憲法学者・長谷部恭男の多面性
長谷部恭男という人は、なかなかのクセモノである。
いまでこそ、『しんぶん赤旗』にもときおり登場するようになったものの、彼の政治的立場は、どちらかというと右寄りと思われる。
実際、10年前、2015年6月4日の衆議院憲法審査会では、自民党推薦の参考人として招致されていた。
にもかかわらず長谷部氏は、涼しい顔をして安保法制は違憲だと主張し、当時の安倍首相と与党自民党に恥をかかせた。
一方で、特定秘密保護法(2013年成立)のときは賛成意見をのべているし、自衛隊合憲の立場でもある。
そういう憲法学者だから、安保法制のときも自民党から参考人招致されたのだろうけど、自民党は逆に煮湯を飲まされるハメとなる。
長谷部氏は憲法学者なのだが、どちらかというと政治哲学とその歴史に傾倒している人である。
そういう学者だけに、2015年6月4日の衆議院憲法審査会での立憲主義についての解説は、憲法を支える政治哲学の歴史的変遷をふまえたものになっていた。
立憲主義は、たんなる形式論理的な概念ではなく、そのときどきの理想的な政治のあり方(政治哲学)と結合したものである。
それだけに、2015年6月4日の衆議院憲法審査会における長谷部氏による立憲主義の解説は正鵠を射るものであり、最初に読んだときは膝を打ったものだ。
ここにリンクした記事もふくめて、安保法制問題のように、長谷部氏が最も得意とする議論が、そのときどきの社会運動がもとめるものとうまくかみ合えば、大きな威力を発揮することもあるかもしれない。
ただ、上記したように、特定秘密保護法については、運動と敵対する立場をとったし、自衛隊合憲論も運動状況によっては危ういものだ。
それだけに、長谷部氏の議論については、注意深く吟味することが重要である。
(2025年9月18日記)
