アートで食べたい人が、最初にぶつかる現実
アートを仕事にしたい人は、最初に知っておいた方がいい。
この世界は、夢だけでできていない。
作品が好き。
美術館が好き。
作家を支えたい。
いつか自分も表現で食べていきたい。
その気持ちは、入口としては大事だと思う。
でも、現場に入るとすぐ分かる。
アートの仕事は、感性の仕事である前に、かなり泥臭い商売でもある。
作品の説明だけをしていればいいわけではない。
展覧会の空間で美しい言葉を並べていればいいわけでもない。
実際には、搬入、搬出、検品、額装、配送、顧客管理、電話、葉書、催事案内、支払い確認、売上目標、広告費、在庫管理がある。
作品の前に立っている時間より、作品が売れる状態を作る時間の方が長い。
ここを知らないまま「アートを仕事にしたい」と言うと、かなり危ない。
なぜなら、アート業界で一番しんどいのは、作品が嫌いになることではなく、好きなものを仕事にした瞬間、好きだけでは通用しない現実にぶつかることだからだ。
アート業界は「作品を見る力」だけでは足りない
もちろん、作品を見る力はいる。
作家の経歴。
技法。
素材。
美術史上の位置づけ。
市場での評価。
価格の根拠。
これを知らないと、仕事にはならない。
ただ、現場ではそれだけでは弱い。
なぜなら、作品を買うのは人だからだ。
お客様は作品を見ているようで、実際にはもっと多くのものを見ている。
この画廊は信用できるのか。
この販売員は売りたいだけではないか。
この価格に理由はあるのか。
買ったあとも相談できるのか。
家に飾って後悔しないか。
自分の判断は間違っていないか。
高額な作品になればなるほど、お客様は作品そのもの以上に、自分の決断を支えてくれる根拠を探している。
だから、アートの仕事は「作品を説明する仕事」ではない。
本当は、
お客様が自分で納得して選べる状態を作る仕事だ。
ここを間違えると、どれだけ知識があっても売れない。
説明しすぎる販売員は、作品を強くしているつもりで、実は作品とお客様の間に入りすぎていることがある。
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現場で分かる一番の現実は「売れる作品」と「良い作品」は別だということ
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