強制執行手続(直接強制、代替執行、間接強制)
特許権、意匠権、商標権が侵害された場合、差止請求認容する判決が確定すれば、その判決の内容を執行する手続きに移ります。
もちろん、認容された差止請求の内容について、相手方(被告)が債務履行してくれれば、楽です。しかし、相手方(被告)が債務履行しない場合は、強制執行の手続きに移ります。
強制執行の種類には、直接強制、代替執行、間接強制の3通りがあります。
一般的な差止請求では、「・・・〇〇の生産、使用をしてはならない」(特許法100条1項)のような不作為債務の履行が求められます。このような不作為債務に対する強制執行は、間接強制になります(民事執行法172条)。
間接強制とは、債務者に債務を履行しない場合に金銭の支払いを命じるものです。つまり、金銭的な制裁を課すことで、債務履行を強制させるものです。
※〇〇を引き渡せという趣旨の判決であれば、直接強制になると思われますが、不勉強で、この種の判決は見たことがありません。
※損害賠償金の支払いにおいて、被告側の財産を差し押さえて弁済してもらうのが直接強制です。
差止請求の付帯請求として物の廃棄や侵害の行為に供した設備の除却等特許法100条2項)が認められた場合の強制執行は、代替執行になります(民事執行法171条)。
なお、差止請求が認容されても、侵害製品はそのまま販売されることもあるようです。この場合、その侵害製品の販売については、金銭的な補償がなされるようです。
結局、差止請求が認容された場合であっても、最終的には、金銭的補償で解決されると捉えた方が分かりやすいのかもしれません。
そう考えた場合、損害賠償は過去の侵害行為に対する金銭的補償であり、差止請求は現在から将来にわたる侵害行為に対する金銭的補償になると思われます。
・民事執行法171条 代替執行
(代替執行)
第百七十一条 次の各号に掲げる強制執行は、執行裁判所がそれぞれ当該各号に定める旨を命ずる方法により行う。
一 作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で第三者に当該作為をさせること。
二 不作為を目的とする債務についての強制執行 債務者の費用で、債務者がした行為の結果を除去し、又は将来のため適当な処分をすべきこと。
2 前項の執行裁判所は、第三十三条第二項第一号又は第六号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める裁判所とする。
3 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、債務者を審尋しなければならない。
4 執行裁判所は、第一項の規定による決定をする場合には、申立てにより、債務者に対し、その決定に掲げる行為をするために必要な費用をあらかじめ債権者に支払うべき旨を命ずることができる。
5 第一項の強制執行の申立て又は前項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 第六条第二項の規定は、第一項の規定による決定を執行する場合について準用する。
・民事執行法172条 間接強制
(間接強制)
第百七十二条 作為又は不作為を目的とする債務で前条第一項の強制執行ができないものについての強制執行は、執行裁判所が、債務者に対し、遅延の期間に応じ、又は相当と認める一定の期間内に履行しないときは直ちに、債務の履行を確保するために相当と認める一定の額の金銭を債権者に支払うべき旨を命ずる方法により行う。
2 事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定による決定を変更することができる。
3 執行裁判所は、前二項の規定による決定をする場合には、申立ての相手方を審尋しなければならない。
4 第一項の規定により命じられた金銭の支払があつた場合において、債務不履行により生じた損害の額が支払額を超えるときは、債権者は、その超える額について損害賠償の請求をすることを妨げられない。
5 第一項の強制執行の申立て又は第二項の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
6 前条第二項の規定は、第一項の執行裁判所について準用する。
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