【国際法】海洋での秩序維持
※この記事は国際法の専門家が書いたものではなく、法学部生によって書かれたものです。多少の誤りがあるかもしれませんが、あたたかい目で読んでください。いい勉強になりますので、誤りについてはご指摘いただければうれしいです。
※この記事は特定の国や人物たちを批判する意図で書かれたものではありません。
管轄権
旗国は、自国の国籍を有する船舶に対して管轄権を行使することができます。特に公海上においては、原則として旗国のみが警察権を行使することが認められています。
沿岸国は、自国の管轄水域において自国法令違反が確認された場合には、船舶の無害通航権を害しない範囲で管轄権を行使することができます。
非旗国による船舶への管轄権の行使は、条約等によって拡張されることがあります。例えば、麻薬新条約第17条は、非旗国による取締りに対する旗国の協力義務を定めています。また、海洋航行不法行為防止条約(SUA条約)第8条の2は、旗国に連絡し、一定時間内に返答がない場合には、非旗国による乗船および必要な措置を可能とする制度(いわゆる「4時間ルール」)を導入しています。
国家が海上で警察権を行使する際には、必要かつ合理的な範囲での武器使用にとどめること、国連憲章第2条第4項に反する武力行使を伴わないこと、また免除が認められる公船を侵害しないことなどの配慮が求められます。
海上暴力行為
国連海洋法条約第101条において、海賊行為とは、①公海上において、②私的目的のために、③他の船舶等に対して行われる暴力行為等をいうと定義されています。
海賊行為については、すべての国が臨検、拿捕および訴追を行うことが認められています(普遍的管轄)。
これに対し、領海内で行われる同様の行為は「船舶に対する武装強盗」と呼ばれ、主として沿岸国が取り締まります。関連する枠組みとして、アジア海賊対処地域協力協定(ReCAAP)や、国連安保理決議1816があります。後者は、ソマリア沖において諸国による海賊対処を領海のみならず内水にも拡張して認めた点で特異とされています。
また、海洋航行不法行為防止条約(SUA条約)上の犯罪については、「引き渡すか訴追するか」という原則が規定されています。
輸送犯罪
海洋は輸送手段として広く利用されるため、各種の輸送犯罪にも利用され得ます。特に、公海上では旗国のみが警察権を行使するのが原則であることから、輸送犯罪の取締りには国際協力が不可欠です。
国連海洋法条約第110条は、奴隷船等について非旗国による臨検を認めています。また、麻薬新条約第17条は旗国の同意を前提とした海上取締りの国際協力を定めており、同条約第6条は「引き渡すか訴追するか」という原則を規定しています。
さらに、改正海洋航行不法行為防止条約は、大量破壊兵器の運搬等を犯罪として規定しています。
<参考文献>
【書籍】
・加藤信之、萬歳寛之、山田卓平編『概説国際法』(2024年、有斐閣)第7章「海洋法」Ⅳ「共通利益の保護」1「秩序維持」189-191頁。
【Web】
・外務省「麻薬・薬物犯罪」 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/mayaku/index.html
(閲覧日2026年4月20日)
