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意匠法26条の2 意匠権の移転の特例

1.条文解説

 冒認出願された特許出願が登録された場合、正当な「意匠登録を受ける権利を有する者」は、冒認出願に対して意匠権の移転を求めることができます(意匠法26条の2第1項)。

 意匠法26条の2第1項で意匠権の移転がなされると、移転した意匠権は、初めから正当な「意匠登録を受ける権利を有する者」に属していたものとされます(意匠法26条の2第3項)。意匠法26条の2第1項の移転の際には、意匠権共有者の同意は不要です(意匠法26条の2第4項)。

 関連意匠がある場合(基礎意匠と関連意匠がある場合)、基礎意匠と関連意匠は一体でしか移転できません(意22条)。例外として、基礎意匠と関連意匠のどちらかが遡及消滅した場合は、基礎意匠、関連意匠は分離して移転できます(意匠法26条の2第2項)。これは、複数の者に抵触した意匠権が属しないようにするためです。

2.質問への回答

 コメントに記載された質問について、当方の見解を記載します。

先生!一つ質問させてください。
もし、T社がP社の意匠を盗用して、P社の意匠を、T社の本意匠の関連意匠として出願・意匠権の設定登録を受けた場合、P社はT社から意匠権の移転を請求することはできないでしょうか?26条の2①の規定の理解がまだ浅くて。。。

結論からいうと、「移転できない」だと考えます。

※厳密には、「移転を請求する」手続を行うことはできるが、権利移転がなされることはない、です。

この質問を時系列順に書き直すと、
①T社が本意匠の意匠権(又は出願)を保有しているが、
②T社保有の本意匠の関連意匠として、P社から盗用した意匠を出願して登録を受けた、
③P社は盗用された意匠についての意匠権の移転請求(意26条の2)ができるか、
ということですね。

 このケースについてが考えたことがありませんでしたが、「基礎意匠及びその関連意匠の意匠権は、分離して移転することができない」(意22条1項)の規定があるので、移転できないと考えます。

仮に、P社が盗用された意匠について出願した場合、T社の本意匠と類似するために、登録を受けることができません。このため、P社が出願しても取得できない意匠権を、P社に移転させることは妥当ではありません。

また、意22条1項の規定から考えても、抵触する複数の権利を、別人に所属させるのは妥当とはいえません。

これらのことから、移転できないという結論になると考えます。

・意匠法26条の2

(意匠権の移転の特例)
第二十六条の二 意匠登録が第四十八条第一項第一号に規定する要件に該当するとき(その意匠登録が第十五条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は第四十八条第一項第三号に規定する要件に該当するときは、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者は、経済産業省令で定めるところにより、その意匠権者に対し、当該意匠権の移転を請求することができる。
2 基礎意匠又は関連意匠の意匠権についての前項の規定による請求は、基礎意匠又は関連意匠の意匠権のいずれかの消滅後は、当該消滅した意匠権が第四十九条の規定により初めから存在しなかつたものとみなされたときを除き、することができない。
3 第一項の規定による請求に基づく意匠権の移転の登録があつたときは、その意匠権は、初めから当該登録を受けた者に帰属していたものとみなす。当該意匠権に係る意匠についての第六十条の十二第一項の規定による請求権についても、同様とする。
4 共有に係る意匠権について第一項の規定による請求に基づきその持分を移転する場合においては、第三十六条において準用する特許法第七十三条第一項の規定は、適用しない。

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