紫陽花男子 〜SNSで活動中 #毎週ショートショートnote
大学生の彩は、弁当屋の「紫陽花亭」でパートを始めて三週間。
「水曜は、気合い入れてな。紫陽花男子が来る日だから」と
店主の洋子から一言。
最初は意味がわからなかった。
だが、水曜11時58分。
その男は現れた。
歳は20代前半くらい。
長身で細身の色白のちょっとイケメン。
買うのは「紫陽花亭弁当」。梅しそご飯に、紫キャベツのラペ。
彩が「それ…好きなんですか?」と聞くと、
彼はちょっとだけ照れて言った。
「いや、SNSで“映える”んで…」
聞けば、“紫陽花男子”としてSNSで活動中。
彩は笑った。
彼は、赤面した。
次の週から、なぜか私が「紫陽花亭弁当」を詰める担当に。
“おいしくて、ちょっと可愛い”をテーマに、こっそりハート型の人参を入れてみた。
そして、その週の水曜日。
「これ…ハートですか?」
紫陽花男子は、ごはんの片隅に気づいた。
私は焦って、
「えっと、間違えて型抜きました…すいません!」
彼は小さく笑った。
「来週も、間違えてください」
次の水曜、紫陽花亭の弁当箱に、卵焼きが♡型になっていた。
紫陽花男子は、SNSの投稿が、もっと楽しみになった。
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たはらかにさんの企画「#毎週ショートショートnote」に参加させていただきました。
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