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特許法 判例 知財高判平成23年9月15日(平成22年(行ケ)第10265号)

 この判例は、国内優先権主張の効果が認められるか否かにの判断基準が示されました(判決文全文)。

 具体的には、基礎となった出願の明細書等と、優先権主張を伴う出願の明細書等の間に、発明のポイントに関連しない相違点がある場合がありますが、この相違点は優先権主張の効果を否定する理由にはなりません

第4 当裁判所の判断
5 取消理由5(国内優先権に係る判断の誤り)について
(1) 本件審決の当否について
原告は,本件審判手続における平成22年4月2日付け弁駁書(3)の中で,本件訂正発明に対する予備的な無効理由として,本件訂正明細書の【0014】から【0016】には,優先権当初明細書には記載のない「実質的に同数」との記載があり,優先権当初明細書に記載された発明の範囲を超えているから,出願日遡及の効果は認められず,したがって,本件訂正発明は,甲1発明に基づき,当業者が容
易に発明できたものであると主張したものであるが,これに対し,本件審決は,原告の上記主張は,本件訂正に係る申立書の提出前にはなかったものであり,実質的には,審判請求の要旨を変更する補正に当たるので,特許法131条の2第1項の規定に違反し,採用することはできないと判示している。
しかしながら,原告は,本件の審判請求書(甲33)において,本件出願の当初から,その明細書には優先権当初明細書には記載のない「実質的に同数」との記載があるから,本件発明は優先権当初明細書に記載された発明の範囲を超えており,特許法41条2項の適用を受けることができない旨主張しているのであるから,上記弁駁書(3)の主張が,審判請求の要旨を変更する補正であるとはいえない。したがって,本件審決には,特許法131条の2第1項の解釈を誤り,その結果,原告の主張内容について審理しないままこれを排斥したという判断の誤りがあったといわなければならない。
・・・しかしながら,例えば,「尚,これまでの図1の説明において言う「実質的に同数」とは,針釜が正方向に回動した際の針数の減少数又は増加数と,逆方向に回動した際の針数の減少数と増加数との間に,編み立てに関与する編針の針数の約10%程度が相違してもよいことを意味する。」という記載(本件訂正明細書【0016】)や,「この針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。」(同【0018】)という記載は,優先権当初明細書にはないものであるが,ここでいう実質的とは,いずれもV字の形状に関するものではなく,針釜が正方向に回動した際の針数の減少数又は増加数と,逆方向に回動した際の針数の減少数又は増加数の相違に関するものである。そして,V字は,正方向に回動した際の回動端であるところの連結線HJと連結線HM又は連結線NTと連結線VNによって規定されるものであるから,正方向と逆方向の間における針数の増加数又は減少数の相違は,V字の形状,構造に影響しない
そうすると,優先権当初明細書に記載された発明と比較して,本件訂正発明の請求項1及び請求項3の権利範囲が広がっているということはできない
したがって,原告の主張は理由がなく,本件審決の前記判断の誤りは,特許法41条2項の適用という結論に影響を及ぼすものではなかったといわなければならない。

https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/619/081619_hanrei.pdf

●判決文全文    https://www.ip.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/619/081619_hanrei.pdf

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