意匠法17条の2 補正の却下

 意匠法では、補正が要旨変更補正と判断されると、本条の規定に基づいて、補正却下となります。

趣旨

 特許法では、要旨変更補正に相当する補正がなされると、拒絶理由通知がなされます。しかし、意匠法においては、特許法のような広範な補正は認められておらず、権利付与の遅延が生じていませんでした。また、補正がなされても要旨変更か否かの判断を行うにあたり、解釈が入り込む余地が比較的少なく、客観的な判断が可能です(意匠は物品の美的外観だから)。このため、補正却下としても審査の遅延に与える影響が少ないため、要旨変更補正を補正却下としています。

要旨と要旨変更

 「要旨」とは、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、願書の記載及び願書に添付した図面等から直接的に導き出せる具体的な意匠の内容をいいます。
 「要旨の変更」とは、出願当初の願書の意匠に係る記載事項及び願書添付の図面の要旨を、その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出すことができる同一の範囲を越えて変更するもの、または出願当初に不明であった意匠の要旨を明確なものとするものと認められるものをいいます。

 基本的に、願書、図面等の記載を補正すると要旨変更になります。
しかし、例外的に、補正が、(i)その意匠の属する分野における通常の知識に基づいて当然に導き出せる同一の範囲のものである場合、(ii)意匠の要旨の認定に影響を及ぼさない微細な部分についての記載不備を正す補正である場合(誤記の訂正、不明瞭な記載の釈明)、には要旨変更補正にはなりません。

 なお、複数の意匠を含む出願において、出願に含まれる意匠の一部の削除は、要旨変更補正ではありません。

補正却下決定の影響と対応

 補正却下決定後、決定謄本送達日から3月は査定(登録査定、拒絶査定の両方)はできません(意17条の2第3項)。ただし、査定をしない限り、処理を進めることは可能です。

 補正却下決定に対して、補正却下決定不服審判を請求できます(意17条の2第4項)。補正却下決定不服審判が請求されると、審判の審決確定までの間、意匠登録出願の審査が中止されます。
 これは、無駄な審査を行わないようにするためです。
具体的には、審決確定前に補正が却下された姿の意匠登録出願について審査をしても、(i)審判請求が理由ありとされた場合は補正後の意匠登録出願について審査をしなおさなければならず、(ii)また補正後の意匠登録出願について審査しても審判請求が理由なしとされた場合は補正が却下された姿の意匠登録出願について審査しなければならないことになるからである。


・意匠法17条の2

(補正の却下)
第十七条の二 願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。
2 前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。
3 第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三月を経過するまでは、当該意匠登録出願について査定をしてはならない。
4 審査官は、意匠登録出願人が第一項の規定による却下の決定に対し補正却下決定不服審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその意匠登録出願の審査を中止しなければならない。


#弁理士
#弁理士試験
#弁理士試験の受験勉強
#意匠法
#知財
#知財法

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集