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要支援認定の更新

  午後のやわらかな光のなか、リハビリを兼ねて中央区役所の蛎殻町出張所へ向かった。介護保険の要支援認定――その更新手続きを済ませるためである。
 
 この日は、朝から小さな出来事があった。予定されていた室内の手すりの設置工事が行われ、昼過ぎには作業がすべて完了したのだ。試しに歩いてみると、手すりはまるで以前からそこにあったかのように自然で、思わず「これはいい」と声が出た。室内の転倒対策は、ひとまずこれで落ち着いた。
 
 遅めの昼食を終え、今度は外の空気を吸いに散歩へ出る。行き先は出張所。先週届いた「要支援認定更新のお知らせ」に促されての外出である。
 
 水天宮を越えた先にある蛎殻町出張所までは、我が家からちょうど一キロ余り。休まず歩くにはちょうどよい距離だ。ウォーカーを押しながら、左側にはいつものように「監視人殿」(通称・妻)がそっと腕を添えてくれる。連日の小春日和で、空はどこまでも澄んでいる。甘酒横丁、人形町通りを抜けると、あっという間に目的地へ着いた。
 
 出張所は、演芸場も兼ねた石造り風の堂々たる建物で、その風格に「さすがは中央区」と思わされる。申請書を提出すると手続きは驚くほど簡単に終わった。
 
 帰り道、監視人殿が買い物をしたいというので、浜町のピーコックへ立ち寄る。裏口から入り、一回りして買い物を済ませると、緑道へ向かった。中ほどのいつものベンチで腰を下ろすと、青空を背景に紅葉と常緑の葉が織りなす景色が目にやさしい。心が自然と落ち着いていく。

緑道は緑のトンネル

 隣のベンチには、髪を後ろで束ねたアジア系の女性が三人。散歩の途中でよく見かける顔ぶれだ。目が合うと、今日も軽く会釈してくれる。こちらの姿も、きっと彼女たちの「日常の風景」の一部になっているのだろう。鳩の群れも相変わらず賑やかだが、いつもの一本足の鳩が姿を見せないのが少し気がかりである。
 
 ひと息ついて帰宅し、スマホの歩数計を見ると三七四一歩。目標の三千歩は今日も無事クリアだ。毎朝の体と口のリハビリ、午後の散歩、手すりとウォーカー。そして何より、監視人殿の支えが欠かせない。
 
 もっとも、最近は彼女の体調の方が少し気にかかる。わが身を支える手が、無理をしていないか。それが、散歩の帰り道にふと胸をよぎるのである。

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