ドイツ | Foodsharing(フードシェアリング) システムについて | 食品ロスを考える
こんにちは、ドイツ在住「煮ても焼いてもドイツ」のニヤキです。
ドイツ生活のあれこれを中心に情報発信をしています。
Foodsharing (フードシェアリング)という言葉を聞いたことがありますか?
日本でも「フードバンク」「フードドライブ」といった活動があるそうですが、この「フードシェアリング」とは、ドイツで余剰食品を無償で分け合う市民運動です。
スーパーや飲食店から引き取った食品を「Fairteiler(フェアタイラー=ドイツ語の分けるという意味のVerteilをもじってFairteiler←公平に分ける人)」と呼ばれる共有棚や冷蔵庫で再配分する市民活動のひとつです。
同じ建物に住む隣人であり、友人でもあるドイツ人女性がこの活動をかれこれ10年近く行っていることから、身近でこのシステムを見てきました。
今回はこの「フードシェアリング」について紹介します。
はじめに
ドイツでも食品破棄は大きな問題になっており、毎年数百万トンもの食品が廃棄されているそうです。
環境負荷や倫理的問題が社会的課題となる中、2012年に始まった「foodsharing.de」は、市民が主体となって余剰食品を救い、無償で分け合う運動として急速に広まりました。
現在では50万人以上の登録者を抱え、ドイツ国内のみならずオーストリアやスイスにも広がっているそうです。
システムの仕組み
Foodsaver(フードセーバー):登録したボランティアがスーパーやパン屋、レストランなどから余剰食品を引き取り、食べられるものを選別して再配分します。
Fairteiler(フェアタイラー):街中に設置された共有棚や冷蔵庫で、誰でも自由に食品を持ち寄ったり受け取ったりできます。
オンラインプラットフォーム:foodsharing.deのサイトで食品の受け渡しを調整し、地域ごとの活動を可視化しています。
この仕組みは完全に非営利で、食品はすべて無償で提供される点が特徴です。
実際に、私の友人の活動例ですが、週に3~4回ほど、連絡の入ったスーパーやレストラン、学校やパン屋さんへ車で向かい、破棄されるものを貰ってきます。
彼女の場合は、まず自分たちの家族が欲しいものをとった後、貰ってきたものの写真をとり、彼女の作成したWhatsapp(ヨーロッパでもっとも使われているLINEのようなメッセージングアプリのグループへ投稿。
(現在グループには100名超の参加者)
だいたい近所に住んでいる人たちがこのグループに属しているため、グループに投稿されたあと5分と経たないうちに、わらわらと人が集まり始めます。
そしてうちの駐車場か建物の入り口、もしくは彼女の車のトランクの中からおのおの必要なものをとって持ち帰っていきます。
内容としては、売れ残りのパンだったり、もうお店には置けない状態の果物や野菜、もしくはレストランや学校の給食などの余り、そしてスーパーで賞味期限が切れた加工食品類などです。
どこのお店から出たものかは非公開とされているのですが、結構ちゃんとしたお店やパン屋さんから流れてきています。
冬場は外が天然の冷蔵庫状態なのでまだいいのですが、夏場などは電動のクーラーボックスなどに入れて対応しています。
無料ということで、皆さん結構な量を引き取って帰っていき(うちのキッチンからちょうど見える)通常半日足らずで完売(売ってないけど)しています。
中にはこのシステムに生活を委ねている人もいるそうで、大切な食料確保の手段だそうです。
私はたまに野菜や果物を貰いますが、食品の余り(ソース類やパスタ系など)は正直どこでどう作られ、どういった形で流通して保管されていたものか分からないため、貰いません。
誰でもとれるようになっているため、たまに下の子などはパンのボックスからプレッツエルなどを貰って食べていますが、やはり古いパンではあるので、すごく美味しいわけではないです。
スーパーに並んでいたランチ用のボックス入りサラダやサンドイッチやラップなどもあることがあり、そちらは結構な人気(タダで貰う分には)があるみたいですが、こちらも私は懐疑的なため、遠慮。
・・・あまり協力的ではないFairteilerな私です(苦笑)
次に、良い点と問題点についても考えてみたいと思います。
良い点
食品ロス削減
食べられるのに廃棄される食品を救うことで、環境負荷を軽減。
スーパーや飲食店にとっても廃棄コスト削減につながる。
コミュニティ形成
Fairteilerを通じて地域住民が交流し、食を通じた連帯感が生まれる。
ボランティア活動を通じて「食の価値」への意識が高まる。
教育的効果
学校やイベントで食品ロス問題を啓発する活動も展開。
「食べ物を大切にする」という文化的価値を次世代に伝える。
政治的・社会的影響
「Foodsharing」「Fairteiler」という言葉がドイツ語辞典に掲載されるほど社会的認知度が高い。
政策議論にも影響を与え、持続可能な食のあり方を考える契機となっている。
問題点
衛生管理のリスク
ボランティアが食品を選別するため、腐敗やアレルギー表示の不備など安全性の懸念がある。
法的責任の所在が曖昧で、利用者自身の判断に委ねられている。
利用者の偏り
デジタルプラットフォームを使いこなせる人に利用が集中し、高齢者やデジタル弱者が参加しにくい。
都市部では活発だが、地方ではFairteilerの設置が少なくアクセスが難しい。
持続可能性の課題
完全にボランティアに依存しているため、活動の継続性が人材確保に左右される。
商業的アプリ(Too Good To Goなど)との役割分担が不明確で、競合関係になることもある。
Tafel(ターフェル)とFoodsharing(フードシェアリング)の棲み分け
ドイツで食品ロス削減に取り組む仕組みとしてもうひとつ有名なのが「Tafel(ターフェル)」です。
Tafelは1990年代にベルリンで始まった活動で、スーパーやメーカーから余剰食品を受け取り、それを生活困窮者や福祉施設に無償で提供する非営利団体です。
現在では全国に900以上の拠点があり、数百万人が恩恵を受けているといいます。
特徴は「社会福祉的側面」が強い点で、利用者は低所得者や難民など、支援を必要とする人々に限定されることが多いです。
一方で前述のフードシェアリングは比較的新しく、2012年に始まった市民運動で、余剰食品を誰でも無償で分け合える仕組みです。
利用者の制限はなく、学生や一般家庭も気軽に参加できる点がTafelとの大きな違いです。
両者を比較すると、
Tafelは「社会的弱者への支援」
フードシェアリングは「市民全体による食品ロス削減」
と目的が異なります。
どちらも食品ロス削減に貢献していますが、対象や理念が異なるため、相互補完的な存在としてドイツ社会に根付いているといえそうです。
まとめ
ドイツのFoodsharingは、食品ロス削減とコミュニティ形成を同時に実現する革新的な市民運動です。
良い点としては環境負荷の軽減、地域交流、教育的効果が挙げられ、問題点としては衛生管理・利用者の偏りなどが存在します。
それでも、非営利で無償に食品を分け合うこの仕組みは、持続可能な社会を目指す上で重要な実践例であり、ユニークなモデルであると思います。
今後はデジタル基盤の改善や衛生管理の強化を通じて、さらに多くの人が安心して参加できる仕組みへと発展していくといいな、と思います。
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