審決取消訴訟での審理範囲(物品の表面装飾構造及びその加工方法)

 「物品の表面装飾構造及びその加工方法」事件 知財高裁平成29年1月17日(平成28年(行ケ)第10087号)では、審決取消訴訟での審理範囲として以下のように示されています。

 無効審判で審理判断されなかった公知事実との対比はできませんが、無効審判で提示していた文献等の記載内容を使うのであれば、新たな主張も可能ということでしょうか。

 特許無効審判の審決に対する取消訴訟においては,審判で審理判断されなかった公知事実を主張することは許されない(最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判決・民集30巻2号79頁)。
 しかし,審判において審理された公知事実に関する限り,審判の対象とされた発明との一致点・相違点について審決と異なる主張をすること,あるいは,複数の公知事実が審理判断されている場合にあっては,その組合せにつき審決と異なる主張をすることは,それだけで直ちに審判で審理判断された公知事実との対比の枠を超えるということはできないから,取消訴訟においてこれらを主張することが常に許されないとすることはできない
・・・引用発明1ないし3は,本件審判において特許法29条1項3号に掲げる発明に該当するものとして審理された公知事実であり,当事者双方が,本件審決で従たる引用例とされた引用発明2を主たる引用例とし,本件審決で主たる引用例とされた引用発明1又は3との組合せによる容易想到性について,本件訴訟において審理判断することを認め,特許庁における審理判断を経由することを望んでおらず,その点についての当事者の主張立証が尽くされている本件においては,原告の前記主張について審理判断することは,紛争の一回的解決の観点からも,許されると解するのが相当である。
 なお,本判決が原告の前記主張について判断した結果,請求不成立審決が確定する場合は,特許法167条により,当事者である原告において,再度引用発明2を主たる引用例とし,引用発明1又は3を組み合わせることにより容易に想到することができた旨の新たな無効審判請求をすることは,許されないことになるし,本件審決が取り消される場合は,再開された審判においてその拘束力が及ぶことになる。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/435/086435_hanrei.pdf

●判決文
 http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/435/086435_hanrei.pdf

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