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shinobuwada
#11【創作大賞2025書き出し小説】涙の隠し場所
父の葬儀も終わり少し落ち着いたころ。
実家で母といっしょに父の遺品の整理をしていると「あんたこんなん使うか?お父さんの引き出しに入ってたけど」と何やらチケットのようなものを1枚持ってきた。
「いるなら期限もあるし、向こう帰る前に行ってきたら?」
それは、近くのスーパー銭湯の割引券だった。
父に、幼少期にそこへよく連れて行ってもらった記憶がよみがえった。
よくサウナに入っていた父に対抗して我慢して入ってはすぐに出てを繰り返して怒られた。思春期を迎えるころには、父とは行かなくなっていた。
実家からの帰りにせっかくだから入って帰ろうとスーパー銭湯へ。
体を清めてからサウナに。
父の葬儀では、ある程度覚悟していたこともあってか涙は出なかった。
「こんなに熱かったっけな…」
大量の汗に隠れて涙が溢れてきた。
