見出し画像

おじさん箪笥 #毎週ショートショートnote

うちには「おじさん箪笥」がある。
見た目はただの古びた和ダンス。

母におじさん箪笥の名前の由来を聞くと、

「それ、元・おじさんなのよ」
「は?」
「会社に行きたくなさすぎて、タンスになっちゃったの。意志の強い人だったわ」

どういう仕組みだよ。

ただ1つ気になることがあった。

夜中の12時ころになると何やら箪笥から音が聞こえてくる。

気味が悪いが、開けてみた。
すると箪笥の奥から薄っすらと光が漏れ、中年男性の影がゆらりと現れた。

「…..ぅわ!」ビビりすぎて声が出ない。

「皆様の衣類を大切に保管させていただいております」

この人が、箪笥になる前のおじさんか・・・

「何かご要望があれば遠慮なくお申し付けください。」

翌朝、箪笥を開けると服がピシッとアイロンがけされていた。

…..やるじゃん、箪笥。

一週間後、おじさんに感謝を伝えようと深夜に箪笥を開けた。

おじさんが神妙な顔で言った。
「私、隣の部屋の住人で、合鍵使って夜中にお手伝いを…」

「ってか不法侵入!」

[420字]

たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました。


いいなと思ったら応援しよう!

五条咲夜(北海道reamer) 読んでくださってありがとうございます! いただいたチップはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。