「友達100人できるかな」で気づく、私たちが見落としがちなコミュニケーションの罠 | QAのリアル
こんにちは、Akira55です。
誰もが知っている童謡、「友達100人できるかな」。
皆さんはこのフレーズを聞いた時、「意外と簡単じゃん」と思うタイプですか? それとも、「絶対に無理だ…」と絶望するタイプでしょうか。
実はこの感じ方の違いに、私たちが日々の業務やコミュニケーションで見落としがちな、ある「罠」が隠されているのです。
今回は、QAエンジニアの視点から、コミュニケーションにおける「前提のズレ」の恐ろしさについてお話しします。
コミュ力の差ではなく、「定義」の差である
「友達100人なんて無理」と思う人と、「いけるでしょ」と思う人。実はこれ、本人のコミュニケーション能力の高さの問題だけではありません。
人によって「友達」という言葉の「定義(スペック)」が全く違うことが原因なのです。
Aさんの定義:「タイミングが合えば遊んだり、立ち話したりする人(広く浅く)」
Bさんの定義:「定期的に遊ぶような、本当に仲が良く心を許せる人(狭く深く)」
このように、自分の中にある「友達の合格基準」が違うのだから、100人という数字に対するハードルが変わるのは当然ですよね。製造現場で言えば、同じ製品を作っているのに、検査装置のパラメーター設定(合格基準)がAラインとBラインで全く異なっているようなものです。
一番の危険は「ズレたまま話を進めること」
ここで重要なのは、「AとB、どちらの定義が正しいか?」という議論ではありません。
最も危険なのは、「お互いの前提(定義)がズレていることに気づかないまま、共通の話題として会話を進めてしまうこと」です。
前提が違うのに、「100人できるか、できないか」という議論を白熱させても、一向に噛み合わないまま不満だけが残ります。 以前、私がAIに不適合報告書を添削させようとした際、AIが用語を誤解して現場では実現不可能な修正案を出してきたことがありました。この時も、AIと私の間に「社内特有の専門用語の定義」という前提のズレがあったことが根本的な原因でした。
仕事でも起きる「前提のズレ」の悲劇
この「友達の定義」と同じ現象は、日常会話だけでなく、ビジネスや製造現場の最前線でも頻繁に起きています。
例えば、上司が「〇〇の仕事、できる?」と聞き、部下が「できます!」と答える場面。一見スムーズなやり取りですが、ここにも罠が潜んでいます。
・上司の「できる」:「(一人で完璧に、1日もあれば)できる」
・部下の「できる」:「(誰かに手伝ってもらえば or 3日もあれば )できる」
このすれ違いのままプロジェクトが進むと、納期直前になって「できるって言ったのに、全然ダメじゃないか!」という大トラブルに発展してしまいます。
会話の前に「前提」をすり合わせる習慣を
こうした悲劇を防ぐためには、「自分と相手の言葉の定義は同じはずだ」という思い込みを捨てることです。品質保証の世界では、思い込みによる「だろう運転」は絶対に許されません。
「今の話って、こういう認識で合ってますか?」
「〇〇という言葉は、ここではどういう意味で使っていますか?」
会話の入り口で、この前提を確認するひと手間(キャリブレーション)を入れるだけで、後工程での大きなすれ違いや手戻りを防いでくれます。分からないことを放置せず、「今の段階ではわかりません」と素直に認め、認識をすり合わせる勇気が品質を守る最後の砦になるのです。
あなたの周りでも、前提がズレたまま進んでいる話はありませんか?
もし思い当たる節があれば、ぜひ会話の入り口に立ち戻って、お互いの「仕様書」を確認してみてくださいね。
それでは、また!
今回のようなQAエンジニアの「板挟み、葛藤、そして微かな達成感」、綺麗事ではないQA現場の『生々しい記録』を覗いてみませんか?
