特許法50条の2 既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知
1.条文解説
●趣旨(短縮)
従来は、(i)権利化時期を先延ばしすることのみを目的として、又は、(ii)別の審査官により異なる判断がなされることを期待して、同じ発明を繰り返し分割出願するといった分割出願制度の濫用がなされる場合があった。このため、出願人による拒絶理由通知書の精査を促し、不要な分割出願を抑止するために、50条の2の規定は設けられた。
●趣旨(フル)
平成18年の一部改正以前は、もとの特許出願の審査において既に拒絶の理由が通知されている発明をそのままの内容で再度分割出願することが可能であり、もとの特許出願の審査において通知された拒絶の理由を十分に精査するよう特許出願人に促す仕組みになっていなかった。そのため、権利化時期を先延ばしすることのみを目的として、あるいは別の審査官により異なる判断がなされることを期待して、拒絶理由通知の内容や明細書等の記載内容を充分に精査せずに、同じ発明を繰り返し分割出願するといった分割出願制度の濫用がされているとの指摘があった。また、平成18年の一部改工により分割の時期的制限が緩和されることにより、このような分割出願制度の濫用が助長されるおそれがあるとの指摘もあった。そこで、分割出願制度の濫用を抑止し、通知された拒絶理由を十分に精査するよう出願人に促す仕組みとして、法50条の2が設けられた。
2.拒絶理由が解消された場合における特許法50条の2の通知
特許法50条の2では、ファミリ出願等の他の特許出願で通知された拒絶理由通知と同一の拒絶理由通知をする場合には、その旨を通知することが規定されています。
この特許法50条の2の通知ですが、特許・実用新案審査ハンドブック6110によると、
他の特許出願において、拒絶理由が適切でない旨の主張が意見書等でなされたことによってその拒絶理由が解消された場合、
には通知されないようです。
そもそも、特許法50条の2の趣旨は、出願審査の効率化と思われます。
このため、不適切と思える拒絶理由通知の内容まで、特許法50条の2の通知をする必要はありませんね
・特許・実用新案審査ハンドブック6110 他の出願において通知された拒絶理由が適切でない場合の取扱い
第50条の2の通知の対象となるのは、同条の趣旨に鑑みて、他の特許出願において通知された拒絶理由のうち、適切な内容の拒絶理由のみであるから、他の特許出願の審査において適切でないと判断された拒絶理由は、第50条の2の通知の対象にはならない。審査官は、本願の審査について、その拒絶理由を通知する場合でも、第50条の2の通知をしない。
他の特許出願の審査において適切でないと判断された拒絶理由とは、例えば、他の特許出願の審査において、拒絶理由が通知されたものの、その拒絶理由が適切でない旨の主張が意見書等でなされたことによってその拒絶理由が解消されたものをいう。
●参考情報
・特許・実用新案審査ハンドブック6110
・特許法50条の2
(既に通知された拒絶理由と同一である旨の通知)
第五十条の二 審査官は、前条の規定により特許出願について拒絶の理由を通知しようとする場合において、当該拒絶の理由が、他の特許出願(当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に第四十四条第二項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなつているものに限る。)についての前条(第百五十九条第二項(第百七十四条第二項において準用する場合を含む。)及び第百六十三条第二項において準用する場合を含む。)の規定による通知(当該特許出願についての出願審査の請求前に当該特許出願の出願人がその内容を知り得る状態になかつたものを除く。)に係る拒絶の理由と同一であるときは、その旨を併せて通知しなければならない。
