて生きているわけではないだろう。高市首相の施策や思想について、聞かれれば批判的な回答をする人が多いだろうが、あくまで「聞かれたから答えただけ」という人のほうが多いのではないか。

ほんの僅かな例からの推測なので、いろいろ外れているかもしれないが、(中国政府がやっている施策はともかく)旅行するだけなら、中国はそれほど恐れる必要がない国だと思う。(中国独自の縛りは、もちろん気をつけた上での話だが)

またいつか、この国を少し掘り下げて感じる旅に来たいものだ。

廈門から台北に戻る


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