第1話 西淀川区歌島の炒飯と餃子
時間や社会に囚われず、幸福に空腹を満たす時、つかの間、彼は自分勝手になり自由になる。
誰にも邪魔されず、気を使わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが現代人に平等に与えられた、最高の癒しと言えるのである。
~大阪府 大阪市 西淀川区 歌島~
自分以外の家族全員が墓参りに行っている。
さすがに自分も行かなきゃかとも思ったが、6時に出発なんてとても出来ないので留守番。
都合の良いときだけ就活を盾に使う。
ちゃっちゃとESを書き終え、良い時間。
よし腹が減った。
前日の晩から昼に中華を食べることだけ確定させてから寝たため、店を探す。
御幣島駅付近に良さげな店を見つけ、徒歩で向かう。
この時期は桜だったり、梅だったりがちらほらと咲き始めていて散歩にちょうど良い。
ふらふら40分ほど歩き、到着。
扉にかけられている「福」と書かれた装飾品はまさに中華料理屋といった感じである。
「いらっしゃいませ、どちらでもお座りください」
カウンターはまだ落ち着かないので、テーブルに向かう。
内装はイメージの中にあるザ・中華といったようなものではなく、昔ながらの定食屋のような感じでとても雰囲気が良い。
「ご注文決まりましたらまた呼んでください」
メニューには、点心、定食、ワンプレート、コースなど色々あり大変迷う。
麻婆丼もありとても嬉しい。どうせ白飯と食うんだったら一緒になってた方が食べやすいからである。
ちなみに関大前では大阪王将にはあるが餃子の王将にはない。大阪王将では必ず麻婆丼を注文する。
しかし、はじめて来た店なのでシンプルに。
「五目炒飯と餃子の1人前をお願いします」
テーブル席ではあるものの、店主の方が餃子を焼いてるところや米を炒めるところが見えてとても良い。作る過程が見えるだけで腹の減りも変わってくる。
ご主人は寡黙な職人といったような顔つきをしており、なんとなく期待値も上がる。
「お待たせしました、お先に炒飯です」

焼豚 にんじん ねぎ 卵 エビで五目
エビは嬉しい
花柄の皿と木のスプーンにより溢れる実家感。
まずは炒飯を一口。
バァーン!!!
頭の中のチャイナガールが自分より大きいドラを目一杯叩いた。白のチャイナドレスである。
40分歩いた体に響く味付け。パラパラの米に対して、火の通りすぎてないネギの食感が良いアクセントを生んでいる。
続いて、中華スープを一口。
優しい味付けの中華スープがしっかりした炒飯の味を引き立て、緩急を生んでいる。細かく刻まれたえのき茸のシャキシャキ感で食感も楽しい。
「お待たせしました、餃子になります」

6個がちょうど良い
すぐさま餃子を一口。
パァーン!
頭の中のチャイナガールが今度は片手で持てる小さなドラを叩く。もちろん白のチャイナドレスである。スリットから美しい脚がちらりと見え隠れする。
焼き目はパリパリ、中はジューシー、王道の餃子である。キャベツが大きめに切られてるため食感もシャキシャキしていて飽きない美味さ。
厨房の雰囲気も明るくてとても良い。
「世話になってるから、渡辺さんに、、、、」
世間話をしてるときだけ店主の顔に笑顔がみられるのが、さっきの職人のような顔とのギャップがある。きっと優しい人なんだろう。
「ありがとうございました」
チャイナガールにも別れを告げあっという間に食べ終え退店。
また散歩がてら食べに行こう。
まだ麻婆丼とかエビチリとか食べたいメニューがあるし。
