予言ビジネスの進化

1973年、五島勉という作家が、ノストラダムスの大予言を出版した。16世紀のフランス人占星術師が残した曖昧な詩を、1999年7月に人類が滅亡すると解釈したもので、翌年にはミリオンセラーとなり、シリーズ累計600万部を超えたと言われる。公害問題や核戦争の脅威に不安を抱えた時代の空気が、予言の器に流れ込んだ。子どもだけが本を買って読んだわけじゃない(^-^)

1999年7月は何事もなく過ぎた。信じた人には黒歴史だろう(^-^)

ノストラダムスはとうに亡くなっていた。彼の詩は曖昧で、何にでも当てはまる表現に満ちていた。解釈者が好き勝手に意味を読み込んだ。反証不可能だから、外れても解釈が間違っていたで済んだ。予言そのものは傷つかない構造だった。

半世紀後、予言ビジネスは進化した。

現在の予言者は生きている。テック企業のトップが自ら壇上に立ち、AGIが人類を超える日が来る、シンギュラリティは2030年に訪れる、などと語る。Anthropicが非公開にしたMythosというモデルにいたっては、人類が滅亡するレベルの能力を持つという予言まで流れ始めている(^-^)

ノストラダムスの大予言と何が違うか。

現在の予言者は生きていて、しかも資金調達の文脈で語っているようにみえる。ノストラダムスは本を売るために曖昧な詩を書いたかもしれないが、少なくとも彼の時代では、ひとりの詩人の生活費くらいしか稼げなかっただろう。今のテック企業トップは、AGIの到来を語ることで投資家の財布を開けさせる。予言が資本家を動かし、数兆円の投資を集める。

もう一つの大きな違いは、AIが実際に進化しているという点だ。ノストラダムスの予言には何の実体もなかった。いまはChatGPTは使えるし、Claude Codeは働いている、だからノストラダムスの予言がよりは信じやすい。実体があるから、曖昧な未来予測も根拠があるものに見える。

ちょっと預言者が多すぎるが(^-^)

しかし、AGIが来るという予言の構造は、ノストラダムスと本質的に変わらない。超知性の定義は曖昧で、何をもって達成とするかが定まっていないからだ。反証不可能だから、外れても、まだ途中だで済む。2030年が来ても2045年に修正と言えばいい。

投資家がお金を投入しているという点では、今の方が遥かに酷い。1973年に1999年に人類が滅亡するからと言っても、五島勉という作家は詐欺師とまでは呼ばれていない。今の預言者は先見の明のある賢者と呼ばれる(^-^)

時代は確かに進歩した。予言ビジネスも、進歩したと言える(^-^)

ノストラダムスの大予言は、亡くなった詩人の詩を勝手に解釈することで成立した。現代の予言は、生きている天才が自ら語ることで成立する。そして不思議なことに、不安と期待が混在するからか、人間は予言を信じたがる。

1999年は何事もなく過ぎた。2030年も、おそらく何事もなく過ぎるだろう。ただし、その間に動いた狂った何兆円かのお金はどこに行くんだろう?

誰かのポケットに入ったとしても、それは数字でしかない(^-^)