AIの発展と知財活動の関係は?
【今日のポイント】
ChatGPTを始めとして、ディープシークその他多くの生成AIとこれらを利用したサービスが急拡大していることは、実感されている方も多いかと思います。
特許出願や特許分析などの知的財産に関する分野でも、AIの発展と知財活動は相互に影響しており、その状況は、企業活動全般に大きな影響を与えるため、要注目と考える次第です。
1.ChatGPT、ディープシーク、ル・シャットなどの各種AIとAI利用サービスの発展
生成AIであるChatGPT(OpenAIが開発)が2022年に公開されて以来、様々な生成AIやそれらを活用したサービスが急速に普及し始めていますね。
省エネ性や低開発コストで話題になっている、中国企業のディープシーク(DeepSeek)が開発した同名のAIや、
フランスのミストラルAI社(Mistral AI)が開発した、プライバシーとデータ保護を重視しているル・シャット(Le Chat)、
以下の、マイクロソフト社のCopilotなど、様々な特色を持つAIが誕生し、
日本のNTTデータが提供しているLITRON Generative Assistant(Azure OpenAI Serviceを利用)のように、生成AIを活用した社内規則や関連法規、コールセンターの今までの顧客とのやり取りのデータなどに基づく文書の作成サービスなど、
生成AIの開発と利用は急速に広がっていることは、ニュースや解説記事などで非常によく目にするところですし、以下のような中小企業向けのサービスを既にご利用になっている方もいらっしゃるかと思います。
『Microsoft 365 Copilot(一般法人向け)』

2.特許審査や分析・調査など、知財活動へのAIや専門家の活用
だいぶ前、2017年のブログトピックス『特許庁とAIの相性は?』で、特許庁のAI導入の動きを採り上げましたが、
現在、特許庁においても、重要な知的資産の一つである知的財産、その中の産業財産権(特許権、実用新権案、意匠権、商標権)の審査の中で、
以下のようにAI関連技術の特許審査について、外部専門家の活用促進などの対応を進めています。
『AI関連技術の専門的知見に基づき特許審査官をサポートする外部有識者として、「AIアドバイザー」を新設します』
2024/3/28の経済産業省のリリース記事。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)
『令和6年4月1日付けで、体制強化後のAI担当官をはじめとした特許審査官に、AI関連技術の専門的知見に基づくサポート(技術的な研修及び質問対応等)を行う外部有識者として、「AIアドバイザー」を新設します。
これにより、AI関連技術に関して継続的な知見向上を図るとともに、AI関連発明を適切に審査します。』
また、特許庁では、特許審査などの自身の業務へのAI技術の活用についても取り組みを進めています。
『特許庁における人工知能(AI)技術の活用に向けたアクション・プランの令和6年度改定版について』
2024/5/20の特許庁のリリース
上記の『アクション・プラン(令和6年度改訂版)』はこちら
(出典:特許庁の施策関連の紹介ページ)
上記のアクション・プランでは、特許分類付与や先行技術調査、特許審査管理業務など9項目に分けて、令和4年度(2022年度)から令和8年度(2026年度)にかけてのアクションプランを提示しており、既にアジャイル型開発を用いて、導入のフェーズに入ってきています。
このように、AI技術の特許等に関する審査関連の業務の強化と、
AI技術自体を用いた特許庁の業務の改善の双方が進んでおり、
同様に、特許事務所、知財分野のITベンダーなどの関係者もAI関連の特許等の出願対応に加えて、AIを用いた特許調査やIPランドスケープなどの特許分析サービスの開発・導入を進めており、
今後、知的財産関連でのAIの存在感もますます高まるものと改めてその影響力の大きさに驚かされています。

3.AIを活用するための知財関連のガイダンスやチェックリストなど
このように、生成AIなどのAI技術の開発と導入は知的財産の分野でも進んでいますが、
一般の事業や業務においてAIを活用するうえで知的財産の観点から必要な情報提供やルール作りなども始まっています。
その一例として、経済産業省は、今年2025/2/18に、以下のチェックリストを公表しています。
『「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を取りまとめました』
『経済産業省は、生成AIの普及を始めとする近年の市場環境の変化を踏まえ、当事者間の適切な利益及びリスクの分配、ひいてはAIの利活用を促すことを目的として、我が国の事業者が使いやすい形式の「AIの利用・開発に関する契約チェックリスト」を取りまとめました。』
上記のチェックリスト『AIの利用・開発に関する契約チェックリスト 令和7年2月』はこちら
このチェックリストは、今までに公表された、AI・データ関連の契約のガイドラインなどと、昨今のAI技術とその利用の進展を踏まえて、以下の3点を方針として新たに作成されたものです。
『・ AI技術を用いたサービスの利用者が、サービスの提供者に対して提供するデータの利用範囲や契約上のベネフィット(サービスの水準、AI生成物の利用条件等)について十分な検討を行うために必要な基礎的な知識を提供すること
・提供されるデータの不適切な利用等を避けられるよう、利用者において、契約時にチェックするべきポイント(チェックポイント)を具体的に記載すること
・次に示す幅広い想定読者や利用場面を念頭に置き、AI利活用の契約実務に有益な参考資料とすること』
同チェックリストが想定している主な読者は、企業内の
『社内法務部・顧問弁護士 等』と『ビジネス部門担当者 等』であり、
『AI利活用の実務経験は問わない』と、これjからAIを導入しようというAI未経験者も対象としていることから、
幅広い層に向けたチェックリストを目指していることが窺われます。
また、同チェックリストに加えて、今までに公表されたAI・データ関連の契約等のガイドラインも、以下のページにまとめて掲載されています。
『リアルデータの共有・利活用』
経済産業省
このように、AIを業務の生産性向上や商品・サービスの品質・機能向上などに利用するうえで、知的財産の視点からも情報収集とその利用は重要性を増しており、
これらの情報や実務に基づく知見は、これからの企業にとって企業規模を問わず、必要な知的資産になるものと改めて感じた次第です。
御社では、AIの利活用について、どのような方針により、どのように取り組んでいらっしゃるでしょうか?

【今日のまとめ】
・ChatGPTやディープシークなど、生成AIの普及により、AI活用は各分野で急速に広がっている
・知的財産の分野でも、AI関連の技術の知的財産権の取得への対応面、特許庁などの知的財産権を取り扱う業務へのAI活用面の双方で、AIとの関わりが広がりと深化を見せている
・AIを導入する際に生じる知的財産面での課題も今後さらに拡大するため、その法整備やルール作りも進み始めており、その情報収集と実務面での活用は、自社の重要な知的資産になるものと考える次第です
最後までお読み頂き、有難うございます(*^^*)!
コメント、ご質問お待ちしております(^o^)!
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