特許法74条 特許権の移転☆
1.特許法74条について
冒認出願がなされた場合における、真の権利者(冒認出願「された」側)への事後的な権利移転を規定しています。
冒認出願がなされた後、真の権利者が出願しても特許権を取得できない場合があります。また、真の権利者が出願していない場合、特許権の移転請求が認められない可能性が高いです。一方、真の権利者は、真の権利者による出願がなされたか否かによらず、発明公開による産業発達に寄与しています。このため、移転請求制度が導入されています。
特74条1項の移転請求は、共同発明の発明者が、他の人に勝手に出願された場合の救済も規定しています。
特74条1項の救済を受けるためには、
①権移転請求訴訟を提起すること、
②その訴訟で、相手方の特許権に係る特許発明について、自己が真の発明者又は共同発明者であることを主張立証して、勝訴判決を得ること、
が必要です(大阪地裁平成29年11月9日(平成28(ワ)8468))。
具体的に主張立証しなくてはならないのは、
(A)自己が特許発明と同一内容の発明をしたこと
(B)特許発明は自己が単独又は共同で発明したものであって、相手方が発明したものでないこと
です(大阪地裁平成29年11月9日(平成28(ワ)8468))。
2.具体的な移転手続きについて
判決又は相続その他一般承継による登録は、登録権利者だけで申請することができます(特許登録令20条)。このため、登録義務者に対して登録移転を認める判決があり、その判決が確定していれば、登録権利者だけで登録申請することができます。
また、訴訟では和解することも考えらえます。
和解した場合、移転元特許権者(登録権利者)と移転先特許権者(登録義務者)の両方が申請しなければならないのが原則です(特許登録令18条)。
ただし、移転元特許権者(登録権利者)の承諾書があれば、移転先特許権者(登録義務者)だけでも移転登録申請が可能です(特許登録令20条)。
・特許法74条
(特許権の移転の特例)
第七十四条 特許が第百二十三条第一項第二号に規定する要件に該当するとき(その特許が第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は同項第六号に規定する要件に該当するときは、当該特許に係る発明について特許を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その特許権者に対し、当該特許権の移転を請求することができる。
2 前項の規定による請求に基づく特許権の移転の登録があつたときは、その特許権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該特許権に係る発明についての第六十五条第一項又は第百八十四条の十第一項の規定による請求権についても、同様とする。
3 共有に係る特許権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、前条第一項の規定は、適用しない。
・特許登録令18条 登録の申請
(登録の申請)
第十八条 登録は、法令に別段の定めがある場合を除き、登録権利者及び登録義務者が申請しなければならない。
・特許登録令19条 登録の申請
第十九条 登録は、申請書に登録義務者の承諾書を添附したときは、登録権利者だけで申請することができる。
・特許登録令20条 登録の申請
第二十条 判決又は相続その他の一般承継による登録は、登録権利者だけで申請することができる。
・特許登録令21条 登録の申請
第二十一条 登録名義人の表示の変更又は更正の登録は、登録名義人だけで申請することができる。
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