商標法 判例 朝バナナ事件 平成21(ワ)657号

 判例100選の第27番で取り上げられている判例です。

●概要
 原告(ぶんか社)は、被告書籍のタイトルに「朝バナナ」の文字が使用されているので、原告の商標権を侵害し、不正競争行為にあたるとして、被告(データハウス社)に対して書籍の販売差止、書籍の廃棄、損害賠償を請求した。

●詳細
 書籍タイトルが商標権侵害か否かで争われた案件です。

 原告(ぶんか社)は、「朝バナナ」の商標権(第5171201号)を有しており、「朝バナナダイエット」「もっと朝バナナダイエット」等の書籍を出版していました。

 一方、被告(データハウス社)は、「朝バナナダイエット成功のコツ40」という書籍を出版していました。この本の著者は、「ぽっちゃり熟女ゆっきーな」という、全くぽっちゃりに見えない人です。

●結論
 商標権侵害ではない。また、不正競争行為にもあたらない。

 商標権侵害について、「被告書籍のカバーや表紙等における被告標章の表示は、被告標章を単に書籍の内容を示す題号の一部として表示したものであるにすぎず、自他商品識別機能ないし出所表示機能を有する態様で使用されていると認めることはできないから、本件商標権を侵害するものであるとはいえない」として、原告商標権の侵害を否定した。

 不正競争行為について、「「朝バナナ」という用語は,朝食時にバナナと水を摂取することを基本とするダイエット方法として知られる「朝バナナダイエット」を略称した用語として一般に知られていること,両部分は統一感のあるデザイン,色調で記載されていることに照らせば,被告書籍に接した読者は,「朝バナナ」という部分を,原告の出版活動と関連させて理解するというよりは,むしろ,被告書籍が「朝バナナダイエット」に関する内容の書籍であることを強調する部分であると理解するものと考えられる。」として、不正競争にはあたらないとした(不正競争防止法2条1項1号,2号にはあたらない)。


●感想
 訴訟を提起した理由は、自社ブランド(信用)を守るためかと思いました。具体的には、「いやし系」を標榜する自社書籍が、「いやらし系」を標榜する者が著者である他社書籍と混同されてはかなわないという流れと思います。

 批判的見方をすると、「登録商標が勝手に使われているので、侵害だ! 不法行為なので損害賠償」という流れの可能性もありますが、こういう流れとは思いたくありません。

 なお、不正競争防止法2条1項1号では「混同のおそれ」の有無がポイントになりますので、商標的使用が前提となる商標法とは違った観点での主張もできたと思います。

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