不競法2条2項~11項 定義
不競法2条2項~11項は、不競法で用いられる語句の定義がなされています。
1.不競法2条2項
不競法2条2項で定義されている「商標」とは、商標法2条1項に規定される商標です。また、不競法2条2項で定義されている「標章」とは、商標法2条1項に規定される標章です。商標、商標には立体的形状が含まれますので(商標法2条)、マークではなく立体的な形状だから商標ではないという考えは誤りです。
2.不競法2条4項
不競法2条4項で定義されている「商品の形態」は、需要者が「通常の」用法に従った使用に際して知覚(視覚及び触覚)によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感のことです。
通常の用法が前提なので、普通は分解しない商品を分解した場合、分解後の内部形状は、商品の形態ではありません。
3.不競法2条5項
不競法2条5項で定義されている「模倣」は、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことです。
依拠性は、既存の他人の商品等に基づいて、新たな商品を作った場合に認められます。このため、偶然、既存の他人の商品等と同じ形状となった場合は、依拠性は認められません。実質的同一とされるのは、同種商品間における商品形態を比較して、商品の全体から見て重要な意味を有する部分が実質的に同一である場合です。
4.不競法2条6項
不競法2条6項で定義されている「営業秘密」は、一般的に企業内で秘密として管理されている情報です。具体的な定義は、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの、です。
つまり、営業秘密と言えるためには、
①秘密として管理されていること(秘密管理性)、
②事業活動に有用な技術上、営業上の情報であること(有用性)、
③公然と知られていないこと(非公知性)、
の3要件を満たす必要があります。
これらの①~③の要件のうち、争点になることが多いのが、①の秘密管理性を満たしているか否かです。
秘密管理性を満たすか否かの判断ポイントは、
①-1 企業等が特定の情報を秘密として管理しようとする意思を明示しているか
①-2 情報に接した従業員等が、その情報が秘密であると認識できるか
の2つです。
つまり、企業等は情報を秘密として適切に管理し、さらに、情報に接した従業員等がその情報が秘密だと分かるようにしておく必要があります。
紙の資料の場合、よく使われるのが、
その紙の資料を読める人を制限し、
紙の資料に「秘密」であることを示すハンコを押す、
ことです。
なお、この営業秘密(不競法2条6項)は、TRIPS39条2項(a)で規定されている「当該情報が一体として又はその構成要素の正確な配列及び組立てとして,当該情報に類する情報を通常扱う集団に属する者に一般的に知られておらず又は容易に知ることができないという意味において秘密であること」と同じ意味です。
5.不競法2条7項
不競法2条7項で定義されている「限定提供データ」は、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報です。ただし、秘密として管理されているデータは、限定提供データではありません(限定提供されていないから)。
限定提供データの具体例が、会費支払により提供を受けられるデータです。
6.不競法2条8項
不競法2条8項で定義されている「技術的制限手段」には、大きく分けて2つがあります。一つ目がコンテンツの視聴等を制限するために、そのコンテンツとともに記録媒体に記録等されるものです。二つ目が、特定の者に限って、コンテンツ視聴等ができるようにするために、コンテンツを一定のルールで変換等するものです。
7.不競法2条9項
不競法2条9項で定義されている「プログラム」は、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものです。
プログラムとデータが混在している場合は、捉え方が難しいですが、基本的にある結果を得るために必須のデータやパラメータであれば、それらのデータはプログラムの一部を構成するものと考えられます。
仮にプログラムにバグがあっても、プログラムとしての保護が受けられます。これは、バグがないことの証明は不可能なので、バグがあれば保護が受けられないとすると、プログラムが保護されないことになるからです。
8.不競法2条10項
不競法2条10項で定義されている「ドメイン名」は、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合です。ドメイン名は、インターネット上の住所、と言われることもあります。このため、企業内部のみからアクセスできるイントラネット上のアドレスはドメイン名ではありません。
9.不競法2条11項
不競法2条11項で定義されている「物」は、プログラムを含むとしています。
・不競法2条2項~11項
(定義)
第二条
2 この法律において「商標」とは、商標法第二条第一項に規定する商標をいう。
3 この法律において「標章」とは、商標法第二条第一項に規定する標章をいう。
4 この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
5 この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
6 この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう。
7 この法律において「限定提供データ」とは、業として特定の者に提供する情報として電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他人の知覚によっては認識することができない方法をいう。次項において同じ。)により相当量蓄積され、及び管理されている技術上又は営業上の情報(秘密として管理されているものを除く。)をいう。
8 この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法により影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録のために用いられる機器をいう。以下この項において同じ。)が特定の反応をする信号を記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音、プログラムその他の情報を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。
9 この法律において「プログラム」とは、電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。
10 この法律において「ドメイン名」とは、インターネットにおいて、個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応する文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合をいう。
11 この法律にいう「物」には、プログラムを含むものとする。
・TRIPS39条
第39条
(1) 1967年のパリ条約第10条の2に規定する不正競争からの有効な保護を確保するために,加盟国は,開示されていない情報を(2)の規定に従って保護し,及び政府又は政府機関に提出されるデータを(3)の規定に従って保護する。
(2) 自然人又は法人は,合法的に自己の管理する情報が次の(a)から(c)までの規定に該当する場合には,公正な商慣習に反する方法(注)により自己の承諾を得ないで他の者が当該情報を開示し,取得し又は使用することを防止することができるものとする。
(注)
この(2)の規定の適用上,「公正な商慣習に反する方法」とは,少なくとも契約違反,信義則違反,違反の教唆等の行為をいい,情報の取得の際にこれらの行為があったことを知っているか又は知らないことについて重大な過失がある第三者による開示されていない当該情報の取得を含む。
(a) 当該情報が一体として又はその構成要素の正確な配列及び組立てとして,当該情報に類する情報を通常扱う集団に属する者に一般的に知られておらず又は容易に知ることができないという意味において秘密であること
(b) 秘密であることにより商業的価値があること
(c) 当該情報を合法的に管理する者により,当該情報を秘密として保持するための,状況に応じた合理的な措置がとられていること
(3) 加盟国は,新規性のある化学物質を利用する医薬品又は農業用の化学品の販売の承認の条件として,作成のために相当の努力を必要とする開示されていない試験データその他のデータの提出を要求する場合には,不公正な商業的使用から当該データを保護する。更に,加盟国は,公衆の保護に必要な場合又は不公正な商業的使用から当該データが保護されることを確保するための措置がとられる場合を除くほか,開示されることから当該データを保護する。
#弁理士 #弁理士試験 #弁理士試験の受験勉強 #知財 #知財法 #不競法 #不正競争防止法
#毎日note #コラム #毎日更新 #note #毎日投稿 #note毎日更新 #毎日 #最近の学び #毎日更新倶楽部 #考察コラム #クリエイティブ #士業
