特許法53条 補正の却下
審査の迅速性の確保のため、所定の場合には補正却下がなされる。具体的には、通算2回目以降の拒絶理由通知に対する補正が不適法であることが特許査定の謄本の送達前に認められた場合には、当該補正は却下される。
・補正却下となる場合
(1)特50条の2の通知が併せてなされた最初の拒絶理由通知に対する補正
(2)最後の拒絶理由通知に対する補正
(3)拒絶査定不服審判の請求と同時にする補正(159条で53条を準用する)
・最初の拒絶理由通知に対する補正は、補正却下の対象ではない(53条)
・特許査定の謄本送達後に不適法であったと認められた場合
新規事項を追加する補正のみが無効理由とされる。
その他の要件については、迅速な権利付与の実現、出願間の公平な取扱いの観点から再度の審査を回避するため補正を制限したものであり、無効とするほどの実体的な瑕疵があるとは認められないため無効理由とはならない。
・補正却下の決定に対して不服を申し立てできない理由
その間審査が中止され、迅速な権利付与が図られないため。ただし、拒絶査定不服審判において、拒絶査定の可否と併せて補正却下決定の可否を争うことはできる。
・補正却下の決定に基づく新出願制度を廃止した理由
(1) 優先権制度の利用によって要旨変更のおそれのある補正については、安全確実に所期の目的を達成できる。
(2) 原出願の出願公開後の補正が却下された後の新たな特許出願は、その公開公報により拒絶される可能性が極めて高く、新出願の制度は存在意義をほぼ失っている。
・最後の拒絶理由通知に対する補正のうち、補正却下の対象となる補正
(1)新規事項を追加する補正(第17条の2第3項違反)
(2) 発明の特別な技術的特徴を変更する補正(第17条の2第4項違反)
(3) 目的外の補正(第17条の2第5項違反)
(4) 独立特許要件を満たさない補正(第17条の2第6項違反)
・特許法53条
(補正の却下)
第五十三条 第十七条の二第一項第一号又は第三号に掲げる場合(同項第一号に掲げる場合にあつては、拒絶の理由の通知と併せて第五十条の二の規定による通知をした場合に限る。)において、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面についてした補正が第十七条の二第三項から第六項までの規定に違反しているものと特許をすべき旨の査定の謄本の送達前に認められたときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
3 第一項の規定による却下の決定に対しては、不服を申し立てることができない。ただし、拒絶査定不服審判を請求した場合における審判においては、この限りでない。
