14年勤めた公務員を退職。「安定を捨てるのはもったいない」という葛藤の先に。
14年間勤めた公務員を、辞めました。
採用試験を受けた当時の志望動機は、確か「結婚・出産をしても長く続けられそうだから」だったと思います。
前職がハードな環境だったこともあり、休暇制度や福利厚生が整った公務員なら、当たり前に「仕事と家庭を両立できる」と信じて疑いませんでした。
実際、周囲には両立しながらバリバリ働く先輩たちもたくさんいます。「私も、普通にできるはずだ」――そう思っていました。
「時短勤務」という名の現実
しかし、3人の子どもを授かり、育休から復帰した私を待っていたのは、想像を絶する過酷な現実でした。
時短勤務とはいえ、責任のある正職員。繁忙期になれば仕事は容赦なく舞い込みます。
「なぜ時短なのに、20時、21時まで残業しているんだろう?」
そんな疑問を抱えながら、擦り減っていく心と身体。
もっと余裕を持って、笑顔で子どもたちと接したい。
なのに、現実はイライラと焦燥感に飲み込まれていく……。その悔しさともどかしさが、私に「これからの働き方」を真剣に考えさせました。
「もったいない」という呪縛との戦い
退職を考えたとき、真っ先に頭をよぎったのは「公務員を辞めるなんて、もったいなくない?」という心の声でした。
公務員試験を乗り越えて手に入れた、安定した身分。
将来時短が終われば、それなりに稼げる給料とボーナス。
充実した福利厚生もあるし、部署にもよるがテレワークも可能な環境。
「あと5年、いや数年踏ん張れば、育児は楽になるかもしれない。今さえ乗り越えれば、定年まで安泰なんだろうな……」
何度も、何度も、そんな考えが巡りました。
「将来の安定」よりも「今の日常」を
でも、最後に行き着いたのは、シンプルな答えでした。
「何年後かの安定のために、今この瞬間の、子どもたちとの時間を犠牲にしたくはない」
確かに数年待てば、両立は今より楽になるかもしれません。でも、その頃には子どもたちはもう大きくなっています。私が一緒に笑い、向き合いたい「今」の子どもたちの姿は、もうそこにはありません。
もちろん、収入がなくなることへの不安は、決して小さくありません。
正直に言うと、夫の収入だけで子ども3人を養っていけるほど、金銭的に余裕があるわけではないのです。このまま長い間、無職であり続けることは現実的に不可能です。
それでも、今回の退職に踏み切ったのは、「働き方」そのものを根本から変えたかったからです。
これから先、また仕事を再開することになったとしても、これまでのように子どもたちとの時間を大幅に割くような働き方は、絶対に避けたいと思っています。家族との笑顔の時間こそが、今の私にとっての「安定」だからです。
どうしても働きたくなったら、また探せばいい。今は「アルムナイ採用(元職員の再採用)」という制度だってあります。
私は、器用に多くのことをこなせるタイプではありません。
だからこそ、今の私にとって一番大切な「家族との時間」に、今は真っ直ぐ向き合いたい。そう思って、14年のキャリアに区切りをつけました。(大して長いキャリアではありませんが…)。
世間一般の「もったいない」(社会的安定)よりも、自分にとっての「もったいない」(家族との時間)。私は、後者を選びました。
この決断が、これからの私と家族の、新しい笑顔に繋がると信じています。
