意匠法9条 先願

 本条は、特許法39条に対応した規定です。


1. 意匠法9条1項

 同一/類似意匠について、異なる日に複数の意匠出願があった場合、最先の出願人のみが登録を受けられる、という規定です(意匠法9条1項)。

 ここで、出願日とは原則として現実の出願日です。ただし、分割出願、変更出願、パリ優先権を伴う出願は、元の出願日又は優先日です。なお、補正却下後の新出願の場合も、出願日は繰り上がります。
 一方、要旨変更補正と判断された場合(意匠法9条の2)には、出願日が繰り下がります

2. 意匠法9条2項

 同一/類似意匠が同日で競合した場合、出願人が同一人であっても、異なる人であっても、協議により選択した出願人しか登録を受けることができません。なお、協議不成立の場合は、全員が登録を受けられません。

 協議不成立により拒絶確定した場合、先願地位が残ります。また、協議不成立により拒絶確定した意匠は、公報で公示されます(意66条3項)。

3. 意匠法9条3項

 出願放棄、取下げ、却下、拒絶査定確定、拒絶審決確定(意9条2項の場合除く)した場合、その出願の先願地位は消滅します。これは、公開されない先願に基づく拒絶連鎖を防止するためです(意匠法では、特許法のように権利成立前の出願公開はない)

 逆の見方をすると、先願地位が残るのは、意匠権が成立した場合と、協議不成立により拒絶確定した場合です。


4. 意匠法9条4項

 同一/類似意匠が同日で競合した場合、特許庁長官による協議命令が出されます。
 協議により、登録を受ける一人の出願人が決まると、公報に協議が成立したことが掲載されます(準特施規則29条)


・意匠法9条

(先願)
第九条 同一又は類似の意匠について異なつた日に二以上の意匠登録出願があつたときは、最先の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。
2 同一又は類似の意匠について同日に二以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみがその意匠について意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができないときは、いずれも、その意匠について意匠登録を受けることができない。
3 意匠登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、又は意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、その意匠登録出願は、前二項の規定の適用については、初めからなかつたものとみなす。ただし、その意匠登録出願について前項後段の規定に該当することにより拒絶をすべき旨の査定又は審決が確定したときは、この限りでない。
4 特許庁長官は、第二項の場合は、相当の期間を指定して、同項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を意匠登録出願人に命じなければならない。
5 特許庁長官は、前項の規定により指定した期間内に同項の規定による届出がないときは、第二項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。


・特許法施行規則29条

(協議が成立した旨の特許公報への掲載)
第二十九条 特許法第三十九条第六項の規定により協議をしてその結果を届け出るべき旨を命じられた場合において、当該出願人の協議により一の特許出願人が定められたときは、当該特許出願についての同法第六十六条第三項に規定する特許公報に次に掲げる事項を掲載しなければならない。
一 協議が成立した旨
二 協議により定めた一の特許出願人以外の出願人の氏名又は名称及び住所又は居所
三 前号の出願人の出願に係る発明又は考案の発明者又は考案者の氏名及び住所又は居所

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