現場監督の「日報」を、スキャンで軽くする ―― 出来高管理のこれから
現場監督の「日報」を、スキャンで軽くする ―― 出来高管理のこれから
先日、ある土木の会社で、DXを担当されている方と話していました。テーマは「出来高(できだか)をもっと正確に知りたい」という管理側の要望。……のはずが、話しているうちに行き着いたのは、数字の精度そのものより、「現場監督の働き方」の話でした。今日は、その気づきを書いてみます。
そもそも「出来高」って?
出来高というのは、ざっくり言えば「工事が、いまどこまで進んだか」を表す数字です。どれだけ掘ったか、どれだけ打設したか、どこまで組み上がったか。これが分からないと、お客さまへの請求も、社内の原価管理も、次の工程の判断も、うまく回りません。請求・原価・工程の判断に使う、土台の数字だと思っていただければ十分です。
そしてこの出来高、実は今も、人の確認や手入力に頼る場面が多くあります。現場監督が現場を見て回り、写真を撮り、メモを取り、事務所に戻って日報にまとめる。地味ですが、毎日続く作業です。
管理側の、正直なジレンマ
管理する側からすると、出来高はできるだけ正確に、こまめに知りたい。進みが分かれば、段取りも、請求や原価の見通しも立てやすくなるからです。
ところが、ここにジレンマがあります。今のやり方だと、精度を上げようとするほど、手間(工数)が増えるのです。細かく正確に数えようとすれば、現場を確認する回数も、まとめる時間も膨らむ。かといって手を抜けば、数字はざっくりしてしまう。「正確さ」と「手間」が、いつも綱引きをしている状態です。

でも、本当の“一丁目一番地”は別にあった
面白かったのは、その方が「まず手をつけたいのは、出来高の精度そのものではない」と言われたことです。
改革の一丁目一番地は、現場監督の“ノンコア業務”――本来の判断業務以外の作業――を減らすこと。日報づくりや数字のとりまとめのような、大事だけれど本来の仕事ではない作業を、少しでも軽くすること。これは単なる効率化ではなく、働き方改革や人事施策にもつながるテーマでもある、と。
背景にあるのは、深刻な人手不足です。現場監督は、ただでさえ多忙。そこにベテランの退職や採用難が重なれば、一人あたりの負担はどんどん増えていきます。だからこそ、「どうすれば、この人たちの働き方を少しでも良くできるか」が、DXの本当のねらいになる。数字を良くする前に、人を楽にする。その順番に、私はとても共感しました。
点群×写真AIで、出来高を「ついでに」拾う
では、どうするか。私たちが取り組んでいるのは、こういう考え方です。
現場監督がいつものように、iPhoneなど手元の端末で現場を記録する。その点群と写真を、AIが見て「どこまで進んだか」を拾い、日報や、出来高・数量整理の“下書き”をつくる。たとえば、掘削の範囲、出来形の変化、資材の設置状況など、写真と点群に残る情報を手がかりにします。監督は、ゼロから書く代わりに、出てきた下書きを確認して直すだけ。もちろん、最終的な数量や出来高は、人が確認する前提です。写真や点群に残らない作業や、品質の判断は、別の確認が必要です。
大事なのは、はじめから何もかもを自動にしないこと。まずは記録・進捗確認・数量整理の“補助”から始めるのが現実的です。土木の現場は屋外で広く、対象や工種によって向き不向きがあります。より高い精度の測量が要る場面もあります。そこはスマホだけで全部を賄うのではなく、用途に合わせて道具を選び、必要なところは専用の測量と組み合わせます。
こうすると、さきほどのジレンマも、働き方の話も、同時に前に進みます。数える手間を減らせれば、これまでよりこまめに把握しやすくなり、同時に、監督のノンコア業務も軽くなる。「精度を上げると手間が増える」の綱引きを、少しほどけるわけです。

でも、現場監督を“置き換える”話ではない
ひとつ、はっきりさせておきたいことがあります。これは、現場監督をAIで置き換える、という話ではありません。
AIがやるのはあくまで下書き。最後に確認し、判断するのは人です。狙いは、監督の仕事を奪うことではなく、「ゼロから書く」を「確認して直す」に変えて、空いた時間を本来のコア業務に戻すこと。段取りを考える、現場の安全を見る、人と話す――そういう、人にしかできない仕事に時間を使ってもらう。そのための道具でありたい、と思っています。
だから、私たちがやりたいこと
人手不足は、多くの現場でますます重いテーマになっています。そのとき、DXの目的は「きれいな数字を出すこと」だけではないはずです。その数字をつくるために、誰かが夜遅くまで日報と格闘している――そこを軽くすることこそ、喜ばれるDXのひとつなんじゃないか。土木の現場で、あらためてそう感じました。
日報づくりや出来高の整理が重い、土木・改修・外構のような現場で、「どこか軽くできないか」と思うことがあれば、そんな入口の相談でも大歓迎です。詳しくは onetech.jp からお気軽にどうぞ。
道具は、数字のためだけにあるのではありません。その先で働く人の、一日を少し軽くするためにある。今日も、現場の面倒をひとつ、軽くする一日にしていきます。
WHAT A WONDERFUL DAY TODAY!
