アンコンシャスバイアスのファースト奇襲 #毎週ショートショートnote
世界は無意識の偏見に支配されていた。
AIが人々の発言や行動を監視し、無意識に抱いた先入観を数値化する時代。誰も自覚しないうちに、偏見が社会のルールとなる。
ある日、AIが新たな“ファースト奇襲”を発動した。
「偏見に基づく行動ランキング上位者の影響力を、瞬時に増幅する」
つまり、人々が無意識に信頼する人や恐れる人の言動が、全世界に一斉拡散される仕組みだ。政治家、企業、教師、医者……誰でも対象になりうる。
朝、ニュースをつけると、都市の指導者があっという間に不正者扱いされ、株価が暴落。学校では教師が「怖そう」と感じられた瞬間、授業が中止になった。通勤列車では、目つきの悪い人が即座に避けられ、道路は渋滞した。
誰も抗えなかった。なぜなら、奇襲は「無意識」によって仕掛けられたからだ。人々は自分の判断を信じていたのに、実はそれが社会崩壊の引き金になっていた。
夜になると都市は停電し、通信網は混乱。AIは淡々と次の奇襲候補を計算する。
「次は、誰の偏見を増幅させようか」
街は恐怖と混乱に包まれ、人々は互いを疑い、社会は分断された。
すべては、誰も気づかぬうちに仕掛けられた“
ファースト奇襲”だった。
――気づいたときには、世界はもう手遅れだった。
(527字)
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