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TRIPS協定1条 義務の性質及び範囲

 TRIPS協定の正式名称は、知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights)といいます。 

 GATTウルグァイラウンドの不明確な点を明確化し、さらに、積極的に知的所有権の保護基準及び行使に関する重要な規定を盛り込んだ協定とされています。WTO協定付属書1Cとされています。1995年01月01日に発効しています。

 TRIPS協定が他のWIPO所管の条約等と異なるのは、条約違反行為に対する制裁を与えることができる点です。いままでは、このような制裁規定は設けられていませんでした。しかし、TRIPS協定では、協定違反国に対して最終的には貿易制裁を加えることが可能になりました。具体的には、協定違反国は、紛争解決機関に提訴された後、違反行為に対する裁定や勧告がなされます。協定違反国が是正勧告等に従わない場合、貿易制裁をすることができます。

 各加盟国は、TRIPS協定が要求する保護よりも広範な保護を与える自由を有します(TRIPS協定1条(1))。しかし、そのような行為は義務ではありません。

 知的財産権の保護は、著作権及び関連する権利、商標、地理的表示、意匠、特許、集積回路の回路配置、開示されていない情報の保護、に及びます。
 なお、明文の規定としては、実用新案への保護は規定されていません。一方、商標には、サービスマーク(役務商標)が含まれます。

 TRIPS協定の加盟国は、他の加盟国の国民に対しこの協定に規定する待遇を与えることが義務付けられています(TRIPS協定1条(3))。

・TRIPS協定1条 義務の性質及び範囲

(1) 加盟国は,この協定を実施する。加盟国は,この協定の規定に反さないことを条件として,この協定において要求される保護よりも広範な保護を国内法令において実施することができるが,そのような義務を負わない。加盟国は,国内の法制及び法律上の慣行の範囲内でこの協定を実施するための適当な方法を決定することができる。
(2) この協定の適用上,「知的所有権」とは,第2部の第1節から第7節までの規定の対象となるすべての種類の知的所有権をいう。
(3) 加盟国は,他の加盟国の国民(注1)に対しこの協定に規定する待遇を与える。該当する知的所有権に関しては,「他の加盟国の国民」とは,世界貿易機関のすべての加盟国が1967年のパリ条約,1971年のベルヌ条約,ローマ条約又は集積回路についての知的所有権に関する条約の締約国であるとしたならばそれぞれの条約に規定する保護の適格性の基準を満たすこととなる自然人又は法人をいう(注2)。ローマ条約の第5条(3)又は第6条(2)の規定を用いる加盟国は,知的所有権の貿易関連の側面に関する理事会(貿易関連知的所有権理事会)に対し,これらの規定に定めるような通告を行う。
(注1)
この協定において「国民」とは,世界貿易機関の加盟国である独立の関税地域については,当該関税地域に住所を有しているか又は現実かつ真正の工業上若しくは商業上の営業所を有する自然人又は法人をいう。
(注2)
この協定において,「パリ条約」とは,工業所有権の保護に関するパリ条約をいい,「1967年のパリ条約」とは,パリ条約の1967年7月14日のストックホルム改正条約をいい,「ベルヌ条約」とは,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約をいい,「1971年のベルヌ条約」とは,ベルヌ条約の1971年7月24日のパリ改正条約をいい,「ローマ条約」とは,1961年10月26日にローマで採択された実演家,レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約をいい,「集積回路についての知的所有権に関する条約」(IPIC条約)とは,1989年5月26日にワシントンで採択された集積回路についての知的所有権に関する条約をいい,「世界貿易機関協定」とは,世界貿易機関を設立する協定をいう。

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